マイクロソフトは11日、小規模事業者および個人事業主を対象にしたインターネットサービス「Microsoft Office Live 日本語版」のベータ版提供を開始した。ベータ版期間中の試用は無償だが、サインアップ時にクレジットカード番号の登録が必要になる。
■ 独自ドメインのWebサイトやメールを無償で運用可能なサービス
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独自ドメインによるホームページ、メールサービスを無償提供
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「Microsoft Office Live」ベータ版での提供メニューと利用可能な機能
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「Microsoft Office Live」は、10名以下の小規模事業者および個人事業主向けに独自ドメインによるホームページや電子メール機能を提供するインターネットサービス。サービス開始にあたってマイクロソフトでは、従業員20名以下の企業および個人事業主向けを対象にアンケート調査を実施。それによれば、独自ドメインによるホームページ利用率が30.2%、電子メールが14.5%と低く推移しており、「インターネットをビジネスツールに活かす余地はまだある」とした。
基本メニューである「Microsoft Office Live Basics」は、無償で利用が可能。独自ドメインの運用費用と500MB容量のホームページスペース、2GB容量で25個分のメールアドレス、Ajax採用のホームページデザインツール、トラフィックツール、電子メールによるサポートを追加料金なく利用できる。
また、10アカウント分で500MB容量の専用ワークスペースや顧客管理機能などを追加した「Microsoft Office Live Essentials」、20アカウント分で1GB容量の専用ワークスペース、グループウェア、ビジネスツールなどを追加した「Microsoft Office Live Premium」といった機能拡張メニューも用意する。正式サービス時には有償化されるが、ベータ期間中は無償で提供される。
これら2メニューでは、ホームページ容量やメールアカウント数が拡充されているほか、電話によるサポート窓口も用意する。なお、Premiumから独自ドメインやホームページ、電子メール機能などを省略した「Microsoft Office Live Collaboration」のベータ版も後日提供を予定するという。
標準で取得可能なドメインは「.com/net/org(以下、汎用ドメイン)」の3種類。「Microsoft Office Live」に新規サインアップして取得した場合の費用と更新費用は、サービス利用期間中に限ってマイクロソフトが負担する。また、「.jp」ドメインの新規取得、すでに利用している汎用ドメインの追加登録にも有償で対応する。なお、汎用ドメイン以外の追加登録に関しては、今後対応を検討していくという。
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Office Liveでのサービス領域
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動作環境。メール機能はWindows Mobileからも利用可能
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汎用ドメインを標準で取得が可能。また、アクセス解析機能も用意する
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Officeと連携可能な専用ワークスペースとビジネスツールなども用意
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■ ExcelやOutlook、Accessとの連携機能も用意
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メンバーセンター画面
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サインアップおよびドメイン取得は合計6ステップで完了するといい、以降はトップページである「メンバーセンター」が表示されるようになる。メンバーセンターではホームページの作成やメールアドレスの管理・登録が行なえる。
ホームページデザインツールは、「the 2007 Microsoft Office system(2007 Office)」にも実装されているUI「リボン」をサポート。ページデザインやスタイル、レイアウトなどをWord感覚で編集が可能だといい、画像のスライドショー機能やMSNからの天気予報情報、問い合わせフォームも設置できる。また、アクセス解析機能もすべてのメニューで搭載している。
電子メール機能は、「Windows Live Mail」サービスを基本インフラに利用したもの。EssentialsおよびPremiumメニューでは「Microsoft Office Outlook Connector(Outlook Connector)」を導入することで、Outlookとの連携も可能になる。なお、Windows Live Mailなどで、Outlook Connectorの利用する場合は有償サービスに加入する必要があるが、マイクロソフトでは利用体系に関する見直しを現在進めているという。
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ホームページデザインツールも用意
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アクセス解析画面。今後は検索キーワードをベースにしたリスティング広告受付への対応も図る
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電子メールは「Windows Live Mail」がベース
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ビジネスアプリケーション画面
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Essentials以降で利用可能な専用ワークスペース、およびPremiumで利用可能なビジネスツールは、「Windows SharePoint Services」をホスティングサービスとして提供するもので、社内での情報共有や活用を主眼に入れている。専用ワークスペース内ではAccessと同等の操作が可能だといい、AccessやExcel、Outlookとの連携に対応する。また、日本で開発を行なったという電話メモなどを記録できるグループボード機能のほか、ファイル・画像共有ツールやプロジェクト管理ツール、Wikiツールも用意している。
このほか、専用ワークスペースをイントラネット用途以外に、特定顧客との情報共有に利用できるエクストラネットとしても利用できる。メールアドレスなどを登録し、該当部分に編集権限を与えることで、共有が可能になる。
セキュリティ面では、Windows Live IDを利用したユーザー認証、128bitの共有SSL、ユーザー設定・権限設定に対応。また、バックアップに関してもマイクロソフト側で毎日実施していく。
ベータ期間中は、全メニューともに無償で利用が可能。ただし、ホームページ容量追加などのメニューは有料オプションとして提供が行なわれる。正式サービスは2007年第2四半期を予定し、EssentialsおよびPremiumは有償メニューで提供される。具体的な料金体系は未定だが、先行して正式サービスを開始している米国の利用料金は、Essentialsが月額19.95ドル、Premiumが月額39.95ドルとなっている。
サービスのビジネスモデルは、広告ビジネスと有償メニューを組み合わせた形態を採用。広告収入によって、サービスの無償化および低価格での提供が実現できているとしている。
ExcelやOutlook、Accessとのデータ連携も行なえる
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電話メモなど日本で開発されたツールも搭載する
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ユーザー権限を設定してエクストラネットとしての利用も
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ファイルや画像共有機能も搭載
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■ パートナー企業を巻き込んだエコシステムの構築を視野にサービスを展開
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マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部の横井本部長
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ベータ版提供開始に伴って開催された説明会の中で、同社 インフォメーションワーカービジネス本部の横井伸好本部長は「PCを取り巻くIT業界は5年に1回程度の割合で、変革期とも呼べる技術的な波が起きている」と発言。「2005年頃からはインターネット上からアプリケーションサービスを提供しようとする“Software as a Service(SaaS)”という波が起きている」と語った。
一方で、「すべてのサービスがインターネットから提供されるようになるとは考えていない」と語る横井氏は、「マイクロソフトでは“Software as a Service”ではなく、“Software plus Service”という形がユーザーにとって現実的な利用形態と考えている」と同社の考え方を示した。その上で、「デスクトップアプリケーションとインターネット上サービスを相互補完することで、一層高度な生産性の向上が図れる」と語った。
横井氏は、「Microsoft Office Live」について、「クライアント側にインストールしたOfficeを、インターネットサービス側から機能補完するもの」と説明。また、フィードバックに基づいて機能拡張を行なっていく考えを示し、「SharePoint Technologyの採用によって、パートナー企業のアプリケーションにも対応が可能で、ユーザーの利便性向上を含めてエコシステムを構築していきたい」と中長期的なビジョンも明らかにした。
今後の機能強化点としては、米国で提供中のオンラインリスティング広告を発注できる「Office Live adManeger Beta」、商品の販売管理アプリケーション「Office Accounting Express 2007」などの実装を予定。また、利用料金の銀行振込対応など、現時点でクレジットカードに限られている決済方法の拡充も進めていく。
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2007 Microsoft Office Systemにおける各サービスの位置付け
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Office Liveのアーキテクチャ
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■ URL
ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2911
関連記事:「Microsoft Office Live」が米国で正式公開、日本語ベータ版は21日から[INTERNET Watch]
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/11/16/13959.html
■ 関連記事
・ マイクロソフト、Outlook向けWindows Live Mail連携ツールを公開
(村松健至)
2006/12/11 16:02
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