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代表取締役社長の竹内一斉氏
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アイピーモバイルは29日、2GHz帯を利用したワイヤレスサービスに関して「周波数帯域を返上する意志はない」と発表、改めて事業参入への意志を明らかにした。
アイピーモバイルを巡っては、2006年10月に開始予定だったTD-CDMA方式によるワイヤレスサービスが延期されたほか、2007年4月には筆頭株主のマルチメディア総合研究所が保有する発行済み株式69.23%の全部を森トラストへ譲渡。筆頭株主となった森トラストは、8月8日付けで米NextWave Wirelessに全株式を譲渡したが、NextWave Wirelessが9月19日に株式返却の権利を行使していた。
森トラストではこれを受けて、同通知を受領したとともに、アイピーモバイルの杉村五男取締役会長らと全株式の譲渡契約を締結したと発表。しかし、アイピーモバイルの他の経営陣は同契約を把握しておらず、杉村会長との確認がとれた後に取締役会でこれを認めない旨の意向を示し、現在も株式の異動やサービス参入の可否を巡って混乱状態が続いている。
29日に開かれた会見には、9月18日に代表取締役社長に就任した竹内一斉氏が出席。これまでの経緯とワイヤレスサービスへの参入について説明を行なった。
■ 事業化に向けて引き続き準備。ただし、杉村会長を除いた取締役は解任へ
竹内社長は冒頭、「現在報じられている免許の返上という話はまったくなく、事業化に向けて引き続き準備を進めているところだ」と発言。2GHz帯を利用したワイヤレスサービス提供の意志を改めて示した。
今回の会見開催は28日午前に告知が行なわれたが、竹内氏は「午後になって森トラストから株主総会招集に関する請求があった」と説明。ただし、森トラストではアイピーモバイルの杉村五男取締役会長と株主譲渡契約を結んだと発表しており、竹内氏は「杉村氏の要請にもとづいて、請求が行なわれたようだ」と付け加えた。
請求内容は、杉村会長を除いた竹内社長、竹内大志 技術担当取締役、北岡豪史 オペレーション担当取締役、田島拓 管理担当取締役の解任。これに加えて、新しい取締役の選任案になるという。
竹内社長ら4人の取締役は解任の提案を受け入れる意向で、「今後の事業展開は、新しい経営体制で進められるのではないか」と語った。一方、取締役4人が自ら辞任する意向はなく、「解任を潔く受け入れるのが我々のけじめ」と竹内社長は説明した。
また、森トラストからの請求後に杉村会長から連絡があったと明かし、竹内社長は「頑張って欲しい」と伝えたという。竹内社長ら取締役の4氏は、解任後も事業化に向けた協力は惜しまないとしている。
■ 森トラストから杉村会長への株式異動は「取締役会で未承認」
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森トラストからの文書に目を通す竹内社長
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竹内社長によれば、森トラストから杉村会長への株式譲渡は、杉村氏個人で行なったものだという。一方、株式の正式な異動にはアイピーモバイル取締役会の承認が必要になるため、竹内社長側では現在も森トラストが筆頭株主という認識を示した。
一時、筆頭株主となったNextWave Wirelessによる事業化が不調に終わった点に関しては、「海外の企業であり、事業規模を考えると1社で資金をまかなうのは難しい。従って、パートナーを集める必要があるが、その辺で難しいと判断されたのではないか」とした。ただし、今後も機器ベンダーとして機材提供などの協力関係は続くという。
森トラストとの関係について竹内社長は、「通信業と異なる事業を手がける森トラストさんには、パートナー集めの面で期待を受けていた」という。しかし、「結果として森トラスト、そして、同社の森章 代表取締役社長に対して安心を与えられなかったのが1番のポイントだったと思う」と述べた。
なお、森トラストが株式を再取得後に免許を即時返上しなかった点については、「感謝している」と竹内社長は語った。
■ 竹内社長「総務省とは緊密に連絡」。開設計画の変更申請も準備中
総務省に対して竹内社長は、「私や他の経営陣を含め、電話や直接訪問するなど緊密に連絡を取り合っている」という。2007年11月のサービス開始可否については、「現在、開設計画の変更申請に向けて準備をしている。総務省とも調整も行なっており、最終的に決定した段階で説明できるだろう」とした。
その上で、「資金的な面で裏付け、根拠を示すことが本質的な問題」と説明。「サービス開始時点では、『これがサービスか』との意見もあるかもしれないが、資金的な裏付けがあれば、半年や1年後、数年後を見据えてやる価値がある」と付け加えた。
竹内社長はまた、「ベンチャーでサービスを立ち上げるのは、大変難しいビジネスで多方面に迷惑をかけ続けていた」と発言。こうした混乱が続く中で、サービスを開始する意向を示している点に関しては「サービスはまったく別次元で、こうしたことは許されないこと」と述べ、「きちんとした資金提供者がいれば間違いなくサービスは運用できる」と強調した。
■ URL
アイピーモバイル
http://www.ipmobile.jp/
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(村松健至)
2007/09/28 15:20
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