|
みんなのシアターWii(画面は開発中のもの)
|
富士ソフトは、家庭用ゲーム機「Wii」を利用した動画配信サービス「みんなのシアターWii」を2009年1月27日に開始すると発表した。サービス開始時はアニメ「世界名作劇場」やドキュメンタリー「プロジェクトX」など約3000タイトルを用意し、料金は1作品300円から。
「みんなのシアターWii」は、Wii向けコンテンツ配信サービス「ショッピングチャンネル」を通じて提供される専用ソフト経由で動画をストリーミング配信するサービス。ソフトは500Wiiポイントで提供し、以降は月額料金の必要なくコンテンツのみに課金するシステムとなる。
コンテンツ提供事業者は日本アニメーション、手塚プロダクション、日本テレビ放送網、V.F.パートナーズ、竜の子プロダクション、松竹、東映、T2iエンターテイメント、」NHK/NHKエンタープライズ、エスエスなどが参加。また、ワーナー エンターテイメント ジャパンやCinemaNowもコンテンツ提供を予定しているという。
配信作品は「世界名作劇場シリーズ」「手塚治虫アニメワールド」「タイムボカンシリーズ ヤッターマン」「魔断戦記リュウケンドー」「星獣戦隊ギンガマン」「戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマー」「ULTRASEVEN X」「やなせたかしメルヘン劇場」といった特撮・アニメ番組に加えて、NHKの「プロジェクトX」シリーズ、エスエスの鉄道番組なども提供。サービス開始時点で約3000タイトルをラインナップする。
コンテンツの購入は1ポイント1円相当の「Wiiポイント」で行う。料金は1作品を2日間視聴できる「ちょっと見コース」が300ポイント、2作品を3日間視聴できる「ベーシックコース」が600ポイント、3本を5日間視聴できる「じっくりコース」が800ポイント。富士ソフトでは年間でみんなのシアターWii専用ソフトを10万ダウンロード、配信コンテンツは500万本を目標としている。
【お詫びと訂正】
初出時、専用ソフトが無料としておりましたが、正しくは500Wiiポイントが必要です。専用ソフト購入後は月額料金は必要なく、コンテンツ料金のみで視聴できます。お詫びして訂正いたします。
■ 専用プレーヤーでスムーズな再生を実現。動画はSD画質
|
「みんなのシアターWii」トップページ。最大3つまでの動画を保存できる
|
動画の配信は、富士ソフトが開発した動画プレーヤー「ULEXIT(ウレキサイト)」をみんなのシアターWiiに搭載し、スムーズな動画の再生を実現したという。また、配信サーバーは同社が従来から提供している「FSStream」をWii用にカスタマイズし、より安定した映像を効率的に配信できるとした。
配信形式などの詳細は非公開だが、動画のファイルは一般的に用いられている形式を独自の方式で暗号化。ビットレートは1.3~2Mbps程度で、画面サイズはSD相当のVGAサイズだが、4:3と16:9のコンテンツはその画面比率で再生できる。
ストリーミングは本体キャッシュに加えてサーバー側の処理を行うことで応答速度の向上を実現。ULEXITで無駄なくCPUを使うと行った処理も行われており、早送りや早戻しもスムーズに動作するという。
コンテンツは家族で楽しめる作品を中心にラインアップし、子供でも使えるシンプルな操作を実現。Aボタンで早送りや一時停止、タイムバーなどのボタンが表示され、Wiiリモコンのポインタでそれぞれ操作できるほか、一時停止や早送りなどの機能は十字ボタンにも割り当てられている。
料金プランは3種類だが、1つのプランを利用している場合他のプランは購入できない。これはユーザーの買い過ぎを防止するための施策だという。
|
|
「鉄腕アトム」を再生
|
「プロジェクトX」を再生
|
|
|
利用料金
|
コンテンツ数
|
■ WiiはVOD端末として非常に優秀。今後は他プラットフォーム展開も
|
富士ソフトの白石晴久代表取締役社長
|
|
システム事業本部 DC事業部の田原大事業部長
|
富士ソフトの白石晴久代表取締役社長は、「B2Bの富士ソフトがなぜコンシューマ事業なのか、と思われるかもしれないが、みんなのシアターWiiは戦略的にも非常に重要」とコメント。「当社は組み込み系の映像処理技術が要素技術として確立しており、自社でのオリジナルプロジェクトを作りたいと考えていた」とし、「国内で700万台以上を販売し、その4~5割がインターネット接続しているというWii」に着目した」との経緯を説明。「WiiのCPUは数年前のPCレベルで、通信時の帯域も1~2Mbpsという狭い帯域幅で高画質を出せるところが当社の映像処理技術の強み」と自信を見せた。
システム事業本部 DC事業部の田原大事業部長は、富士ソフトが掲げる「第二の創業」というスローガンに触れ、「B2Bではプロダクト化やグローバル化を進める一方、コンシューマでも『筆ぐるめ』というソフトに続くコンシューマ製品第2弾としてみんなのシアターWiiを位置付けている」と説明。
また、「映像配信ビジネスの市場は2012年に1000億円規模と言われているが、レンタルビデオ文化を考えると潜在ニーズはもっとあるのでは」とコメント。Wiiの普及台数にも注目しており、「760万台販売されているうちの50%以上がインターネット接続しているというデータもあり、これはSTBの端末数としては驚異的な数」と指摘。Wiiのコンセプトである家族で楽しむという点も、みんなのシアターWiiに合致しており、「リビング設置率が83%という点も含め、VODを展開するには最適なデバイス」と評した。
月額料金も課金せず、コンテンツの料金のみで視聴できるため、「導入への障壁が少ない」ことも特徴の1つ。コンテンツ数も選びやすさを前提に考えており、あまり大量なコンテンツ投入は行わないが、毎月50タイトル程度を追加していくという。
この企画は1年以上前にスタートし、「サードパーティーかつゲームではない製品ということで、任天堂さんも苦労されたようだ」(田原氏)。また、「同様のサービスをいくつか考えている会社もあったようだが、いまだに実現できていないのが現状。映像処理や映像配信などのプラットフォームをワンストップで提供できるのは富士ソフトだけだろう」と自信を見せた。
今後の展開としては携帯電話や他のゲームプラットフォーム、PCなどへのサービス提供に加えて、「Wiiは個別にIDが割り当てられているため、オンライン試写会のようなサービスも提供してみたい」(田原氏)。また、みんなのシアターWiiで採用する動画プレーヤーのULEXITはDVDメディアへの搭載も可能であり、「パッケージゲームと映像というコラボレーションも可能」と説明。サービスの海外展開も視野にあるとした。
|
|
|
映像配信ビジネスの市場規模
|
Wiiの特徴
|
サービスの特徴
|
|
|
|
みんなのシアターWiiにおける富士ソフトの役割
|
VODの3要素をワンストップで提供
|
今後の展開
|
■ URL
ニュースリリース
http://www.fsi.co.jp/company/news/081219.html
みんなのシアターWii
http://theaterwii.jp/
■ 関連記事
・ 富士ソフト、Wii向け動画配信サービス「みんなのシアターWii」
(甲斐祐樹)
2008/12/19 16:08
|