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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
ドリコム中間決算、CGM事業に注力。行動ターゲティング広告の新開発も

 ドリコムは16日、2008年3月期 中間期(2007年4月~9月)の決算説明会を開催した。


子会社は順調に推移するも、連結の中間期業績は赤字に

ドリコムの内藤代表取締役
 中間期の連結業績は、売上高が前年同期比87.5%増の9億4,600万円。営業利益はマイナス1億7,800万円(前年同期4,600万円)、経常利益はマイナス1億8,300万円(同5,700万円)、純利益はマイナス3億5,200万円(同3,600万円)と、前年同期と比較していずれも赤字に転落した。

 事業別では、ビジネスソリューション事業(旧ブログ事業)の売上高は前年同期比4.3%減の4億6,300万円、営業利益はマイナス2億5,400万円(前年同期7,300万円)。事業進捗としては、ブログ・SNS構築システム製品や子会社・ドリコムマーケティングのIT販売が順調に推移。また、社内ブログ(SNS)構築パッケージ「ドリコムブログオフィス」は、NECネクサスソリューションズと開発・営業連携を進めているほか、8月には資本業務提携も行なっている。

 ウェブサービス事業(旧検索エンジン事業)は、売上高が24.2倍の4億8,200万円で、営業利益は7,600万円(前年同期マイナス2,700万円)。子会社のジェイケンとドリコムジェネレーティッドメディアが好調に推移して、売上拡大に寄与した。

 通期の業績予想は、Webサイト構築・更新システム「ドリコムCMS」のパッケージ版で複数の大型案件を失注したことなどを理由に、10月26日付けで下方修正済み。修正後の連結業績見込みは、売上高が22億円(修正前24億3,000万円)、営業利益が5,000万円(同3億円)、経常利益が0円(同2億7,000万円)、純利益がマイナス1億8,000万円(同4,000万円)。

 なお、ドリコム単体の業績は、売上高は32.5%減の3億4,000万円。営業利益はマイナス2億6,600万円、経常利益はマイナス2億7,100万円、純利益はマイナス3億3,800円。通期予想は連結と同様に下方修正されており、売上高は9億円(修正前11億円)、営業利益はマイナス2億2,000万円(同2,000万円)、経常利益はマイナス2億7,000万円(同1,500万円)、純利益はマイナス3億3,000万円(同1,000万円)。連結業績とともに前期から2期連続の最終赤字が見込まれる。


中間決算の概況 下半期から今後にかけての戦略

事業体制を再度見直し。「CGM事業に絞って収益力の強化を目指す」

事業体制の最適化施策
 ドリコムの内藤裕紀 代表取締役は、決算説明会の中で事業体制の最適化施策や今後の戦略について説明。第1四半期説明会で注力するとしていた「法人向けブログサービス」「CGM」「SaaS」の3事業のうち、今後はCGM事業に絞って収益力を強化する方針を示した。

 事業体制の最適化施策としては、販売管理費や派遣管理費、外注費用の削減のほか、ドリコムマーケティングの事務所移転による家賃費用の削減、ビジネスの選択と集中による投資費用の削減を実施。また、ドリコムでの新規採用を原則停止し、242名(グループ全体、中間期末)の人員をグループ内に適正再配置して新規採用費用を削減するとした。

 施策の一部はすでに実行されており、内藤氏は「下期で約1億円、月次ベースでは約2,000万円の費用削減効果が見込まれる」と語った。加えて、来期以降の収益力強化も進めたい考えを示した。

 また、事業の優先順位見直しも実施する。子会社のジェイケン、ドリコムマーケティング、ドリコムジェネレーティッドメディアは上期で黒字化を達成しており、引き続き優先順位を高めて事業を展開する考えだという。

 ドリコム単体では、「ドリコムSNS/ブログシステム」、「ドリコムブログオフィス」に注力するほか、特にインターネット広告分野を強化する考え。一方で、SaaSや「ドリコムCMS」、個人向けサービス「ドリコムRSS」「モノリス」「alis(β)」は新規開発を停止または一時停止する。また、「ドリコム研究室」は閉鎖して、研究成果を各ビジネスに応用するとした。


事業ごとの優先順位。SaaSや個人向けサービスは新規開発を停止または一部停止する CGM事業への選択と集中を進める

 インターネット広告分野では、広告マーケットプレース「スペースハンター」を核に次世代行動ターゲティング広告技術の研究開発を進める。新技術の詳細は特許申請中のため明らかにされなかったが、Webサイトの初回訪問時からユーザーの行動特性を判断して最適な広告を配信するものだという。また、その際には履歴やCookieなどの行動データ取得や蓄積を行なわないとしている。

 内藤氏は、「従来のように膨大な会員情報やアドネットワーク、行動データの蓄積が不要で、事前に設定した配信ルールに沿って広告配信を行なっていく」と説明。当初は自社の媒体でカテゴリ単位の広告配信数、配信速度など実験をし、代理店経由で試験販売を実施する。その上で、「スペースハンター」と連携を強化して、今年度内に新たな行動ターゲティング広告の配信を開始したいという。

 今後の見通しについては、事業体制の最適化や選択と集中によって収益力の強化を重点的に実施し、売上高の拡大と経常利益の黒字転換を目指す。内藤氏は、「予算見通しが不安定な大型案件依存の法人向け収益モデルから、広告・ユーザー課金による個人向け収益モデルの割合を高め、経営の安定性を図りたい」と語った。


次世代広告ターゲティング広告の概要 スペースハンターの現況。7月の導入媒体数減少は計測方向の変更が原因としている

関連情報

URL
  ドリコム 投資家情報
  http://www.drecom.co.jp/ir/

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(村松健至)
2007/11/16 13:38
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