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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
イー・モバイル、音声サービスを開始。音声基本料無料で定額プランも

 イー・モバイルは25日、3月28日に開始する音声サービスの記者説明会を開催した。説明会では、同社の千本倖生 代表取締役会長 兼 CEOやエリック・ガン 代表取締役社長 兼 COOがサービス概要を説明した。


千本会長「2007年はモバイルブロードバンドサービス元年を実現」

イー・モバイルの千本会長、ガン社長に加え、HTCと東芝関係者も出席した
 千本会長は冒頭、「13年ぶりに携帯電話市場に新規参入した当社は、完全定額制のモバイルブロードバンドデータ通信サービスを、日本で初めて本格的に提供を開始した」とコメント。「既存事業者も追従してサービスを開始し、世界に先駆けてモバイルブロードバンドサービス元年を実現できた」と、2007年3月のサービス開始からこれまでを振り返った。

 今回の発表で、音声サービスを3月28日に開始することが明らかになったが、千本会長は「現在の携帯電話に満足しているか?」と発言。「既存事業者は電話基本料金がありきで、モバイルデータ通信サービスを利用した場合にも電話の基本料金が必要になる」と持論を展開し、「無料通話時間帯の制限や割賦、ポイントサービスなどが複雑にあり、どれが安いのか消費者は理解できないのではないか」と苦言を呈した。

 千本会長はその上で、「世界は急激に変化してきている。特に日本と韓国を中心にモバイルデータ通信サービスが急激に伸びており、これから10数年かけて音声からモバイルデータに軸足が移ってくる」と予想。「既存事業者は音声にデータ通信サービスを乗せる考えだが、当社ではモバイルデータ通信サービスをベースに音声サービスを加える考え方だ」と語った。


(左から)サービス開始に合わせて投入されるHTCの「S11HT(EMONSTER」と東芝製の「H11T」 EMONSTERを使ってPCからインターネット接続したところ

音声通話の基本料無料で「シンプル・透明・安心・納得のサービス」を実現

月額料金のうち、音声基本料金の部分を無料で提供する
 音声サービス開始にあたっては、料金プランを約1年に渡って検討。音声サービスの料金プラン「ケータイプラン」では、月額料金に含まれる音声の基本料金は無料になる。千本会長は「キラーコンテンツである音声通話で、基本料金という敷居を完全に取り払う」と語り、「使った分だけお支払いいただく、シンプルかつ透明、安心、そして納得できるサービスである」と強調した。

 月額980円の有料オプション「定額パック24」では、イー・モバイル加入者間の通話料やSMS送信料が無料に、他事業者の固定・携帯電話への通話料を割引。このほか、データ通信カードや「EM・ONE α」などを併用する際の割引サービス「ケータイプランデータセット」では、ケータイプランの月額料金が1,000円割り引かれる。なお、音声通話のビットレートは12.2kbps。

 なお、音声端末向けにインターネット接続およびEメールサービス(ドメインは@emnet.ne.jp)を月額315円で提供する「EMnet(エムネット)」も用意する。搭載ブラウザのトップページはGoogleモバイルで、PC向けサイトも閲覧できる。また、認証・課金機能を備えるほか、今後は有害サイトフィルタ機能の実装も予定する。

 これらサービスを千本会長は「革命的でありえないサービスであり、国際競争力のある、世界に打って出られるもの」と説明した。なお、日本の携帯電話市場が飽和状態にあるという点については、「世界の携帯電話普及率を見ると1位のルクセンブルクが151.9%で、上位国は100%を上回っている」と指摘。「日本の普及率はまだ79.6%と50位であり、普及の余地はある」と述べ、同社音声サービスを“究極のペアケータイ”とした。


定額パック24の概要 他社通話料金と「定額パック24」適用料金の比較 データプランとのセット割引も用意する

EMONSTERからGoogleにアクセス。東芝端末と異なり、EMnet非契約でもネット接続できる H11Tからイー・モバイルサイトにアクセスしたところ YouTube動画も再生できた

人口カバー率は6月までに95%が目標。地下鉄ホームなどは未定

ドコモのローミングエリアを含めて、2008年6月までに人口カバー率95%を目指す
 続いて、エリック・ガン 代表取締役社長が登壇。最初の端末となるWindows Mobile 6を搭載したHTC製端末「S11HT(EMONSTER、イーモンスター)」と、ワンセグやドコモローミングに対応した東芝製端末「H11T」を紹介した。

 HTCの「S11HT(EMONSTER)」は、同社が海外で提供する「HTC TyTN II(タイタン・ツー)」を日本向けに改良したもの。「EMONSTER」という名称は「先週の水曜日にようやく決まった」といい、「EMOBILE Net Smart Terminal」の略称だとした。さらに「EMON(エモン)」という愛称も紹介し、ガン社長は「エモン、“良いもの”になると考えている」と端末に対する自信を示した。

 東芝の「H11T」に関しては、「シンプルさとユーザーインターフェイスデザインから開発を進めた」と説明。本体カラーであるPure White/Straight Blue/Dynamic Black/Creative Pinkの4色は、それぞれA型/B型/O型/AB型と血液型のイメージであることも明かされた。

 音声サービスの人口カバー率は、「自社網で70~75%をカバーしている」と述べ、「ドコモローミングと合わせて2008年6月までに95%を達成したい」とした。なお、東名阪、福岡、札幌では90%以上の人口カバー率を自社網で達成しているが、「地下鉄のホームなどでの提供は、1年ほど時間を要する」と付け加えた。また、国際ローミングの開始時期は2008年夏頃が目標だという。


EMONSTER概要 H11T概要

ラインナップ拡充も示唆。ただし、おサイフケータイなどの搭載は消極的

猿や白い犬も出演する新CMも披露された
 音声サービス対応端末の販売方法は、現在のデータ通信カードなどと同様で、量販店や直販チャネルなどを活用。独自のショップ展開は今後検討を行なうとしている。

 イー・モバイルでは、主に2台目として利用するユーザーの獲得を目指しているが、具体的な獲得目標やシェアなどは現時点で非公表。ガン社長は、「来年度の予算が決まり次第、リリースの形でご案内する」とした。

 今回、HTCと東芝の2端末が投入されるが、千本会長は「まず1番目のフェイズ」と語り、順次ラインナップを拡充する考え。ただし、「おサイフケータイ」など日本特有のサービスに関して千本会長は、「“グリコのおまけ”のようなもの」と発言。「我々が狙っているのはオープンかつグローバルであり、そうした面でみれば“おまけ”はいらない」とし、検討はするものの搭載には消極的な姿勢を示した。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.emobile.jp/cgi-bin/press.cgi?id=516

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(村松健至)
2008/02/25 14:44
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