富士フイルムは、同社が持つ技術を一般公開する実験サイト「FUJIFILM Internet Technology Labs」を24日に開設した。第1弾として画像検索エンジン「TRIPIT(トリピット)」を公開した。
■ 画像に付加された言葉から関連画像を表示する検索エンジン「TRIPIT」
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TRIPIT Labs。事例紹介も7月25日から行なうと予告されている
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FUJIFILM Internet Technology Labsは、富士フイルムが開発したソフトウェア技術を商用サービス前に公開を行なう実験サイト。3カ月程度のペースで新しいソフトウェア技術の提供を予定するほか、各技術を利用できるAPIも公開していく。
第1弾として公開されたTRIPITは、画像に関連付けられたタグやタイトル、コメントなどの言葉同士を言語処理技術を応用して結びつけ、1つの画像から関連のある画像を自動的に検索していく画像検索エンジン。画像の周辺には関連のある画像が円を描いて表示される。また、周辺にある画像をクリックすると、関連する画像が同じように表示されていく。
同検索エンジンで利用するシソーラスは、Wikipedia日本語版をはじめとしたインターネット上の言語リソースから各語彙間の関連性を学習し、約1,500万通りの関連語彙体系を自動で構築。検索時には、独自の計算方式に基づいてスコアリングされた関連画像を表示していく。なお、同シソーラスは、富士フイルムとサーバードメイン社が共同で開発した。
TRIPITを紹介する「TRIPIT Labs」では、画像共有サービス「Flickr」で公開された画像を検索できる「Flickr関連画像検索」を一例として公開。また、シソーラスでは画像以外を対象にした検索も可能なことから、Wikipedia日本語版の関連記事を検索できるアプリケーションも公開されている。
APIでは、TRIPITの関連タグ検索機能をWebアプリケーションに組み込むことが可能だという。富士フイルムでは、タグやコメントなどが付加されたサービスであれば利用が可能だとしており、動画や音楽ファイルやサービスなどでの活用も考えられるとしている。
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「Flickr関連画像検索」のイメージ。画像上にタグ情報も表示が可能
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Wikipedia日本語版の関連記事検索。入力キーワードに関連した記事を周囲に表示していく
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■ 羽田氏「ユーザーの知恵を借りながら、公開技術を次のフェイズに」
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富士フイルムの羽田氏
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富士フイルム 新規事業開発本部 ネット応用ビジネス推進部の羽田典久部長は、「当社が開発した技術の中には、これまで社内では使い道が思いつかなかった技術もあるのではないか」とコメント。「実験サイトではユーザーの知恵を借りながら、こうした技術を次のフェイズに進められるようなことができればと考えている」と語った。
実験サイト公開までの準備期間は約1年。新規事業開発本部 ネット応用ビジネス推進部 主任技師の沢野哲也氏は、「インターネット上では、多くの企業が他社と差別化できる源泉の部分をAPIとして公開しているケースが多い中で、これまでのように自らの営業力を持ってユースケースを提案していくのは一部で限界を感じていた」という。
また、「差別化要因を売りにした営業方法を、インターネットビジネスに適用するのは難しい面もある」と語り、「Google MapsのAPIを活用したサービスが多数出ているように、APIを公開することでWin-Winの関係を築いていけるようにしたい」と述べた。その上で、「技術は使われなければ意味がなく、今回の実験サイトのようにポジティブな環境がなければ、将来的にインターネットのスピードに追いつけなくなる可能性がある」と自身の考えを示した。
羽田氏は実験サイト公開に際して、数社に対して技術説明を行なったところ、「動画との活用事例など、画像を得意とする我々の考えでは余り出てこなかった反応が得られた」という。実験サイトでは、現時点で利用には至っていない技術を含めて、3カ月に1回程度のペースで公開を進めていく考えで、「この中から商用サービスへと発展できるような技術が出てくれば」と抱負を語った。
■ URL
ニュースリリース
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/article/ffnr0128.html
TRIPIT Labs
http://labs.tripit.jp/
FUJIFILM Internet Technology Labs
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/tech/itlabs/index.html
(村松健至)
2007/07/24 17:22
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