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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
Facebook創設者が来日。「実名によるリアルな人間関係」を強調

 5月19日、米Facebook Inc.の運営するSNS「Facebook」の日本語版サービスが開始された。同日には創設者のMark Zuckerberg氏らによる記者説明会も開催され、Facebookのコンセプトや日本での展開について語った。


7,000万ユーザーのうち2/3は米国以外のユーザー

Facebook創設者兼最高経営責任者のMark Zuckerberg。1週間前に24歳の誕生日を迎えたばかりだという
 Facebook創設者兼最高経営責任者のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、「自分が学生だった頃、周りの人と情報を共有するために開発した」とFacebookを立ち上げた経緯を説明。その後Facebookは全米の大学へと広がっていき、「多くの人は自分のことを知って欲しいという願望があり、お互いの情報を共有したいという気持ちを持っていたことに気づいた」と語った。

 2004年2月のサービス開始から数年間は写真やモバイル対応といった機能拡充に注力し、2006年末にはユーザー数が1,000万を突破。それまでは大学生専用のSNSとして運営していたが、2006年9月には大学生以外へも一般開放し、その後1年半でユーザー数は7,000万にまで伸びたという。

 2007年5月にはAPIおよび開発者向けプラットフォームを公開。「我々の開発できるアプリには限界がある。開発者向けプラットフォームを公開することで、世界各国の開発者がアプリケーションを自由に開発できる」。今では30万を超える開発者がプラットフォームに参加し、2万を超えるアプリケーションがFaceBook向けに開発されているとの状況を説明。「幅広く世界で利用いただける体制が整った」とした。

 こうした状況を踏まえて最近は国際化に注力。「2006年末はユーザーの90%が米国だったが、2008年5月には2/3が米国以外の海外ユーザー」と、すでにFacebookが国際的なサービスであることを強調した。


Facebookの歴史 ユーザーの2/3が米国以外のユーザー

実名制を重要視。個人情報をコントロールできる機能にも注力

Zuckerberg氏のプロフィール
 Facebookの特徴としてZuckerberg氏が挙げたのが「実名制」というコンセプト。「実名だからこそ相手のことがわかり、実際の人間関係のままFacebookでもつながることができる」とし、「Facebookでは実名を使うことが常識になっており、実名を使わない人の情報は偽物とすら思われてしまう」とコメント。プロフィールの名前登録もメールアドレスなどの情報に基づいた本人確認をスタッフ側で行なうなど、実名制の促進に力を入れているとした。

 一方で、安心して個人情報を載せられるような環境作りにも注力。「写真や携帯電話番号などは、見せたい友人やグループを特定して公開できる。私も携帯電話を乗せているが、それは友人100人だけに公開しており、他の不特定多数には公開していない」とした。

 また、「電話などは1対1で行なうものだが、Facebookであれば自分がアップロードした情報を同時に他の友人と共有でき、逆に多くの友人が何をしているかもすぐにわかる」と語り、「これが広がっていくことで大きなネットワークが構成できる」と語った。

 こうした実名制と共有によって「面白い展開も可能になる」とザッカーバーグ氏が紹介したのがFacebookの「News Feed」機能。これは他のユーザーがFacebookで行なった友人追加やコメント投稿といった行動を通知する機能で、「ユーザーがどういう情報に興味を持つかを自動的に検索して演算処理を行ない通知している」と説明した。


実名によるコミュニケーションを重要視 個人情報の公開範囲を設定できる機能も搭載

他のユーザーの行動を通知する「News Feed」機能 さまざまな機能や情報をFacebook上で共有できる

日本語化はボランティアユーザーの協力で実現

日本に住んでいたこともあるというJavier Olivan氏は冒頭日本語で挨拶
 国際マネージャーを担当するJavier Olivan氏は、Facebookの国際展開について説明。「我々のビジョンは多くの人々がFacebookを使ってお互いの情報を共有できること」とし、「それをどんな言語であってもどこに住んでいようとも可能にしていきたい」との考えを示した。

 多言語化にとっては「ユーザーにとって使い勝手のいい翻訳になるよう、多大なリソースと時間をかけて開発している」とコメント。「Facebookのユーザーこそが一番Facebookを知っている」とし、同社の翻訳アプリケーションを使ってユーザーが翻訳作業をボランティアで行なうという手法を紹介。「翻訳候補を投票によって決める民主的なアプローチの結果として日本語版が完成した」とした。

 開発者プラットフォームについても日本での展開に期待しており、「日本の開発者は世界でも有数かつ有能であり、日本人が幅広くアプリケーションを開発できるようにしていきたい」との方針を説明。「7,000万人のプラットフォームにアプリケーションを提供できることは大きな機会」とした。


ユーザーの協力でローカライズを実現 Zuckerberg氏のプロフィールを日本語で表示

「実名に基づいたリアルな人間関係」で国内SNSとの差別化を図る

 携帯電話向けのモバイル版もすでに提供されているが「まだ第1バージョンの段階。Webより携帯が重要という国もあり、今後もまだまだ開発は強化していく」。携帯電話向けのアプリケーションを開発者プラットフォームを通じて開発することも可能だとした。

 日本ではすでにmixiが1,400万人ものユーザーを集めてSNS業界では1人勝ちとも言える状況にあるが、Zuckerberg氏は「Facebookは実名に基づいたリアルな人間関係のつながりが特徴であり、そこが他のプレイヤーとはまったく違った側面だろう」とコメント。Facebookが一般向け開放を始めて以降はMySpaceよりもユーザー数の伸びが大きいとし、「これは実名での個人情報を共有したいという気持ちの現れではないだろうか」とした。

 先日Googleが発表したWebサイト間のソーシャル機能「Google Friend Connect」をFacebookが遮断した件については、「Googleの仕組みでは、ユーザーが一度アクセスを許可すると、ユーザーが知ることなくユーザーの情報をGoogle側で共有できてしまう」とコメント。「情報の開示をコントロールできるのがFaceookである」とした上で、「この件についてGoogleからは事前の相談もなかった」と述べ、「両社の話し合いで良いポイントを見つけていきたい」との考えを示した。

 収益面については「個人事業であって公表していないが、大きな収益源は広告」と説明。「日本の広告も自社広告を含めて日本語に対応している」とした上で、「まずはサービスを多くの人に使って貰うことが目的。Facebookによる情報共有が根付いたその先の展開として広告を考えたい」とした。


関連情報

URL
  Facebook
  http://www.facebook.com/

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(甲斐祐樹)
2008/05/19 14:48


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