マイクロソフトは21日、次期OS「Windows Vista」のハードウェアおよびソフトウェア互換性検証の施策、企業向けアップグレードキャンペーン施策に関する2部構成の説明会を開催した。第2部では、Windows Vistaの製品版を利用した機能説明やデモンストレーションが行なわれた。
■ Windows Vista製品版を利用したデモ。USBを介した設定転送ツールも紹介
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マイクロソフトの飯島氏。手に持つのはWindows転送ツールで利用するUSBケーブル
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第2部のうち、Windows Vistaが備える機能全般やモバイル用途での利用シーンに関する説明は、Windows本部 Windows OSマーケティング部の飯島圭一シニアプロダクトマネージャが担当した。
飯島氏は冒頭、「製品版ではアイコンや起動音を、これまでの開発バージョンから刷新した」と説明。起動音はロックバンド「キング・クリムゾン」のロバート・フィリップス氏が制作に参加したという。
Windows Vista Ultimate/Enterprise/Business/Home Premiumに搭載される「Windows Aero」機能では、「画面描画をレイヤ単位に分けたことで、CPU使用率を低く抑えられる」という。飯島氏は、ウィンドウをドラッグした状態を例に、Aero無効時には50%以上の数値を示したCPU使用率が、有効時には15%程度に止まることを紹介した。ガジェットについては「現時点で107個の利用が可能で、現在実施しているコンテストなどを通じて続々増えていく予定だ」と述べた。
Windows Vistaでは、コンピュータのハードウェアおよびソフトウェアのパフォーマンス状況を数値(スコア)化して示す「Windowsエクスペリエンス インデックス」機能を用意する。飯島氏はゲームコンテンツ(Chess Titans)を取り上げ、「この場合、ゲームに必要なスコア、推奨されるスコアに加え、システム側のスコアが一覧で確認できる」とした。画面内には、「コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)」によるレーティング情報も確認できた。
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Windows AeroではCPU使用率を抑えているという
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現時点で107種類を用意するガジェット
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ソフトやハードに対するスコア情報も確認できる
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Windows XP上でWindows転送ツールを起動したところ
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さらに既存のWindows OSからシステムやプログラム設定やデータの転送手段として、Windows転送ツールを新たに用意。同ツールは、専用USBケーブルでWindows Vista搭載パソコンとWindos OS搭載パソコンを接続し、設定ツールを利用して転送を行なっていくもの。飯島氏は「発売時期や価格は未定だが、今後周辺機器メーカーを通じて転送ツールとUSBケーブルのセット製品が発売される」とした。
起動速度はOSに加えて、アプリケーション起動の高速化も図られた。これは「Windows SuperFetch」機能を利用したもので、「利用頻度の高いアプリケーションのデータを事前にキャッシュ化させることで高速起動を実現した」という。メモリ管理に関しても、ウイルス対策ソフトのウイルスチェック完了後に、使用メモリを他アプリケーションのキャッシュに割り戻す最適化も行なわれる。
メモリに関してはまた、USBフラッシュメモリやSDカードなど外部メモリデバイスをメモリとして利用できる「Windows ReadyBoost」も用意する。同機能ではキャッシュメモリとして各デバイスを利用するため、必要に応じてデバイスの抜き差しが可能。飯島氏は「Windows SuperFetchとの組み合わせで、応答性向上などが期待できる」と語った。
バックアップ面では、自動スケジュールによる指定ファイルやフォルダをバックアップできる。既存OSと比較してZipファイルでバックアップを行なうことで、作業速度や容量の低減に加え、Zipファイル状態でのファイル確認が可能になったのが特徴だという。
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デバイスインストール後は、USBケーブルで転送先のWindows Vista機を接続
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ケーブルを接続するとVista上に表示される画面
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ユーザーアカウントやファイル、Internet Explorerの設定情報が転送可能
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■ WPFの導入で動的なコンテンツ表示が可能に。Media Centerも機能向上
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マイクロソフトの森氏
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「Windows Presentation Foundation(WPF)」や各種アプリケーション、Windows Media Center機能などの説明は、コンシューマWindows製品部の森洋孝シニアプロダクトマネージャが担当した。
WPFはテキストや画像、動画などを動的に統合したWebコンテンツを画面切り替えなく利用でき、ウィンドウサイズの違いによる段組み変更も自動で行なわれる。デモでは、国内で対応を表明する10社のうち、オープンインターフェイスによるレース映像や、リクルートによるグルメ情報サービスが紹介された。WPFは「.NET Framework 3.0」を利用したもので、Windows XPでも表示形式は異なるが利用が可能。それ以外の他社製Webブラウザに関しては、今後対応を検討していくという。
画像や動画関連のアプリケーションでは、Windows DVDメーカー、Windows ムービーメーカーに加えて、Widndows フォトギャラリーを標準搭載する。フォトギャラリーでは、日付やタグでの管理に加えて、各社のRAWフィルターにも対応。指定したファイルをDVDへ書き込む際のDVDメーカーとの連動機能も用意される。また、Windows Media Player 11ではジャケット写真の登録に対応し、フォルダ表示の際もジャケット写真が確認できる。
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WPF概要
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WPFで作成されたレース映像のコンテンツ。画面遷移なく映像の変更などが行なえる
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リクルートのグルメ情報コンテンツも紹介された
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Windows Media Center機能は、Windows Vista UltimateおよびHome Premiumに搭載される。現行のWindows Media Centerと比較して、メニュー表示などを動的なタイプに変更。各社がメディア オンライン向けに提供するオンラインサービスのキャッシュ化にも対応し、1度読み込んだコンテンツは一定時間内であれば、素早く表示が可能になったという。
森氏は「今回はWindows Vistaが持つ標準機能を紹介したが、今後はWPFやAeroに対応した製品が各社から順次発売されるだろう」とコメント。「Windows Vistaの登場によって、PCを中心としたアプリケーションやサービス、周辺機器は1段先の力を発揮することができる」と強調した。
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Windows Media Center画面も改良が加えられた
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オーストラリアのソフトウェアメーカーが試作した為替情報ツール
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Windows Vistaによる次世代ホームエンタテインメント環境のイメージ図
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■ 複数のVista端末によるミーティング機能。サブウィンドウ搭載のPCも紹介
モバイル用途での機能説明にあたって飯島氏は、「Windows Vistaでモバイル環境での利用に初めて注力した」と発言。米国のモバイルPC市場が年間二桁成長を続けている点を挙げたほか、「日本市場では出荷比率が全体の55%に達している熟成された市場である」と語り、「モバイル機能が大幅に向上したのは喜ばしい点だと感じている」と付け加えた。
モバイル機能では主に電源管理の説明が行なわれた。飯島氏によれば、「デスクトップとモバイル環境では電源管理の動作が異なる」という。モバイルではスタンバイから休止状態に移行する際に、データの保存先をメモリからHDDに切り換えるほか、バッテリー切れに備えたデータ管理としてデスクトップイメージを保存するなどの対策も実施される。
電源プランはカスタマイズモードに加えて、利用用途に応じたバランス/省電力/高パフォーマンスモードの設定が可能。バッテリーメーター上では推定稼働時間や残容量、設定した電源モードが確認できる。さらに「Windowsモビリティセンター」機能も用意され、ディスプレイの明るさや音量、無線LAN、電源管理の設定などを1画面上で変更が可能になった。
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スリープモード概要
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電源管理はユーザーによるカスタマイズ設定にも対応する
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各種設定を一元管理できる「Windowsモビリティセンター」
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セキュリティ面では、Windows Vista UltimateおよびEnterpriseにおいて「Windows BitLocker ドライブ暗号化」機能を利用したPCの紛失・盗難などによる情報漏洩策を施した。USBメモリをドライブ暗号化キーとして設定した際には、他ユーザーによるシステム起動の防止が図れる。さらに、同機能を有効にしたHDDは、別のPCに直接接続した場合でも保存した内容を閲覧できないほか、スキャンソフトによるデータ有無にも反応しないという。
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USBメモリを暗号化キーに設定した場合に不正にアクセスしようとすると表示される画面
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他のPCに直接接続しても同機能の設定ファイル以外は閲覧できない
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データの有無を調べるチェックソフトへの対応も行なっているという
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Windows ミーティングスペース概要
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モバイル向け機能では、最大10台までのWindows VistaでPC画面を共有できる「Windows ミーティングスペース」機能を用意。ファイルやアプリケーションの共有が可能なほか、管理権の設定にも対応。飯島氏は「ネットワーク環境がない場所でも、アドホック通信によって同機能が利用できる」と語った。
このほか、携帯電話が備えるサブウィンドウのように、Windows Vistaの一部機能を表示できる「Windows Sideshow」機能も紹介された。同機能では、マイクロソフトがファームウェアを提供するEnhanced版に加え、メーカー側で設定が可能なBasic版の2種類を用意する。
発表会では、Enhanced版を導入したASUS製のPCを利用してデモンストレーションを実施された。Windows Sideshowは、Windows Vistaとは独立した動作にも対応し、アプリケーションによってはWindows Vistaがシャットダウン状態でも利用できる。また、PC側とWindows Sideshow側の画面を同期させ、プレゼンテーション用途での活用も提案していた。
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Windows Sideshow概要
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Windows Sideshowの画面。単独動作に加え、PCのメイン画面との連動にも対応する
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デモではASUS製のPCを利用。キーボードが日本仕様になっている
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■ URL
Windows Vista 製品情報ページ
http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/
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(村松健至)
2006/11/21 20:43
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