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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
アセロス大澤氏「IEEE 802.11nの標準化は2009年7月に延期」

アセロス・コミュニケーションズの大澤智喜代表取締役社長
 12月18日に開催されたアセロス・コミュニケーションズの発表会で、代表取締役社長を務める大澤智喜氏は、現在標準化が進められているIEEE 802.11nの動向について解説した。

 IEEE 802.11nは、有線LANを超えるスループットを無線LANで実現することを目的として策定が進められている規格。複数のデータストリームを重ねることで高速化を実現する「MIMO」技術などにより、理論値では最大600Mbpsの通信が可能で、すでに市場にも理論値300Mbpsの製品が登場している。

 ただし、現在市場で販売されている製品は、規格として標準化されるまえのドラフト版2.0に準拠したもので、正式規格として標準化されたものではない。2007年7月時点のIEEE 標準化スケジュールによれば、2008年10月にはIEEE 802.11nの標準化が完了し、同時に無線LAN機器間の相互接続性を保証する「Wi-Fi Alliance」でも11nの認証プログラムを開始する予定だった。

 しかし、ドラフト2.0の次のバージョンとなるドラフト3.0の策定に向けた文書投票は承認されたものの、次のスポンサー投票では84%の賛同に留まり、議長が望んだ90%以上の賛同に届かなかったという。また、3.0には884件のコメントが寄せられ、そのうち602件が技術に関するコメントであったことから、最新の標準化スケジュールでは2009年7月まで標準化スケジュールが延期された。

 大澤氏は、「1.0から2.0の時は1万件近いコメントがついたが、3.0はそれに比べれば1桁減っている」と指摘した上で、「3.0で寄せられたコメントを4.0で解決することになるだろう」と説明。「IEEE 802.11nの仕様は2.0の段階で安定しており、議論は収束に向かっている」とし、「4.0で標準化されると期待している」との考えを示した。

 Wi-Fi Allianceはすでにドラフト2.0ベースでの認証を2007年6月から開始しているが、ドラフト3.0でこの認証に変更が行なわれることはなく、2009年7月にIEEE 802.11nの最終仕様に則った認証テストを行なう2段階で進めるという。大澤氏は「ドラフト3.0については現在の製品もソフトウェアの変更で対応できる見込み」とし、ドラフト4.0についても「特に解けない技術的な問題が残されているわけではない」と指摘。「現時点のドラフトの完成度とアセロスの柔軟な対応力により、標準化の際にもソフトウェアの変更でおおむね対応できると考えている」とした。


2007年7月時点での標準化スケジュール 最新の標準化スケジュール

ドラフト3.0には800件以上のコメントが寄せられた 「アセロスはソフトウェア変更で対応できる」と大澤氏

関連情報

URL
  アセロス・コミュニケーションズ(英文)
  http://www.atheros.com/

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(甲斐祐樹)
2007/12/18 17:08
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