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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
NTT、伝送特性や曲げ特性を向上した「ホーリーファイバ」の実用化にメド

新構造光ファイバ「ホーリーファイバ」における研究開発のねらい
 NTT(持ち株)は、次世代の伝送媒体や光機能素子として期待される新構造光ファイバ「ホーリーファイバ」について実用化に見通しがついたと発表した。

 今回、実用化の見通しがついた「ホーリーファイバ」は、NTTアクセスサービスシステム研究所(NTT AS研)が研究開発を行なったフォトニック結晶型ファイバと空孔アシスト型ファイバの2種類。ともに、従来の石英系ガラスに添加物を加えて光を閉じこめる構造の光ファイバと比較して、コア部の周辺に空気の層(空孔)を空けることにより、優れた伝送特性や曲げ特性の向上が実現できるというもの。

 フォトニック結晶型ファイバは、可視光から近赤外までの幅広い波長域を使用できる光ファイバ。現行のシングルモード光ファイバと比較して、5倍程度の波長域で動作が可能で、ペタビット/秒級の伝送速度も実現可能だという。

 また、空孔の大きさや、数、間隔、配列などを変更することも可能。これにより、光パルスの伝搬速度が異なる分散特性や、偏波面を一定の方向に保ちながら光を伝搬させる偏波保持特性を実現し、光の速度が大きい場合に屈折率が光の強度に応じて変化する光非線性についても制御可能としている。

 一方の空孔アシスト型ファイバは、半径10mm以下で曲げた場合にも損失が発生しないほか、接続時も現行のシングルモード光ファイバと同程度の損失を抑えられる実現する基本構造も解明したという。なお曲げ特性に関してNTT AS研では、半径5mmでも損失が発生しないとことを確認したという。

 実用化の具体的な時期についてNTT AS研は、フォトニック結晶型ファイバは引き続き超大容量伝送媒体としての研究開発を行なうとして、数年後になるとした。一方、空孔アシスト型ファイバは、早ければ今後1年以内にも実用化を目指すという。ただし、アクセスサービスでの利用を想定するため、曲げ特性以外の特徴や応用に向けた研究開発も引き続き行なわれる。

 このほか、曲げ特性に強い光ファイバについては、ホーリーファイバ以外の構造も含めて実用化に向けた比較検討を行なっていく考えだという。


NTT AS研では、フォトニック結晶型ファイバにおける低損失値の世界記録を2003年9月に自ら更新している 空孔アシスト型ファイバでは曲げ特性の向上により、敷設時の配線処理も容易になるという

半径5mmのプラスチック棒に空孔アシスト型ファイバを巻き付けたところ 空孔アシスト型ファイバを利用することで、従来のシングルモード光ファイバと異なり、曲げた場合の損失が発生しないという

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.ntt.co.jp/news/news03/0312/031217.html

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(村松健至)
2003/12/17 18:52
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