矢野経済研究所は、無線LANシステム市場の調査結果を発表。2001年度の市場規模は前年比140.7%増の172億7600万円で、2002年度には237億7100万円、2006年度には719億円規模へと市場が拡大するとの予測を示した。
調査は2002年9月から10月にかけてメーカーや事業者16社や関係各社を対象に行なわれたもので、メーカー出荷をベースとしている。無線LAN機器は出荷数ベースでは2倍に伸びたものの、中心となるIEEE 802.11b準拠の製品では差別化が難しいこともあって急速に低価格化が進んだ結果、売上規模では前年比140.7%にとどまったとしている。
IEEE 802.11a準拠の製品については、製品が出揃わなかったことや価格が高いことから敬遠されたが、2002年下期から2003年にかけて本格的な普及が始まると予想。11aへの移行により、金額ベースでの市場規模は上向くが、競争による価格の低下は避けられないと見ている。このため、より高速なIEEE 802.11gや802.11hに対応した高価格製品の市場投入が早まるとしている。
同調査では、無線LANは個人市場においては配線の手間がないこと、802.11b製品に関してはアクセスポイントとアダプタのセットで2万円台になってきたことから急速に需要が増加しているが、有線LANに比べ初期設定に戸惑うユーザーが多いため、製品には更なる使い勝手の向上が求められているとしている。法人市場においては、有線LANの代替だけでなく補完的に利用される傾向があり、また、スループット2Mbpsの802.11bよりも高速な802.11a以降の規格に対応した製品へのニーズが高まっているとした。法人市場においては、導入する企業においてセキュリティポリシーや運用方法を取り決めるなど、ユーザー側におけるセキュリティ認識を高める必要があるとしている。
調査レポートでは、ホットスポットなどの公衆無線LANアクセスサービスも整備されつつあり、無線IP電話も登場するなど、無線LANは有線LANの代替としての役割を強め、今後末端ネットワークを支える重要なインフラとなると結論付けている。
□ニュースリリース
http://www.yano.co.jp/press/2002/021016.html
(工藤ひろえ)
2002/10/16 19:59
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