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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
マイクロソフト、ブログサービス「MSN Spaces」ベータサービスを開始

発表会の出席者
 マイクロソフトは、同社が運営するポータルサイト「MSN」において、ブログサービス「MSN Spaces」のベータサービスを8月10日より開始する。ベータサービスの参加は無料で、正式サービスは2004年秋を予定する。

 MSN Spaceは、携帯電話向けのコミュニティサービス「魔法のiらんど」を運営するティー・オー・エス(TOS)と共同で運営するブログサービス。PCと携帯電話のどちらからもブログを編集・閲覧できる。PCと携帯電話ではそれぞれ別のURLが用意されるが、ブログの更新は両方のURLに反映される。対応する携帯電話はNTTドコモ、auの一部機種で、ボーダフォンは現段階では利用できない。

 ベータサービス時はテキスト、画像含めて10MBまでのディスク容量スペースが利用できる。機能面ではトラックバックやコメント、RSSフィードなどが用意されているほか、閲覧しているブログのURLをメールで送信できる機能も搭載。なお、ユーザーによるHTMLタグの挿入などはセキュリティの観点から対応せず、アフィリエイトなども利用できない。

 サービスの利用には「.NET Passport」の取得が必要で、HotmailやMSNメッセンジャーなどで取得している.NET PassportはそのままMSN Spacesで利用できる。ベータサービス段階はPCでのみ.NET Passportを取得できるが、今後は携帯電話の取得にも対応していく予定。

 機能は順次拡張予定で、テンプレートの導入、Windows Media Playerとの連動、Mac OS Xのサポート、MSNメッセンジャーやHotmailといった他のMSNサービスとの連動が予定されている。正式サービスは2004年秋に開始、無料サービスとは別の有料サービスなども検討しているという。


開発中のMSN Spaces画面 携帯電話からの閲覧画面

MSN Spaces MSN Spacesの編集画面 容量確認画面

携帯電話から閲覧した場合のTOPページ 記事画面 画像を使ったページを表示

1年間で100万ユーザー獲得を目指す

マイクロソフト執行役 MSN事業部長の塚本良江氏

TOSの谷井玲代表取締役
 サービス開始に合わせて開催された発表会では、マイクロソフト執行役 MSN事業部長の塚本良江氏がTOSとの提携趣旨について説明した。塚本氏はMSN Spacesについて「PCとモバイルの両方をシームレスな形で使いこなせるサービス」とコメント、「ブログサービス自体は活性化しているが、この点で今までのサービスとは大きな差別化が図れると思う」と語った。

 MSN SpacesではTOSがモバイル面、MSNがPC面を担当し、サービスプランニングは共同で進めていく。また、サービスの開発や運営、広告展開はMSNが行ない、TOSは安全面のチェックや今後のサービス発展に関する企画やノウハウ提供といった面で協力していく。塚本氏は「PCとモバイルをベースとしたノウハウや資産が異なる2社のため、お互いに良く補完しあえるサービスが実現できた」との自信を示した。

 塚本氏は今回の提携について「2つの大きな意味がある」とコメント。1つは「Hotmailを含めた広義のコミュニケーションサービスでMSNをNo.1の地位に高める」という目的であり、「ソーシャルコミュニケーションという位置付けのブログサービスにおいて日本で最高の品質とスペックの商品を出すことができた。1年間で100万人のユーザーを獲得、最大規模のブログを目指す」との目標が示された。

 また、「いままで参入が遅かったが」と前置いたのち、「MSN Spacesを皮切りにモバイルサービスも展開する」というもう1つの意味も示され、「単なるモバイルではなく、PCとモバイルの両方を利用するユーザーに対して利便性の高いサービスを提供していく」との方針が語られた。

 TOSの谷井玲代表取締役は、「今後は携帯電話とPCの融合が重要になると考えた」と提携の理由を説明したのち、「魔法のiらんどでは“健全性”が基本ポリシーであり、健全や安全を守った上で携帯電話やPCで人と人を繋ぐ素晴らしいサービスが我々の目指すもの」とコメント。「魔法のiらんどのユーザーは10~20代が中心だが、我々の持っていない顧客層を多く持つMSNと提携することで新たなビジネスが展開できるだろう」との展望も示した。


バイスプレジデントの古川氏は自分のブログを開設

マイクロソフトの執行役 最高技術責任者 兼 マイクロソフトコーポレーション コーポレートバイスプレジデントの古川享氏
 マイクロソフトの執行役 最高技術責任者 兼 マイクロソフトコーポレーション コーポレートバイスプレジデントの古川享氏は「ブログの定義はご存じかと思うが」と前置いたのち、「私なりの視点からブログの発展と将来の話をしたい」と語った。

 古川氏は「インターネットではホームページへのアクセスや電子メールが文化として確立したが、これを使っていると限界も見えてくる」とコメント。「送信したものが折り返しされるというだけの双方向ではなく、1つのコミュニティを形成するようになって欲しいとの期待が高まっている」との見通しを述べた。

 電子メールやBBSといったコミュニティサービスについて古川氏は「いわゆる”荒らし”やスパムメール、詐欺行為など、素晴らしい可能性を秘めながらもどこかで人を傷つける存在になっていた」と指摘。「人を傷つけるのではなく、人を優しくできる健全なコミュニティを作れないだろうか」との考えを示した。

 古川氏は「多くはブログを日記の延長線上と定義しているが、日記サービスであればインターネットの登場時から存在していた」と述べた上で、「トラックバックのような双方向リンクやRSSによるプッシュ型配信、モバイル対応のモブログといった技術革新が重要だ」と指摘。MSNで提供しているHotmailやMSNメッセンジャーといったツールや、答えてねっとやMSDNといったコミュニティサービスの例を挙げた上で、「MSNの特徴として“安全性”を保証していきたい」との考えを示した。

 古川氏は米国でのブログに関する一例を紹介。「大統領選のイベントでは一般記者と同じステータスでブログが扱われており、それぞれが弁護士や看護士といった職種を超えていろいろな立場で情報を発信している。単に日記を書くことを超えてメッセージ発信する1つの有効事例だ」とコメント。また、「私個人のお約束として、MSN Spacesでブログを始めます。いつまで持つのか、厳しい目でご評価、閲覧ください」とブログの開始も宣言された。


古川氏の考えるインターネットの期待と現実 ブログはXMLによって繋がるという

ブログは日本でこそ開花するサービス

MSN事業部 コミュニケーションサービスグループ ディレクターの丸岩幸恵氏
 MSN事業部 コミュニケーションサービスグループ ディレクターの丸岩幸恵氏は、ホームページや掲示板などのコミュニティサービスに参加している日本のユーザーは欧米の約2倍であり、携帯電話のインターネット対応率も諸外国と比較して圧倒的に高いというデータを示し、「ブログは日本でこそ開花するサービスだ」との考えを述べた。

 PCでのサービス提供について丸岩氏は「キーボード入力や高機能といったメリットの反面、持ち運べない、すぐに利用できないといった課題もある」と指摘。日本人の平均通勤時間が1時間というデータを示した上で、「コミュニケーションサービスでは、短時間やくつろぎのシーンは携帯電話で、まとまった時間や目的意識の強いシーンではPCで、との使い分けが重要」とのコメント、携帯電話との連動が重要になると語った。

 セキュリティには重点を置いており、携帯電話からの編集にも「.NET Passport」によるSSL認証を導入するほか、TOSの「iPolice」によるサイトパトロールなども実施される。丸岩氏は「フィルタリングや禁止用語といった技術はマイクロソフトにもあるが、運営やオペレーションには実績がないため、この点ではTOSのノウハウを実践する」とした。

 MSN Spacesのビジネスモデルとしては、広告と有料課金の組み合わせが考えられている。塚本氏は「100万人のユーザーを獲得できたならば、同時に数百万のページビューが獲得できる。これは広告を出すには十分なメディアの価値」と説明。これをベースとして付加価値などを有料サービスで提供していく方針だという。古川氏は「ベータサービスはまず無料で提供する。広告展開については100万ユーザーを超えてメディアの価値が認められてからの話になる」と補足した。


MSN Spacesは「日本発/日本初」のサービスだという PCサービスの利点と課題

コミュニケーションはシーンによって使い分けられる PC、携帯電話、閲覧とユーザーごとに利用シーンを想定

関連情報

URL
  マイクロソフト
  http://www.microsoft.com/japan/
  MSN Spaces(8月10日~)
  http://spaces.msn.com/


(甲斐祐樹)
2004/08/04 17:39
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