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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
ヤフー、Flickr日本語版や動画共有サービスの検討などCGMを強化

 ヤフーは17日、同社代表取締役社長兼CEOの井上雅博氏や取締役兼COOの喜多埜裕明氏、マーケティング部長の大蘿(たいら)淳司氏が出席した記者懇親会を開催。ヤフーのCGMやサービス展開に対する姿勢や考え方などが示された。


MySpaceとYahoo! Daysは「Yahoo! IDでの連携を期待」

代表取締役社長兼CEOの井上雅博氏
 ヤフーが2月28日に開始したSNS「Yahoo! 360°」は、7月31日に名称を「Yahoo! Days」に改めると同時に、本人確認が完了しているYahoo!プレミアムやYahoo! BBプレミアム会員は招待なしで登録できるように仕様変更。さらに11月14日には、ソフトバンクの携帯電話ポータル「Yahoo!ケータイ」ユーザーも招待なしで利用可能になった。

 こうした登録制の拡大は今後も行なっていく方針。井上氏は「もちろんソフトバンクにも提供していくが、1つのキャリアに閉じるのでは印象が良くない」とコメント。ヤフーとしては常に全キャリア志向であり、その上で同じグループであるソフトバンク向けにはプラスアルファのサービスを加えることで差別化を図るとした。

 11月7日には、同じソフトバンクグループとしてMySpaceの日本語版がスタートしたが、井上氏は「MySpaceとYahoo! Daysでは、競合するところもしないところもある。1つのSNSがすべてではなく、(MySpaceが)外にあるよりはグループ内にあったほうがいい」とコメント。大蘿氏は「MySpaceはコミュニティ中心で、mixiは人が中心と、同じSNSでも全然違うもの。SNSというだけで競合するのではなく、併存することもありうるだろう」との見解を示した。

 MySpaceとの連携は「Yahoo!のIDでMySpaceが使えるようになればいい。我々にとって(MySpaceの)価値があるとすればそこだろう」との考えを示した。ただし、そうした連携はMySpeceに限ったものではなく、幅広いサービスとYahoo! IDで連携していきたいというオープンな姿勢だという。井上氏は「世界展開しているMySpaceが、日本のYahoo!のためだけに個別対応するメリットがあるのかは別の話」とした上で、「できるならばmixiとも連動してみたい」との姿勢を示した。


Yahoo! IDによる他ユーザーとの連携機能がCGMの鍵に

取締役兼COOの喜多埜裕明氏
 Yahoo! Daysで井上氏が重要視するのは、Yahoo! IDによって公開範囲を制限できる機能。井上氏は「友達登録を除けば、Yahoo! Daysは基本的に日記サービスだろう」とした上で、「Yahoo!上のあらゆるサービスにおいて、Yahoo! IDでの共有を進めていく。そうしたIDによる制御こそがヤフーのCGMにとって重要だ」との方針を示した。

 具体的には、グルメやトラベルなど「Yahoo!のほぼすべてのサービス」でYahoo! IDによるユーザー間の連携機能を導入。「特定の人だけに見せる、もしくは全体に公開するといった機能は、ユーザー書き込み系の機能には必須だ」とした井上氏は、「そうしたYahoo!のそれぞれのサービスで生まれるCGMを集約する場所としてはYahoo! Daysがおそらく適当だろうし、もしくはMy Yahoo!も活用できるかもしれない」との考えを示した。

 「Yahoo! JAPANのサービスで思いつくものにはすべてCGMの要素を取り入れたい」と語る井上氏。一方で「CGMと言うとすぐにクチコミやレビューといったサービスばかりが話題になるが、すべてがクチコミではつまらない」と指摘。「今までのヤフーは情報提供元があって無料で見せていたが、そうした情報提供元がないものほど利用者が作り上げることに面白さがあるのだろう」とコメント。「クチコミとかレビューに頼るのではなく、サービスごとにいろいろ考えて欲しい」との期待を示した。

 また、大蘿氏は「我々はアクセスログも一種のCGMと考えていて、そういう意味では日本最大のCGMでもある」との考えも披露。「他のサイトは人を集めるのに苦労しているが、ヤフーにはそれがない。あとはそれをどう見せると面白くなるのかを考えているところだ」とした。


Flickrやdel.icio.us日本語版も準備。動画共有サービスも提供を視野に

マーケティング部長の大蘿(たいら)淳司氏
 米Yahoo!が買収したFlickrやdel.icio.usに関しては、日本でのサービス展開も考えてはいるものの、井上氏は「MySpaceと同じく、Yahoo!として提供するのか、Yahoo!とは異なるサービスとしてやるのがいいかという問題があると個人的には思う」とコメント。「実際に現場で(日本版提供に向けて)手を動かしている人はいる」(喜多埜氏)」とした上で、「ヤフーとしても動画共有はやらなければいけないし、むしろやらなければ驚かれるだろう。それならば写真と動画をいっしょに提供してもいいかもしれない」(井上氏)など、さまざまな選択肢があるとした。

 動画共有ではYouTubeを始めとして、著作権違反のコンテンツが多くアップロードされるという懸念があるが、井上氏は「それはバサバサ消していく。そこに関しては我々は長けている」とコメント。大蘿氏は「我々はYahoo!オークションで24時間の監視を行なっている」との自信を示した。

 「企業としてスピード感が落ちているのではないか」との質問には、「僕の希望するスピード感からすれば、それは今に始まったことではない(井上氏)」とした上で「今あるサービスが多すぎて、それぞれがより使いやすく便利にという努力も並行して継続的に行なっているため、全速力に比べるとスピードが落ちる」とコメント。また「CGM的なサービスは絶対に儲からないと思っていたが、最近では行動ターゲッティングによる広告など、CGMでも収益を上げる要素がでてきた」とし、「今は前言を撤回し、全速力でCGMに対応している」と語った。

 企業のスピード感を挙げる対策として、Webサービス系の企業では実験的サービスを提供する「ラボ」のような試みが行なわれているが、「そもそもYahoo!でラボを作っても、人が集まりすぎてしまってラボの意味がないだろう(大蘿氏)。また、「ベータサービスを出すのであれば、TOPページに頼らずサービスそのものが伸びなければ意味がない(大蘿氏)」とも語り、ベータサービスとして大きく展開する方針はないとした。


関連情報

URL
  Yahoo! JAPAN
  http://www.yahoo.co.jp/

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(甲斐祐樹)
2006/11/17 15:31
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