Broadband Watch logo
最新ニュース
【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
ヤフーとeBayが業務提携。「ヤフオクにeBayの商品がいきなり揃う」

「セカイモン」のサイト
 ヤフーと米eBayは4日、新たなインターネットオークション市場の創出に向けて業務提携を締結した。相互の市場進出支援および誘導の強化などで連携を行なう。eBayは、インターネットオークション分野で米国最大手。

 今回の提携では、出品商品情報データベースなどのAPIを相互提供することで、両国内に購買代行サイトを構築することを検討する。第1段階として、ヤフーとeBayは4日、eBay公認のオークションサイト「セカイモン」を国内に開設。運営は、ネットプライスドットコムの子会社であるショップエアラインに委託する。セカイモンは、Yahoo! JAPAN IDを共通のアカウントとして使用できる。

 また、第2段階では、2008年3月末までに、Yahoo!オークション上にセカイモンを展開。Yahoo!オークションのユーザーは、米国eBayに出品されている商品の閲覧、入札・落札を行なえるようになる。

 さらに、第3段階として、2008年中に、Yahoo!オークションの商品を購買できる代行サイトをeBay内に開設する。これによりeBayのユーザーは、日本のYahoo!オークションの商品の閲覧、入札・落札が可能となる。ヤフーとeBayでは、両国間で相互に商品を流通させ、クロスボーダートレーディングを実現させるとしている。

 今回の提携についてヤフーの井上雅博代表取締役社長は、「世界的な市場を持つeBayと共同で、クロスボーダートレーディングの世界に携われることは非常に素晴らしい機会。Yahoo! JAPANのオープン化戦略の一翼を担う取り組みだと考えている」とコメント。「今後は、共同サイトを通して日本のユーザーに新たなオークションの魅力を伝えたい」としている。

 また、eBayのメグ・ウィットマン代表取締役兼CEOは、「Yahoo! JAPANとパートナーシップを組み、日本のユーザーにeBayの世界的な市場での買い物ができる特別なサイトを提供できることに大変わくわくしている」とコメント。eBayが得意とするクロスボーダートレーディングとYahoo! JAPANの日本市場における専門知識を上手く融合させ、日本のユーザーに最高の買い物を経験してもらいたいと述べている。


eBay協業は「ヤフーが次の10年に向けてオープン化する一環」

ヤフーの井上雅博代表取締役社長(左)、eBayインターナショナルのローリー・ノリントン社長(右)
 ヤフーとeBayは4日、インターネットオークション事業で協業することを発表したのに伴い、東京都内で記者会見を開催。ヤフーの井上雅博代表取締役社長、eBayインターナショナルのローリー・ノリントン社長らが協業の概要や意図などを語った。

 井上氏は、今回の協業について「ヤフーが次の10年に向けてオープン化する一環」と位置付ける。8年前に開始した「Yahoo!オークション」が、現在は規模も大きくそれなりに社会の中にも浸透してきたことを指摘した上で、「今回のeBayとの提携によって、国際取引が加わることになる」とした。

 今回の協業は、米国の売り手と日本の買い手、あるいは日本の売り手と米国の買い手を「ヤフーとeBayがつながることによってつなげていく」のが目的。具体的には、両社の間に購入代行サービスを立ち上げることで、国際取引を行なう際の言語や決済、配送、通関などの障壁を軽減していく。


まずは日本向けに、eBay購買代行サイト「セカイモン」開始

 協業は3つのフェーズに分けて進められる予定だ。まず、第1フェーズでは、eBayに出品されている商品を日本から購入できる購買代行サイト「セカイモン」を立ち上げた。セカイモンでは、eBayのAPIを利用して出品物をリスティングする一方、Yahoo!オークションからセカイモンへユーザーの誘導を図る。セカイモンは、ネットプライスドットコムの子会社であるショップエアラインが運用。収益はヤフー、eBay、ショップエアラインの3社でシェアする。

 第2フェーズでは、2008年3月末までに、セカイモンの中のリスティングをYahoo!オークション上でも見られるようにしていく。Yahoo!オークションのユーザーが別サイトにアクセスして商品を探すのではなく、Yahoo!オークションの検索機能によってeBayの商品も検索できるようになるわけだ。さらに、Yahoo!オークションのカテゴリの中に掲載することも見据えているという。

 第3フェーズは2008年中を予定している。第2フェーズまでとは逆に、米国のeBayのユーザーがYahoo!オークションの商品を手軽に購入できるようにする。Yahoo!オークションのAPIを使った米国向けの購買代行サービスを提供し、eBay上でYahoo!オークションの商品をリスティングしていく。ただし、運営会社は検討中だ。


購買代行モデル 第1フェーズ

第2フェーズ 第3フェーズ

日本のショッピングサイトと同じ感覚でeBayで購入可能

(向かって左から)eBayコーポレート上級副社長兼アジア・パシフィック地域担当ジェネラルマネージャーのジェイ・H・リー氏、ネットプライスドットコム代表取締役社長兼グループCEO/ショップエアライン会長の佐藤輝英氏、ヤフーオークション事業部長の八代峰樹氏
 会見では、ネットプライスドットコム代表取締役社長兼グループCEOで、ショップエアラインの会長でもある佐藤輝英氏も出席し、セカイモンについて説明した。

 佐藤氏によれば、セカイモンは、「ユーザーにとっては、日本のショッピングサイトを使えるような感覚で使える」。Yahoo! IDでもログインが可能で、インターフェイスもすべて日本語になっているほか、商品の検索も日本語で行なえる。個々の商品の説明ページでは、オークションの残り時間などのほか、為替レートをもとにした現在の入札価格の円換算価格も参考表示する。

 代行手数料は、商品価格の15%を想定しており、決済はクレジットカードまたはPayPalに対応する。商品の到着までの期間は、商品や売り手にもよるが「1週間から2週間で、極めてスピーディに手元に届く」という。このほか送料や関税がかかるが、国際送料は重量により異なり、大きい商品で1アイテムにつき2,000円から3,000円程度だとした。

 オークションの国際取引ということで、国内の取引よりもユーザー間のトラブルが発生しやすいのではないかという懸念があるが、これについて佐藤氏は、「言語の壁、通関、物流、決済をすべてネットプライスにまかせることでスムーズになる」と回答。ネットプライスドットコムの事業でのノウハウを生かして体制面を整えるとともに、ユーザーから見れば、やりとりはショップエアラインと日本語で行なう形になると説明した。

 なお、日本の法律で禁止されているアイテムについては、セカイモンでは購入できないよう対策をとる。銃や禁止薬物などのカテゴリーはリスト上から除外するほか、サプリメントなども初期段階ではリストから外して様子を見ていくという。

 ヤフーの井上社長もユーザー間のトラブルについてコメントした。「eBayもヤフーもそれぞれ国内の取引については不正への対処や発生を防ぐ取り組みをいろいろ行なっている」と説明したほか、購買代行という「購買のプロ」が間に入る形になるため、日本のユーザーにとっては日本国内で取り引きするのと同じ形になり、「国際取引になることでトラブルが拡大するとは考えていない」との見方を示した。


米の売り手・買い手を「いきなり」揃えられる最適のパートナー

 井上社長は、eBayとの協業において、このような“相互乗り入れ”という方法を選んだ理由として「オークションというのは、売り手と買い手の両方を集めないと成立しない仕組み。たくさんの売り手がいるeBayの商品がそのまま日本の買い手に提供されれば、品揃えがいきなり揃うということで魅力的なサービスになる」と説明。一方、Yahoo!オークションを利用している買い手はすでに多数いるため、米国の売り手にとっても魅力ある市場になるという。井上社長は「売り手にとっては買い手がたくさんいるマーケットが魅力的、買い手にとっては売り手がたくさんいて品揃えがあるマーケットが魅力的。これを最も早く実現する手段として、このやり方とパートナーがいちばんよいと判断した」と述べている。

 eBayインターナショナルのノリントン社長は、かつてeBayが日本から撤退した2002年当時と比べてアジアでの戦略はだいぶ変わったとした上で、「アジアでのビジネスチャンスは認識しているが、今はいちばん強いパートナーと組むこと」を選んだとした。なお、eBay傘下のSkypeなど、オークション以外の分野でのヤフーとの協業の可能性については、「検討はしていきたいが、今回のオークションの国際取引で成功してから」だとした。

 協業による国際取引の取り扱い高については明言しなかったが、ノリントン社長は「eBayの国際取引の中でも最大級になる。まだ推定値は出していないが、そうなって欲しいと思っている」と述べた。井上社長も、「新しい市場を作ることになるので、なかなか見通しは立たないが、潜在的な市場はある」と述べた。

 井上社長はまた、「最初から最終形というか、うまくいくかはわからない。長期間にわたって利用者の利便性を追及し、なるべく簡単に買えるようにしていく。これにより、国際的なC2C、B2B市場を作り上げていく。日米とも購買力のある国なので、それなりに大きい市場になると期待している」と述べた。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://pr.yahoo.co.jp/release/2007/1204a.html


(永沢 茂, 増田 覚)
2007/12/04 19:51
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.