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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
米DivXがプレスカンファレンスを開催。「DivX」や「Stage6」をアピール

 米DivXは、2006年9月の米国NASDAQへの上場から初となるプレスカンファレンスを、12月13日に日本国内で開催した。プレスカンファレンスでは、同社のこれまでの活動や今後の展開に関する説明が行なわれた。


DivXダウンロードは10%、Stage6へのアクセス数は約半数が日本から

DivX CXOのケビン・ヘル氏
 日本でのプレスカンファレンスは、DivXによれば今回が初めて。同社のチーフDivXオフィサー(CXO)のケビン・ヘル氏に加え、2006年8月末に日本代表に就任した元マクロメディア代表取締役社長の大沢幸弘氏らが出席した。

 ケビン・ヘル氏は、2000年5月の会社設立から同社の世界展開状況に関して触れたのち、日本における状況を説明。同氏によれば、2億回を超えるDivXソフトウェアのダウンロード数のうち、「日本でのダウンロード数は全体の10%。ソフトウェアを配布している『DivX.com』へのアクセス数は全体の8%に上っている」という。

 また、2006年8月にアルファ版提供を開始した動画共有サイト「DivX Stage6」に関しては、「主だったマーケティング活動をしていない中で、これまでに1,500万人のユニークユーザーが訪れた」と語り、「このうち、ほぼ半数が日本からのユーザーである」と続けた。このほか、日本市場において30製品以上のDivX対応製品が販売されている点、Ultra DivXに対応したパイオニアの「DV-696AV」などのDVDプレーヤー製品の売れ行きが好調である点も紹介された。

 その上でケビン・ヘル氏は、「DivXは日本市場でも大きな成長を遂げており、元マクロメディアの大沢氏を日本代表に招いたことで日本市場への意気込みを感じ取って貰えると思う」と述べ、同社が日本市場を重視している点を強調した。


日本における状況 DivXが提携関係を結ぶ企業の一部も紹介された 発表会場では日本で発売されるDivX対応製品も展示

各社との提携を通じたデジタル家電でのエコシステム構築を目指す

日本代表を務める大沢氏
 同社が提供するDivXコーデックに関してケビン・ヘル氏は、「MPEG-4用のコーデックとして登場して以降、動画におけるMP3のような存在として世界に知られるようになった」とコメント。また、DivXコーデックを使用した動画も20億個に及んでいるという。

 また、半導体や家電、ソフトウェア、コンテンツ事業者などとの提携も順調に進んでいる点を強調。「Googleとは2004年から提携関係にあり、GoogleツールバーとDivXソフトウェア、それにFireFoxをバンドルした製品を提供している」と説明した。また、「先週に契約の更新手続きを完了した」といい、Googleとの提携関係が継続することをアピールした。加えて、海外での事例としてフランスなどでDivX対応コンテンツのVOD配信に関する提携も行なっている点も紹介した。

 DivX認証を取得したデジタル家電製品は、ポータブルおよび車載型を含めたDVDプレーヤー、DVDレコーダ、デジタルカメラ、STBを中心に5,000万台以上が出荷されているという。このうち、最も成功を収めているのはDVDプレーヤーで、ケビン・ヘル氏は「DivXコンテンツをディスクに焼き込んでプレーヤーで視聴するスタイルが定着している」と語る。

 地域別では、「西欧圏でDivX対応のDVDプレーヤーが90%以上のシェアを持っている」と説明。米国および日本市場の伸びは緩やかながら、「米国では1四半期で15%から30%に、日本でも年初の10%と比較して15~20%まで伸びたと推測している」と語った。また、インドなどではDVDプレーヤーへのDivX対応コンテンツのバンドル施策も展開している点を紹介し、1枚のディスクに映画6作品を収録しているという。

 同氏は、「こうした製品間ではDivXで作成したコンテンツの再生が可能であり、デジタル家電におけるエコシステムが構築できている」と語った。また、日本代表の大沢氏は「韓国のサムスン電子が携帯電話でのDivX対応を表明している」と述べ、「今後は携帯電話に加え、デジタルテレビやゲーム機でもDivXへの対応が進んでいく可能性がある」と見通しを述べた。また、こうしたエコシステムの中心にStage6が位置しているといい、大沢氏は「ある業界関係者の方に“モバイル環境を含めた動画2.0環境が実現されつつある”と言われた」と語った。

 DivXの上位認証プログラム「DivX Ultra」では、DVDと同等のメディアメニューやチャプター、サブタイトル、マルチオーディオトラック、ビデオタグをサポート。ケビン・ヘル氏は「デジタル家電製品をマスマーケットと位置付け、同市場に豊富な機能を提供しているのは当社だけではないか」と自信を示した。


デジタル家電におけるエコシステム構築を目指していく 日本における対応機器の進捗状況

高画質性や対応機器との連携性など「Stage6」の特徴をアピール

「DivX Stage6」。画質やコミュニティ、対応機器との相互接続性が特徴という
 また、DivX対応機器が増加する中でコンテンツを楽しむ機会を用意するため提供を開始したのが、動画共有サイトの「DivX Stage6」になるという。同社では、8月のリリース段階から大きな発表は行なっていないといい、ケビン・ヘル氏は「DivXと同様に、ユーザーからユーザーへの口コミ効果で利用が広がっている状況だ」と述べた。

 YouTubeなど他の競合サービスとの差異については、「1080pまでの高画質画像をサポートしている点」や「ユーザーコミュニティ性」、「公開動画をダウンロードし、DivX対応のデジタル家電で再生できる点」を指摘。ケビン・ヘル氏は「特に高解像度で動画を視聴できる点が、日本市場で注目を集めた理由ではないかと考えている」と付け加え、日本のメーカーがStage6対応を謳って製品告知を行なっている事例を紹介した。

 同サービスに関しては、現在アルファ版となることから日本語への完全対応などは今後の検討課題。また、将来的にはDRMを付加したDivXコンテンツの販売機能も設ける考えで、大沢氏は「プロアマ問わず、作品を発表し、作品で収入を得る機会が提供できるようになる」と述べた。なお、Stage6上には日本のアニメ作品を含め、著作権に違反したコンテンツもアップロードされているが、同社では米国法に基づいて違反コンテンツを見つけ次第、順次削除する方針だという。

 ケビン・ヘル氏は、「デジタル家電製品をインフラに、コンテンツや関連コミュニティが一層拡大する」と語り、「究極的にはDivXをベースとした共通のメディア言語を実現したい」と抱負を述べる。その上で、「アップルのように閉じられた世界でのサービス展開を目指す企業もあるが、我々は広範囲な企業と提携しながら構想実現に向けて活動していく」と同社の事業展開における姿勢を改めて説明した。


DivX Ultra対応コンテンツの再生デモも行なわれた 共通メディア言語の実現が究極的な目標だという

関連情報

URL
  DivX.com
  http://www.divx.com/?lang=ja
  DivX Stage6
  http://stage6.divx.com/

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(村松健至)
2006/12/13 16:01
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