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KDDIの小野寺正社長
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KDDIは28日、2004年度の中間決算を発表した。連結ベースでは、上期の営業収益は1兆4,713億円(前年同期比6.1%増)、営業利益は1,624億円(前年同期比2.7%増)となり、au事業の好調により増収増益となっている。
通期の業績見通しについては前回予想と変わらず、営業収益が2兆8,990億円、営業利益は3,090億円としている。これについては、au事業では増収増益を見込み、DDIポケットのカーライルグループへの売却益が得られる一方で、ブロードバンドや固定電話事業の減益と、減損会計の早期適用として海底ケーブルなどを特別損失計上するためとしている。
事業別に見ると、ブロードバンドや固定電話事業が含まれるBBC&ソリューション事業では、営業収益が2,499億円(前年同期比9.3%減)、営業利益が16億円(前年同期比85.2%減)と減収減益の結果となっている。これについてKDDIでは、音声収入の減少をデータ通信などのサービスで埋め切れていないことや、ADSLなどブロードバンドサービスの拡販経費の増加が原因であるとしている。
BBC&ソリューション事業の今後については、2005年2月に直収電話サービス「メタルプラス」を開始し、2006年3月末には人口カバー率75%以上のエリアでのサービスを目指すなど、メタルプラスの積極的な展開により収益の改善を図りたいとしている。ただし、今期については営業費や運用費などの増大により、営業利益の通期予想では120億円の損失を見込んでいる。
また、FTTHサービス「光プラス」については、マンションまでの光ファイバの引き込みは進んでいるものの、各戸までの敷設が遅れているため契約数は予想よりも減少しており、FTTHサービス全体での通期予想は20万回線から10万回線へと引き下げられている。これについてKDDIの小野寺正社長は、「現在でもまだADSLは伸びており、FTTHはまだ時期としては早いのではないか」と述べ、今期はメタルプラスを積極的に展開していくとした。
FTTHの販売促進については、10月からは営業体制を見直し、開通済みマンション内での契約を促進するとともに、年度内に県庁所在地レベルの都市にエリアを拡大。また、年内に無線LANスロットを標準装備した新しいホームゲートウェイを投入することなどを明らかにした。また、一戸建てへの取り組みとしては、GE-PONを用いたサービスを準備中としているものの、開始時期などについては未定としている。
一方、au事業は営業収益が1兆53億円(前年同期比16.3%増)、営業利益が1,436億円(前年同期比11.4%増)と増収増益。契約数は1,818万9,000件、うちCDMA 1X WINが119万1,000件、CDMA2000 1xが1,466万7,000件、cdmaOneが233万1,000件となっている。
au事業の上期の特徴としては、純増シェアでトップを達成した点や、販売コミッションの平均単価が予想よりもやや上昇、解約率の低下、ARPUの安定傾向などが挙げられた。上期における純増シェアは53.1%、累計シェアでも21.7%に達したという。販売コミッションの平均単価は38,000円と2003年下期と比べて2,000円上昇、総額は2,080億円となった。解約率は前年同期比で0.05ポイント改善され1.49%となった。
ARPU(ユーザー1人あたりの平均月間利用料)は、音声通話料が引き続き減少しているものの、データ通信料の増加により対前年同期では240円減少の7,300円に止まり、通年予想も7,140円から7,190円に上方修正された。また、CDMA 1X WINで導入した定額制について小野寺社長は、「基本的には定額制の効果はいい方に出ており、定額制利用者の増加によってARPUも増えていく方向になると見ている」と説明した。
■ URL
KDDI
http://www.kddi.com/
2005年3月期 中間決算資料(PDF)
http://www.kddi.com/corporate/ir/presentation/pdf/kddi_041028_main.pdf
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(三柳英樹)
2004/10/28 21:53
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