ドワンゴとニワンゴは17日、動画共有サービス「ニコニコ動画」でアニメコーナー「ニコニコアニメチャンネル」を4月2日に開設すると発表した。同日には、第1弾作品として無料配信するアニメ「ペンギン娘 はぁと」の製作発表会を行なった。
■ 「ニコニコアニメ」はモバイルや外部プレーヤーでも視聴可能。MAD作品も大歓迎
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ペンギン娘 はぁと
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「ニコニコアニメチャンネル」は、ニコニコ動画を利用するユーザーの中でアニメファンに特化したコンテンツを提供するコーナー。音声読み上げソフトを利用したアニメ関連ニュース「ニコアニニュース」や美少女ゲームのプロモーションビデオやテーマソングを配信する「虹視聴覚室」、桃井はる子などの声優やアーティストなどが出演する動画番組「ニコTV」やWebラジオ「ニコラジオ」をラインナップ。一部コンテンツは、ドワンゴとAG-ONEが運営する「超!アニメロ」で配信された番組も含まれるという。
さらに、ニコニコ動画発のアニメーションを配信する「ニコニコアニメ」も開設。17日に製作発表会が開かれた「ペンギン娘 はぁと」は第1弾作品にあたるもので、4月19日正午から毎週土曜日正午に1話ずつ、全22話を配信していく。ニコニコ動画に会員登録すれば無料で視聴でき、1話あたりの時間は約7分程度を予定する。また、5月2日には第2弾作品「Candy Boy」を、2008年夏にはタイトル非公開だが第3弾作品の配信準備も進めているという。
「ペンギン娘 はぁと」は、秋田書店の「週刊少年チャンピオン」で「ペンギン娘」を連載し、現在は「月刊チャンピオンRED」で「ペンギン娘MAX」を連載する高橋てつや氏の作品を原作にしたアニメーション。作品では、すべての価値観がアニメ中心で常にコスプレをしている超天然アキバ系少女(Aガール)の「ペンギン」こと南極さくらを主人公に、択捉鯨や栗尾ねね、シャー・チー、マリー・チュパカブラ・W・ホワイトベア、南極かえでたちの学園生活が描かれている。
発表会に出席したドワンゴ ニコニコ事業部の中澤友作氏は、「ニコニコアニメは、ニコニコ動画、ニコニコ動画モバイルに加えて、SP1で提供を開始したニコニコ外部プレーヤーでもお楽しみいただける」と説明。「コメントをしながらアニメを楽しめる、新しい楽しみ方を提供したい」と述べるとともに、「ニコニコ動画発のオリジナル作品に関してはアニメーション以外にも広げてきたい」と抱負を語った。
また、「ペンギン娘 はぁと」などのアニメ作品の映像素材を利用したMADや2次創作に関しても「大歓迎」と発言。素材の提供方法に関しては追って決定するが、「素晴らしい作品はニコ割を通して紹介したい」考えという。なお、公序良俗に反するコンテンツ、他の著作権を侵害するコンテンツに関しては、ニコニコ動画の削除手続きに沿って対処するとした。
ニコニコアニメの収益モデルに関しては模索が続いており、第1弾作品の「ペンギン娘 はぁと」は「(製作出資委員会である)南極財閥に頼っている状態」という。今後はDVD販売なども検討するが、中澤氏は現時点においては「援助を募集しています」と述べるに留まった。なお、南極財閥にはドワンゴ、日本アドシステムズ(アサツー・ディ・ケイのアニメ制作会社)、グッドスマイルカンパニー、文化放送の4社が参加している。
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ニコニコアニメチャンネルの概要図
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「ニコアニニュース」ではアナウンサーを人気キャラクターへの変更も企画する
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声優やタレント出演の動画やWebラジオ番組も配信
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「ペンギン娘 はぁと」に続き、第2、第3弾作品も順次配信予定という
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発表会ではプロモ映像やイメージソングなども紹介された
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中澤氏のMADや2次創作OKとの発言を受けたコメントの様子。好意的に受け入れられたようだ
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■ 発表会はニコニコ動画でライブ配信。原作者と声優陣がキャラクターに対する思い入れを語る
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(左から)門脇舞以、野川さくら、片岡あづさ、伊瀬茉莉也、南條愛乃、日高里菜
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製作発表会には、原作者の高橋てつや氏と出演声優である片岡あずさ、伊瀬茉莉也、南條愛乃、野川さくら、門脇舞以、日高里菜が出席。オープニング主題歌を提供する神前暁氏、エンディング主題歌を提供するARM氏も出席したほか、監督のまついひとゆき氏もテレビ電話で登場した。なお、司会進行は文化放送のラジオ番組などで知られる鷲崎健氏が務めた。
製作発表会には報道関係者以外にブロガーも招待されたほか、最大1,000名が参加可能なライブ配信もニコニコ動画で実施。発表中にはライブ映像のコメントで寄せられた質問の紹介や、発表会出席者に対するコメントが即座に表示されるなど、通常の発表会とは異なる雰囲気で進行していった。
高橋氏は「ニコニコアニメチャンネルという新しい媒体の第1弾として、自分の作品を載せて貰えるのはこの上ない喜び」とコメント。「ペンギン娘」シリーズに対しては、「自分自身オタクで、オタクな女の子で元気でかわいくて、一緒にいて明るい気持ちになれる子がいたら、という一念で漫画を描いてきた」と語った。また、描いたキャラクターに関しては「基本的には全員が好きで、自分のリビドーでこういう子が良いと思ってやっている」と述べたほか、「時には『踏まれたい』と思いながら描いている」と付け加え会場を沸かせた。
アニメ化に対する印象に関しては「漫画以上にアニメーションでは規制のハードルが上がるとは思うが、行き過ぎなくても太ももや下着が綺麗だったら良いんじゃないかと考えている。第1話の台本を読ませていただいたが、そういう面では十分発揮して貰えるのでは」と期待を寄せた。また、ニコニコ動画で寄せられるコメントに関しては「“入魂のパンツ”や“太もも”があるので、そうした部分でコメントを貰えれば本望です」と語った。
第1話を編集しているスタジオからテレビ電話で登場したまつい監督は「お気楽極楽で楽しめるアニメになればと製作を進めている。(配信先が)ニコニコ動画ということもあり、皆さんが色々な部分で楽しめるように準備していきたい」と述べた。
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発表会出席者の集合写真。左手前から1人目がドワンゴの中澤氏、2人目が原作者の高橋氏
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(左から)楽曲を提供する神前氏とARM氏
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まつい監督はテレビ電話で登場
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南極さくら役を演じる片岡あずささんは、「自分もアニメ、コスプレが大好きで、さくら役を是非やりたいと思ってオーディションに臨んだ」という。ニコニコ動画上で寄せられるコメントに関してシャー・チー役の野川さくらさんは「女の子がいっぱい登場する作品なので、かわいい子に対するコメントや、演じている声優の演技や声に対するコメントにも期待しています」と語ってくれた。
また、択捉鯨役の伊瀬茉莉也さんは、「キャストのみんなで仲良くやっていきたけれど、(本人が演じる)“ストライプなおパンツ”の鯨を押していきたい」とコメント。ここで出演声優陣に対立の構図が生まれたのか、栗尾ねね役の南條愛乃さんが「“ツンデレ”や“妹萌え”に続いて、ねねのような“おばあちゃん萌え”も浸透させたい」と語れば、声優初挑戦となる南極かえで役の日高里菜さんが「“おばあちゃんキャラ”に負けないよう、かえで役で“ツンデレキャラ”を押していく」と返した。
さらにマリー・チュパカブラ・W・ホワイトベア役の門脇舞以さんが「“ドSキャラ”を頑張りたいが、むしろ皆さん視聴に夢中になってもらってコメントがない状態でも嬉しい」と発言。また、「私としてはパンツも良いんですが、さくらちゃんのスク水も期待している」と語り、第1話のアフレコ作業前ながら、声優陣の作品に対する思い入れが垣間見えた格好だ。
オープニング主題歌を提供する神前暁氏は、「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」の楽曲を手がけた人物。本作楽曲に関しては現在制作中になるが、「原作の魅力を活かした賑やかでハイテンポでパンティッシュなどを織り交ぜた電波系ソングにしたい」という。エンディング主題歌を提供するARM氏は、「キャラで言うと鯨が好き」と何よりも作品に対する思い入れをアピール。ARM氏が所属するIOSYSの夕野ヨシミ氏が詞を提供するといい、「チアリーディングをモチーフにした楽曲で、アニメともども楽しんで欲しい」と語っていた。
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発表会ではキャラクタービジュアルも紹介された。写真は南極さくら
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択捉鯨
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栗尾ねね
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シャー・チー
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マリー・チュパカブラ・W・ホワイトベア
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南極かえで
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■ URL
ペンギン娘 はぁと公式サイト
http://pen-musu.jp/
ニコニコアニメチャンネル(4月2日開設予定)
http://anime-ch.nicovideo.jp/
ニコニコ動画
http://www.nicovideo.jp/
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(村松健至)
2008/03/18 11:41
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