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「先行投資の時期が過ぎ、通期で見れば数百億円の黒字も見えてきた」「光ファイバも、おとくラインも、ADSLも無理しないで利益を重視する」などとコメントする孫社長
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「先行投資の時期が過ぎ、通期で見れば数百億円の黒字も見えてきた」「光ファイバも、おとくラインも、ADSLも無理しないで利益を重視する」。10日に開催されたソフトバンクの2005年度第1四半期連結決算説明会で、孫正義代表取締役社長はソフトバンクが利益を上げられる体質に変化しつつあることや採算を重視する経営方針に変更したことなどを語った。
2005年度第1四半期の連結売上高は、前年同期比1,113億円増の2,586億円。営業損益は前年同期比で7億円縮小して31億円の損失となり、当期純損益は前年同期比で67億円縮小して111億円の損失に収まった。なお、単月では2005年6月に営業損益ベースで5億円の黒字化を達成。先行投資しているおとくライン事業を除けば、第1四半期の営業損益は191億円の黒字を実現したという。
Yahoo! BB事業などを含むブロードバンド事業については、営業損益ベースで前年同期比で179億円改善し、36億円の黒字となった。なお、黒字は2004年第1四半期から継続しており、孫社長は「先行投資の時期が過ぎ、通期で見れば数百億円の黒字も見えてきた。さらに今後は数百億円単位で利益を積み上げられるようになるだろう」との見通しを示した。
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連結売上高は前年同期比1,113億円増の2,586億円
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単月では2005年6月に営業損益ベースで5億円の黒字化を達成
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おとくライン事業を除けば、第1四半期の営業損益は191億円の黒字を実現
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Yahoo! BB事業などを含むブロードバンド事業については、営業損益ベースで前年同期比で179億円改善し、36億円の黒字
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■ 光ファイバは26,000回線開通、ただし今は加入者拡大よりも利益重視で
ブロードバンド事業では、光ファイバが7月末で26,000回線開通したと公式の場で初めて数値を明らかにした。しかし、現状は事業拡大の時期ではないという。「電柱が自由に活用できないなど、新規参入者には不利な制度が少なくない。本来地域独占で電力を供給している会社が電柱を独占的に所有しているのであるから、すでに立っている電柱がイコールフッティングで利用できるようなるか、敷設されている光ファイバがイコールフッティングで利用できるように改善されるべきだ。回線引き込み工事のための道路占有手続きなど、手続きコストだけで事業が成り立たなくなる可能性もある。こうした制度が改善され、営業効率が良くなれば、光ファイバにも十分な利益が生まれる時期が来ると信じている」と説明。その上で「利益がなかなか出せない分野では、あまり無理をしない」との経営姿勢を示した。
KDDIとパワードコムが提携すると報道されたことについては「NTT以外の光ファイバを使えるようになるのであれば正式に検討するが、具体的にはまだ何もない」とし、東京電力などNTT以外の光ファイバ所有事業者とは話し合いを行なっていないとコメントした。
光ファイバ事業が「無理をしない」状況であれば当面はADSLが主力になる。総務省の研究会がまとめた「次世代ブロードバンド構想2010」では、上り30Mbps級の次世代双方向ブロードバンド(UIBN)を2010年までに9割の世帯に普及するよう提言しているが、孫社長は「30Mbpsの上り回線が必要だと言っているのは日本だけ。需要に対する認識のずれだと思う」と反論。ただし、「光ファイバが十分安くなって、効率がよくなれば否定しない」とも述べた。
54万件が開通したというおとくラインでは今後、大企業向けは日本テレコムが、中小企業向けはインボイスと提携して設立した「日本テレコムインボイス」が営業を行なう。個人ユーザー向けの営業についてはこれまで通り日本テレコムが行なうが、「個人はあまり利益が上がらず、場合によってはお客様に迷惑をかけることもあったので、無茶をしない」という。一方、「中小企業向けには効率よくやれば利益があがることがわかった。効率と営業の質を考えて、日本テレコムインボイス傘下の代理店などをきっちりとコントロールしながら営業する」方針だ。インボイスとの提携により、インボイスの顧客企業の回線はおとくラインに置き換えることが決まっているという。
なお、5月に行なわれた2004年度の決算説明会で「2005年9月までにYahoo! BBとおとくライン合計で650万加入を目指す」との目標が示されたが、ADSL事業についても「数字にこだわるのはやめた。利益を上げるためには無理をしない」とコメント。「前期は300億円だった顧客獲得コストが、今期は186億円に収まった。課金ユーザーから十分な利益が出ている」とし、経営方針をこれまでの顧客獲得重視から採算重視にシフトしたことを鮮明にした。
【お詫びと訂正 2005/08/18】
記事初出時は「KDDIとパワードコムが提携した」と掲載しましたが、現時点で提携の事実はございません。「KDDIとパワードコムが提携すると報道された」に訂正させていただきます。関係者および読者の皆さまにはご迷惑をおかけしました。お詫びいたします。
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インボイスと提携して設立した「日本テレコムインボイス」
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おとくラインは、中小企業向けの営業を日本テレコムインボイスが担当する
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■ 携帯電話事業は「マクドナルドのバリューセット」流で展開
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総務省が比較審査に向けて書類を準備しているという。12月までには事業者が決定する予定だ
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注目されている携帯電話事業については、総務省が比較審査の申請受付を開始する9月に向けて書類を準備しているところだという。11月に比較審査を終え、12月までには事業者が決定する予定で、孫社長は「割り当てられる見込み」と1.7GHz帯での商用免許取得へ自信を見せた。
免許獲得後の事業展開は、まずデータ通信サービスを東京で開始する予定だ。続いてエリアを東名阪に拡大し、全国展開する段階で音声通話サービスを開始する方針。ブロードバンド事業で獲得した1,000万を超える顧客基盤と、80GbpsのIPバックボーンを駆使することでNTTドコモやKDDIに匹敵する事業者を目指すという。
孫社長は「マクドナルドはポテトを日本で一番たくさん売っている。でもマクドナルドはポテト屋だとは思われていない。これはバリューセットのせいだ。ソフトバンクでは携帯電話でもサービスをパッケージし、顧客を獲得する」とコメント。サービスパッケージの内容は不明だが、マクドナルドなどですでにサービスを展開しているYahoo! BBモバイルなどを3G携帯電話と統合することなども考えるという。
携帯電話の設備投資については、携帯電話機器ベンダーなどと協力して資金を工面する“ベンダーファイナンス”の手法をとる。「自己資金で大きな投資を行なう予定はない。すでに各ベンダーから提案を受けている。顧客獲得コストが一番高かったが、現状の顧客基盤を活かし、効率の良い獲得プランを計画している」とコメントした。
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当初は東京のみでデータ通信サービスを開始する
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。ブロードバンド事業で獲得した1,000万を超える顧客基盤と、80GbpsのIPバックボーンを駆使することでNTTドコモやKDDIに匹敵する事業者を目指すという
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■ ビジネスモデルは「面を取って深掘り」から「プラットフォーム化」へ
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今後は「プラットフォーム化」のビジネスモデルに
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ソフトバンクでは今後、ビジネスモデルを進化させるという。ソフトバンクでは事業立上げ期には、ソフトバンクBBのバックボーン、ISPとしてのYahoo! BB、モデム、ポータルサイトなどを一気通貫して提供する「垂直統合型」ビジネスモデルをとった。続いて獲得した顧客を“面”として付加価値サービスを積み上げる「面を取って深掘りする」ビジネスモデルに移り、現在に至っている。
今後は、これまで構築してきた回線インフラや顧客基盤などを活用して「プラットフォーム化」ビジネスモデルにステップアップするという。具体的には、ソフトバンク以外の事業グループにソフトバンクのプラットフォームを提供し、課金回収の代行などを行なうというもの。例えば、Yahoo! BBユーザーがソフトバンクのプラットフォーム上で他社コンテンツを購入した場合、ソフトバンクグループのソフトバンク・ペイメント・サービスなどが料金の課金や請求、決済などを行なう。
孫社長は「インフラからコンテンツまでワンストップで提供可能になり、ユーザーの利便性を高められるほか、顧客満足度も向上し、解約率を抑えられる」とコメントした。
このほか、福岡ソフトバンクホークスにも言及。「広告代理店によると、ホークス買収は年間数百億円規模の価値があると言われている。実感として新聞・テレビで毎日社名の付いた球団が出ており、しかも勝っている。1年ほど前は、認知度がまだまだ低かった。直近では99.9%の国民が認知している。携帯電話も含めたさまざまな事業で貢献してくれるのではないか」。
会場からは、西武ライオンズの2軍と本拠地球場の命名権を持つインボイスとの提携に関する質問もあった。孫社長は「インボイスが所有するライオンズに関連する命名権については、ソフトバンクとの契約前の話。今すぐ何かバッティングするとは考えていない」と回答した。
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サービス開始当初は「垂直統合型」だった
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次いで「面をとって深掘りする」ビジネスモデルを採用
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他社のサービスやポータルにソフトバンクのプラットフォームを提供する
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決済サービスも提供するという
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■ URL
ソフトバンク
http://www.softbank.co.jp/
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・ ソフトバンク決算「おとくラインを除いた営業損益は黒字を達成」
(鷹木 創)
2005/08/10 21:29
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