セレゴ・ジャパンは11日、無料の英語学習SNS「iKnow!」ベータ版に関する記者説明会を開催した。新たに携帯電話とPodcastingに対応し、サービスが「Ver1.1」にバージョンアップしたと発表した。
■ 学習状況に応じてパーソナライズ化。SNSによるコミュニケーションも
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iKnow!
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「iKnow!」は、2007年10月にサービス提供を開始した、SNS機能を持つ無料の英語学習サービス。脳科学や認知心理学に基づいた学習エンジンを独自開発し、反復学習の繰り返しによって記憶の定着を促進することで学習効果の向上を図っていく。
iKnow!での学習はテーマに沿って行なわれ、基礎英語やTOEIC、トラベル、ビジネス英語、MBA/留学対策、大学受験英語チャネルを用意。また、NHKの語学番組「100語でスタート!英会話」で知られる東京外国語大学の投野由起夫 准教授がチャネルオーナーを務める「投野コーパスチャンネル」も開設されている。
学習アプリケーションとしては、「iKnow!学習アプリ」と「ディクテーション」を用意。iKnow!学習アプリは、単語やフレーズを1レッスン最大10アイテムまで学習できるもので、ネイティブの発音に合わせてイメージや例文を見ながら効率的に暗記が可能だとしている。また、選択式クイズやスペル入力式のクイズによる反復学習もできる。
ディクテーションは、英語のタイピング力とリスニング力の向上を目的としたもの。最初に文章の穴埋め問題に解答した上で、全文入力問題が出題され、自分のディクテーションスキルレベルを測定できる。スキルレベル値の平均は、ユーザー単位で用意されるマイページ上に表示される。
学習アプリケーションは、ユーザーの学習状況に合わせてパーソナライズ化。同社では、「同時に2人のユーザーが学習を開始しても、30分も経てば異なる内容になっている」としており、理解度が低い言葉を集中的にレッスンするようになるという。また、進捗状況に合わせた個別スケジュールも自動で生成していく。
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学習アプリケーションのイメージ画面
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テーマに合わせた複数のチャネルを用意している
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携帯電話やPodcasting対応でライフシーンに応じた学習が可能になるとしている
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コミュニティ機能では、個人プロフィール作成や学習進捗の公開に加え、ユーザー同士のメッセージ交換やフレンド登録が可能。英語に関するQ&Aが可能なディスカッションボードも用意するとともに、エキスパートによる学習のコツなどを紹介するブログも開設している。このほか、学習状況をブログなどで表示できるブログパーツも提供している。
「Ver1.1」として提供を開始する、携帯電話とPodcasting対応コンテンツはPC上で学習した内容と連動。携帯電話版「iKnow!モバイル版」は、PCで進めている学習内容の続きを進めることが可能。また、モバイル版で新たに開始したコースを、PCで続けるといった利用もできる。NTTドコモ/au/ソフトバンク端末(一部除く)で利用可能。提供コンテンツはパケット代を考慮して、現時点では音声配信は省略されている。
Podcastingでは、ユーザーの学習状況に同期した音声コンテンツをユーザーごとに配信。配信データにはテキスト情報も格納されており、iPodなどでは音声とともに英文や訳などのテキストが確認できる。
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携帯電話版。キー操作による学習が可能
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Podcastingではテキストデータも配信する
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■ 基本機能は「永遠に無料」。今後はUGC機能やWii/PSP対応も予定
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(左から)米CeregoのヤングCEO、セレゴ・ジャパンのルイス社長
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東京外国語大学の投野准教授
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セレゴ・ジャパンによれば、iKnow!の登録会員数は12月10日時点で25,000人を突破。また、直近1週間で5,000人増加したという。アンドリュー・スミス・ルイス代表取締役社長は、「2007年末で25,000人を目標にしていたが、想定より早く達成できた」とコメント。これを受けてサービス開始前に設定した2008年末のユーザー数25万人を上方修正し、「100万人を目指していきたい」とした。
米Cerego社のエリック・ヤングCEOは、ビジネスモデルについて「広告収入や当社が取得した特許をライセンスするなどして収益を上げてきたい」と説明。また、「現在提供している機能は永遠に無料で、ユーザーが『これがあったら良いな』という付加機能を課金コンテンツとして提供する考えだ」と述べた。
ヤング氏は「2008年にはYouTubeのようにユーザーが自分のコンテンツを投稿できるようなUGC(User Generated Content)機能を実装させたい」という。加えて、「WiiやPSPでも、iKnow!が利用できるよう準備を進めている」と語った。このほか、日本語学習を目的にした「iKnow!日本語版」の提供も予定しているという。
ルイス氏は、「セレゴ・ジャパンが提供するのは英会話教室をベースにしたサービスではなく、脳科学をベースに生まれたサービス」とiKnow!の特徴を説明。「効率的に知識を向上させるのがメインテーマで、システム的には言語以外にも何でもインプットして学習が可能だ」とした。実際に米国では、iKnow!の学習エンジンを利用した世界地図学習のコンテンツも試験利用されたという。
言語学習という面では、米国政府が外交官を対象にiKnow!のエンジンを利用した外国語学習を行なっているという。その上で同社は、オープンなサービス提供は日本が最初である点を強調。開発拠点も日本にあり、マイケル長谷川 シニア・バイス・プレジデントは「日本をもっとも重要視しており、日本で通じるサービスは世界にも通用するものと考えている」と語った。
このほか、説明会には東京外国語大学の投野由起夫 准教授が出席。投野氏は「基礎語彙を何度も繰り返すことで英語学習の土台作りができる点で、iKnow!のシステムはマッチしていると思う」と期待を寄せた。
■ URL
iKnow!
http://www.iknow.co.jp/
サービス開始時のニュースリリース(10月1日)
http://www.iknow.co.jp/about/6
(村松健至)
2007/12/11 15:31
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