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揃って記者会見に出席したソフトバンクの孫正義社長(左)とヤフーの井上雅博社長
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ソフトバンクとヤフーは19日、ソフトバンクグループの動画配信サービスに関する記者会見を開催した。ヤフーが運営するYahoo! JAPANの動画ポータル「Yahoo!動画」を19日よりリニューアル、無料コンテンツを大幅追加してコンテンツ数を約10万にまで拡大する。
これまでコンテンツを有料配信し、会員向けに一部無料で提供していたサービス形態を一新し、広告ビジネスモデルを取り入れることでコンテンツの大半を無料に切り替えるとともにコンテンツ数も強化。また、「バットマン」「ボディーガード」といったワーナー・ブラザーズの映画作品もYahoo! BBやYahoo!プレミアム会員向けに配信する。
コンテンツパートナーも新たにオスカープロモーション、シネマクルーズ、スターダストプロモーションなどが参画。Yahoo!動画では早期に視聴者数4,000万人を目指すとした。
■ 検索結果の70,000件を含め「合計10万本の動画を配信」
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リニューアルしたYahoo!動画のコンセプト
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ソフトバンクグループは、無料の動画配信サービス「TV Bank(仮称)」の実証実験を10月20日より実施しており、12月19日にはソフトバンク60%、ヤフー40%の株式構成で「TVバンク株式会社」を資本金15億500万円で設立。代表取締役社長には孫正義氏が、取締役には井上雅博氏、宮内謙氏らが就任する。今後TVバンクは独自の映像配信サービスではなく、Yahoo!動画へのコンテンツ調達や技術提携といった形で協力していく。
サービス開始時のコンテンツ数は、無料コンテンツが16,000本、Yahoo! BB会員やYahoo!プレミアム会員など会員向け有料コンテンツが15,000本。無料コンテンツはユーザー登録の必要なく1クリックで再生でき、動画の前に広告映像が挿入される。ファイル形式はWMVで、配信帯域は最大1.5Mbps。画面を最大化しての再生にも対応する。
無料コンテンツでは、オスカープロモーション所属の女優・アイドルによる「オスカープロチャンネル」のほか、「福岡ソフトバンクホークスチャンネル」「K-1チャンネル」「韓国ドラマチャンネル」、海外のお笑い映像を配信する「Stupid Videosチャンネル」などを用意。また、Yahoo! BBおよびYahoo!プレミアム会員限定ではあるものの、「バットマン」などワーナー・ブラザーズの映画やメジャーリーグの試合映像なども無料で配信する。
動画検索技術もYahoo!動画に実装。指定したキーワードに関連する動画をWeb上から検索し、TVBankのサイト上で再生できる。検索は複数語指定も可能で、検索キーワードに該当した動画を連続で再生する「キーワードチャネル」機能も実装。検索キーワードの対象となる動画数は約7万で、ソフトバンクグループでは「検索結果を含めてYahoo!動画では約10万の動画を取り揃えた」と説明する。なお、再生できる動画は冒頭から20秒までに限定される。
今後はユーザー投稿の動画もコンテンツとして拡充していく方針で、オスカープロモーションとの共催による「第1回インターネット美女コンテスト」、デジタルハリウッド共催の「ショートムービーコンテスト」が予定されている。最優秀賞には賞金1,000万円が、優秀賞には100万円が用意されており、このほかにもお笑いやハプニング映像などさまざまなコンテストを2006年1月より実施していく予定。
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検索結果含めて約10万の動画コンテンツを用意
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他サービスとの比較
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検索結果からソフトバンクのサイト上で動画を再生
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ユーザー投稿型の動画配信も予定
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■ 「ブロードバンドの普及は“インターネットII”になる」と孫社長
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リビングに見立ててプレゼンを行なう孫社長
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同日に開催された記者会見では、ソフトバンクの孫正義社長とヤフーの井上雅博社長が出席。動画コンテンツ配信サービスの事業展開について語った。
孫氏は「ブロードバンドの普及によりインターネットは“インターネットII”の時代となった」との持論を展開。「インターネットIIでは動画や音声がコンテンツの主体になり、動画コンテンツ事業には大きな収益機会」とした上で、「動画コンテンツの大部分はインターネットで配信されていない」との課題を指摘し、「Yahoo!動画のコンテンツ数を従来の約4,000から約10万と一気に強化、他社を圧倒する豊富なコンテンツを実現した」と語った。
2006年にはパ・リーグの主要チームの試合映像をソフトバンクグループで配信する方向で話が進んでおり、コンテンツは今後も拡充していく方針。また、ユーザー投稿による動画コンテンツもサービス開始当初はYahoo!動画での配信となるが、今後は動画を使ったアフィリエイトプログラムや動画表示プラグインなど、Yahoo!動画以外へのコンテンツ提供も視野にあるとした。
テレビ局とも提携を進めていく方針で、すでにNHKがTV Bankの実証実験から参加。現在、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ東京ともコンテンツの提供形態や開始時期の協議を勧めているという。また、海外では韓国・台湾の地上波テレビ局が新規コンテンツパートナーとしてYahoo!動画へのコンテンツ提供を開始している。
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インターネットは動画・音声主体の“インターネットII”へ
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動画視聴ユーザーをYahoo! JAPANユーザー数の4,000万人レベルまで早期に引き上げる目標
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■ 無料コンテンツは広告収入によるビジネスモデルを構築
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Yahoo!動画の新たなビジネスモデル
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ビジネスモデルとしては、無料コンテンツは視聴数に応じて広告収入を、有料コンテンツは視聴料収入をコンテンツパートナーとレベニューシェアする仕組み。コンテンツに挿入される動画広告は視聴回数の正確な把握が可能であり、電通や博報堂 DY メディアパートナーズ、アサツー ディ・ケイなど広告代理店とも提携して動画広告の市場開拓に努めていく。
今回のサービスはベータテストとの位置付けであり、3月から商用サービスを開始する予定。サービス開始に関しては、STBを使ったテレビ向け動画配信サービス「BBTV」の立ち上げ時から構想があり、「決して他社に追随して始めたサービスではない」点を強調した。
同席したヤフーの井上氏は「来年でヤフーも10年を迎えるが、これまでのインターネットの10年は数や量を増やす10年だった」と振り返り、「ユーザー数が4,000万を超えて量は十分な数字になった。これからの10年は質を高めていく10年にしていきたい」とコメント。「インターネットはまだ世の中の信頼を得られておらず、使い方も限定的であるが、いろんなシチュエーションでインターネットを頻繁に使っていくために質の向上を図っていきたい」との意気込みを示した。
なお、検索した動画をソフトバンクのサイト上で配信するという機能については「あくまでテスト版の技術であり、こういうことができれば便利だろうと見ていただければ(井上氏)」とし、「どこまでが配信できでどこからが配信できないという点をコンテンツホルダーにお伺いしながらサービスを進めていきたい」との考えだという。
■ 記者会見には芸能人も登場。サービスへの期待を寄せる
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会見の出席者
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記者会見には、Yahoo!動画へコンテンツを提供するパートナーを代表して、上戸彩、ソフトバンクホークスの新垣渚選手、元F1ドライバーの鈴木亜久里、格闘家のボブ・サップが登場。各自がYahoo!動画のサービスに対する期待を寄せた。
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「24時間好きなものが見られるし、いろんなチャンネルがあるYahoo!動画はすごい」と語る上戸彩
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「ソフトバンクにはヤフードームでの試合中継など新しい試みをしてくれている」と語る新垣選手
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「インターネットを通して世界や日本のモーターレースを見ていただければファンも増えるのではと期待している」と語る鈴木亜久里
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「まずは試合チケットを買ってからその後でYahoo!動画を楽しんで欲しい」と語るボブ・サップ
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■ URL
ニュースリリース(ソフトバンク)
http://www.softbank.co.jp/news/release/2005/051219_0001.html
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・ ソフトバンク、「TV Bank」の実証実験。今後は国内テレビ局との提携も
(甲斐祐樹)
2005/12/19 14:36
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