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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
UQ、WiMAXサービスのMVNO向け料金や今後の予定を説明

公表内容の概要
 UQコミュニケーションズは、WiMAXを利用したデータ通信サービスのネットワークについて、MVNO向けに提供する際の標準料金プランの内容を明らかにした。

 同社はWiMAXを利用した高速なデータ通信サービスを提供するにあたり、MVNOへの提供を積極的に行っていく方針を打ち出している。MVNO向けの説明会はこれまでに2回開催され、2009年の2月~7月に実施される試験サービス中の料金などが提示されている。なお、試験サービス中のMVNO向け卸料金は無料で、MVNOとは別にUQコミュニケーションズがエンドユーザーに向けて提供するサービスも、試験サービス中は利用料が無料になる見込み。

 6日に記者向けに開催された説明会では、同日に開催された第3回目のMVNO向け説明会の内容が記者向けに説明されたほか、今後の方針にも触れられた。MVNOとの協議は現在66社と行っており、第3回の説明会には185社が参加した。

 提供エリアは、試験サービス開始時で東京23区と横浜市・川崎市の一部。2009年7月の有料サービス開始後は、名古屋、大阪、京都、神戸の一部でもサービスが提供される予定。9月末時点ので同社の基地局は約200局で、2009年2月の試験サービス開始までには600局に増設する予定。


ノートパソコン搭載モジュールの発展に期待

ノートパソコン内蔵モジュールでの利用開始イメージ

各国のWiMAX採用バージョンとUQコミュニケーションズの採用規格
 説明にあたったUQコミュニケーションズ コーポレート部門長の小池竜太氏はまず、今後の状況とWiMAX端末の利用イメージを解説した。同社は端末の調達をオープンなものとしており、小池氏が「高速土管事業」と例えるように、基本的には(土管を敷設するように)ネットワーク回線の卸提供を同社事業の中心とする考え。しかし、市場の立ち上げ時期にはUQコミュニケーションズが率先して展開する必要もあるとし、2009年の2月から開始する予定の試験サービスでは、UQコミュニケーションズが調達した端末が用いられる。

 UQコミュニケーションズが調達を予定しているデータ通信端末は、ノートパソコンなどでの利用を想定した、USB、PCカード、ExpressCard型などで、海外メーカー1社を含む5社のメーカーと開発中という。これらの端末はUQコミュニケーションズが販売するほか、希望するMVNO向けにも提供される。

 小池氏は、ノートパソコンなどに内蔵される通信モジュールで利用する際のイメージについても言及した。現在は、WiFiに加えて、W-CDMAやCDMA 1X EV-DOなどの通信方式に対応した通信モジュールを選べる機種がいくつか存在する。小池氏は、WiMAXのWave2、Phase2といった最新規格の標準化が2009年の秋頃に決まる見込みとし、WiMAX対応の内蔵モジュール搭載パソコンが同時期から登場すると予測。パソコンメーカーのモジュール搭載動向には関与できないとしたものの、「WiFi内蔵のように当たり前の機能になるのではないか」と期待を寄せた。

 これらのノートパソコンでは、購入後に電源を入れると自動的にWiMAXの電波をつかみ、WiMAXサービスを申し込むためのポータルページに接続できるようになるという。ポータルページでは、サービス提供事業者としてMVNOやUQコミュニケーションズが選べるようになっており、好みの事業者を選んで申し込みページに進むといった流れになる見込み。


 同社はノートパソコンなどの内蔵モジュールの普及に加えて、家電製品などパソコン以外への搭載・普及にも期待を寄せており、これらをふまえて、最終的には総務省への事業計画提出時に触れられた月額3200円程度の利用料が実現できるのではないかとしている。

 小池氏はまた、2009年の1月末~2月上旬には、UQコミュニケーションズがエンドユーザー向けに提供するデータ通信サービスの価格や端末を発表する予定とし、「現在はまだアイデア段階だが」と断った上で、発表会を開催して、実際のWiMAXを使ったデータ通信のデモンストレーションも行う意向を明らかにした。


卸料金は1回線あたり月額3465円を上限に

パターン別の卸料金(標準プラン)は大きく5種類を用意

接続方法として想定する5種類。なお、オールIPネットワークで構築することからレイヤー2接続は行わない
 MVNO向けの卸料金は、標準プランとして5つのパターンが用意されている。同社が想定するMVNOには、ISPなど自前で認証設備を用意している場合と、認証設備を持たない新規の参入あるいは他業種から参入する場合の、大きく2つのケースが考えられている。

 MVNO側で認証設備を持たず、UQコミュニケーションズの認証設備を利用する場合の標準プランは、1契約回線あたり月額3465円。認証設備をMVNO側で用意する場合は、どういった設備を用意するかで、回線あたりの月額料金が変わり、ゲートウェイ利用料、設備利用料も加わる。また、認証設備を自前で用意する場合、帯域幅課金を行い、回線あたりの卸料金を下げたプランも用意されている。

 一般的には、MVNOは卸料金に利益を上乗せしてエンドユーザーに提供するが、小池氏は、「有り体に言えば、MVNOへの提供価格は標準プランより高くはならない」とし、標準プランで示す価格は上限価格に相当し、実際は具体的なMVNOとの協議の中で決まるとした。

 これまでMVNOと協議してきた過程では、多くの事業者が月の卸料金に対しておよそ1000円程度の上乗せを希望しているとのことで、卸料金から1000円程度を加算した金額が、エンドユーザー向け料金のイメージということになる。

 小池氏は、今回明らかにした料金について、暫定価格との認識を示しており、2011年度以降には見直す方針を明らかにしている。例えば、帯域幅課金の価格はNTTドコモなどと比べても高い価格となっているが、これらの卸料金の設定は、市場の形成や発展が現時点で不透明であること、市場形成時における過当な価格競争および市場破壊への懸念、基地局などへの設備投資が依然として続くことなどが要因として挙げられている。


関連情報

URL
  UQコミュニケーションズ
  http://www.uqcommunications.jp/

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(太田 亮三)
2008/11/06 20:38


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