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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
パワードコムの2003年度中間決算、当期損失77億円に

 パワードコムは18日、2003年度中間決算を発表した。営業収益は825億円に上ったが、電話中継や法人向けデータ通信など各事業で損失を計上。最終的に約77億円の当期損失を計上した。また、電話事業はフュージョン・コミュニケーションズへ、個人向けインターネット接続事業はドリーム・トレイン・インターネット(DTI)への事業統合を検討していることを明らかにした。


合併のシナジー効果が得られず、各事業とも赤字に

中間決算発表会に臨む白石 智取締役社長(右)。左は執行役員常務の荒木繁雄氏
 発表の冒頭、取締役社長の白石 智氏が2003年度上期のトピックを説明。4月のTTNetとの合併や、5月のIP電話事業参入を挙げた。また、8月に入ってからのADSL 24Mサービス提供や、料金値下げなど法人向けサービスの拡充、NTT東西に対する接続認可取消の行政訴訟などを列挙。最終的に赤字決算となったことについて、「必要な事業展開は行なったが、合併のシナジー効果が得られる段階ではなかった」と述べた。

 各事業別の収支では、まず中継電話「東京電話」事業について説明。合併前は黒字だったが、今期は前期比で、通話回数が11%減、通話秒数が24%減と苦戦。マイライン登録数も11万回線(前期比4.7%)の減少。収益は20.9%減の約59億円に止まり、営業損失は約11億円に達した。直加入電話「東京電話ビジネスダイレクト」事業では約19億円の営業損失を記録。個人向け「POINT Phone」や法人向け「Powered IP Centrex」といったラインナップのIP電話事業でも約3億円の営業損失となり、電話事業全体では約33億円の損失となった。

 データ通信事業については、法人向けサービスから説明。「Powered Ethernet」などのネットワークサービスが2,700回線を獲得し、累計でも10,400回線に達した。その一方で、専用線サービスは1,000回線減少し、累計では11,600回線。インターネット接続サービス「Powered Internet」も横ばい状況の2,200回線となった。「ネットワークサービスは着実に増加した」(白石社長)というものの、法人向けサービス全体では約18億円の営業損失を記録している。

 個人向けデータ通信サービスは、前年同期60,000 IDだったブロードバンド会員が、約94,000 IDに増加した。白石社長によれば、「ブロードバンド会員増加により、収益が増加した」という。前年同期約20億円の赤字が約8億3,000万円にまで縮小し、「約12億円の収支改善を実現した」としている。このほか個人向けサービスでは、「Cafesta」や「Powerbroad」といったポータル事業に言及。Cafestaでは、2002年3月時点の会員数約40万人から約37万人増加し、合計で約77万人を突破したという。

 白石社長は通期の見通しについて、「厳しい状況、コスト削減の努力は鋭意務めているが、最悪160億円の赤字になるかもしれない」とコメント。「合併してまだ半年。1人1億円の売り上げを目標にしていく」としている。


事業ポートフォリオを見直し、フュージョンとDTIに事業統合を検討

 今後同社では、収支増加とコストダウン、財務体質の強化、事業ポートフォリオの組み替えなどによって経営体質を強化する方針だ。11月20日から法人向け営業部門の組織変更や、「現状40%程度」の光ファイバー利用率を向上させることなどを実施。通信設備使用料の削減や設備構築方法や建設費などの見直しなどで利益を確保する。中期的には資本増強策も検討するという。

 増資については「アステルなどの投資負担に喘いできた。借入金は約2,600億円に上る。資本増強を計画中だが、既存株主に依頼するかどうかはこれから検討する」(白石社長)という。

 事業ポートフォリオの見直しについては、電話事業とインターネット事業をそれぞれ、フュージョン・コミュニケーションズとDTIに事業統合するための検討を開始したことを明らかにした。

 フュージョンとの電話事業統合に関しては、17日付けで両社社長を主査とした「統合検討委員会」を設置。電話事業を統合した場合の事業性や将来性について分析・検討するという。また、インターネット事業をDTIと統合することに関しては、18日付けで検討を開始する「基本合意書」を両社で締結。パワードコムの個人向けインターネット事業部門をDTIへ分割または譲渡することで、2004年度上期内の事業統合を目指すとしている。

 ただし、「電話事業を最終的に手放すつもりはない。グループのなかでデータ通信、インターネットアクセス、電話サービスを提供できることを重要視している」と語り、あくまで電話事業では中継接続をメインに、インターネット事業では個人向けを統合する方針だとした。


関連情報

URL
  パワードコム
  http://www.poweredcom.net/

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(鷹木 創)
2003/11/18 19:05
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