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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
沖電気、FMラジオと同等の音声品質を実現したIP電話機「e音 IPフォン」

e音 IPフォン
 沖電気工業は、FMラジオ放送と同等の音声品質を実現したIP電話機「e音(いいおと) IPフォン」を2004年1月から発売する。標準価格は88,000円で、当初は企業をターゲットとして販売していく。

 e音 IPフォンは、音響素子と信号処理能力を向上させることで音声の高品質化を図ったIP電話機。周波数が最高で3.4kHzまでと制限のあったアナログ電話と比較して、50Hz~7kHzの帯域を利用しており、従来のアナログ電話では聞こえなかった鈴虫の音も伝送できるという。

 音声コーデックはITU-Tで標準化されているG.722を採用し、伝送速度はアナログ電話と同等の64kbps。信号処理能力などネットワーク側の性能向上で音質向上を実現しているため、呼制御プロトコルの制限などもなく、将来的にはSIPも対応できるという。そのため沖電気では、他社との機器相互接続なども実現しやすいと説明した。

 e音 IPフォンの利用には、同社のIP-PBX「DISCOVERY01」が必要になる。DISCOVERY01側で電話機を判別し、e音 IPフォン同士であれば高品質の通話が、それ以外の電話機であれば普通の電話と同等の音声通話が可能になる仕組み。実際には一般の電話機でも同等の品質を実現できるような仕組みを考えており、今後は様々な利用方法を提供していく予定だという。

 e音 IPフォンの標準価格は88,000円で、DISCOVERY01に搭載するe音 IPフォン用のソフトウェアは380万円。同社では本製品のターゲットを企業向けとしており、病院内や教育、会議といった場面での利用を想定している。また、IP電話事業者といったキャリアにもすでに話を持ちかけているという。

[お詫びと訂正]
 初出時、音声帯域が「7~50kHz」としておりましたが、「50Hz~7kHz」の誤りです。お詫びして訂正いたします。


e音の概念 e音 IPフォンが想定するサービス利用形態

e音 IPフォンの接続構成 e音 IPフォンとアナログ電話の比較

沖電気 IPソリューションカンパニー・プレジデントの浅井裕氏
 沖電気 IPソリューションカンパニー・プレジデントの浅井裕氏は、「IP-PBXやIPセントレックスという話題を聞かない日はないというほどIP電話が普及しつつある」とコメント。「電話でできることは基本的にIPで何でもできると考えている」と語った。

 e音 IPフォンのメリットについては「カクテルパーティー効果」という言葉を挙げて説明した。これは雑踏の中でも自分が関係する言葉は他よりも明瞭に聞こえるというものだが、浅井氏は「聞きたい声を聞き分けるために無駄な能力を費やしている」と指摘。ビジネスの場においては高品質の音声を導入することで、業務を効率よく進めることができると自信を示した。

 また、音声認識も高品質な音声を利用することで精度を高めることが可能であり、新たな音声ビジネスを切り開いていく可能性があるとコメント。浅井氏はe音 IPフォンを含む高品質の音声通話について「もう電話とは呼ばないかもしれない」と語ったのち、「この程度の音質はあたりまえという世界を作っていきたい」という意気込みを示した。


発表会場には体験デモも用意された “スズムシの音”の周波数帯域もカバー

e音 IPフォンの音声デモ(WAV形式)
鈴虫の音と男性のナレーション
アナログ電話
(約600KB)
e音 IPフォン
(約600KB)
セミの音と女性のナレーション
アナログ電話
(約1.5MB)
e音 IPフォン
(約1.5MB)


関連情報

URL
  沖電気
  http://www.oki.co.jp/
  関連記事:沖電気、IP電話の普及事業でアジレントと提携[INTERNET Watch]
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0410/oki.htm


(甲斐祐樹)
2003/11/17 16:08
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