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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
イー・アクセス、「今後は1.7GHz帯のW-CDMA/CDMA2000方式を優先」

 イー・アクセスは4日、総務省が予定する携帯電話用周波数割り当ての利用拡大に関する記者説明会を開催した。説明会では、イー・アクセスが今後1.7GHz帯によるFDD方式に注力する方針が明らかにされた。


割り当て予定の周波数帯域は新規事業者に限るべき

イー・アクセスの千本倖生代表取締役社長兼CEO
 この説明会は、同日午前中に総務省が開催した「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」の内容を踏まえて行なわれたもの。同社が検討会の場で説明した資料に基づき、周波数利用拡大に関する取り組みが説明された。

 イー・アクセスの千本倖生代表取締役社長兼CEOは「固定通信が7,000億円の市場で300社以上が存在するのに対し、移動体通信事業は8.5兆円の市場を事実上3社で寡占している」と指摘。通信料金についても「長距離市場はNTTと新電電6社により、当初の3分400円が3分20~80円まで安くなったが、携帯電話の利用料は少しは安くなったものの依然として高止まりしている」とした上で、「音声通信も高いがデータ通信料金はもっと高く、新規事業者の参入による競争が必要」と語った。

 イー・アクセスの提供する移動体通信事業は「低料金・高速・定額」の実現がコンセプトだという。千本氏は「ADSLの普及は高速性はもちろんだが、1カ月の定額料金を実現したことが大きい」とコメント、これら3つのコンセプトがモバイルにおけるブロードバンドサービス最大のポイントとした。

 周波数の割り当てについて千本氏は「既存事業者は当面の間、すでに割り当てられている周波数で十分」と指摘。千本氏は続けて「既存3社には232MHzの帯域幅が与えられており、この帯域幅と現在の加入者数約8,400万を合わせて考えると1MHzあたり36万人の収容が可能」との計算式を示し、「現在3事業者に割り当てられている2GHz帯は、NTTドコモとボーダフォンが1,440万人を収容できるのに対して、実際にはNTTドコモが約650万人、ボーダフォンは約26万人しか利用していない」と説明。「KDDIは加入者数を公表していないが、2GHz帯で1,080万人を収容できる」と補足した上で、「競争促進を図るために今回割り当て対象となっている周波数は新規事業者にすべて割り当てるべき」とした。

 将来周波数が逼迫した際にも、「既存事業者はすでに割り当てられている周波数で十分だろう」と考えており、今回割り当てが検討されている1.7GHz帯、2GHz帯については「割り当てを保留すべきではない」との意見を表明。「将来的な逼迫に関しては総務省が周波数が利用可能なスケジュールを明確にすべきであり、その上で透明かつ公正な手段と利用効率を考慮して割り当てるべき」と語った。


固定通信と移動体通信の市場比較 対象周波数は新規事業者のみに割り当てるべき

PCでの定額サービスも可能。世界一安い料金を目指す

海外の移動体通信事業は6~7社が競合
 千本氏は海外事業者の例も紹介。「米国や台湾、香港では6~7社が携帯電話市場で競合しながら市場を形成している」とした上で、「割り当て予定の周波数はFDD方式による1.7GHz帯で10MHz×2の2事業者、TDD方式による2GH帯で15MHzの1事業者、合計3事業者にすべき」との案が挙げられた。また、各周波数帯は「原則的には異なる新規事業者に割り当てるべきだが、申請事業者の希望により判断すべき問題であって、免許条件の段階で結論すべき問題ではない」との考えだという。

 新規事業者の参入にあたっては、「IMT-2000に準拠し、事業開始後5年以内に全国エリアの地域単位で人口50%をカバー」が要件として挙げられた。また、選定基準については通信事業の経験や経営・管理実績に加えて、事業計画の実現性や技術力、財務基盤を考慮すべきとの考えも示された。

 サービスの詳細は未定だが、音声端末だけではなくPCなどと接続したデータ通信での定額プランを提供する方針。また、音声通話サービスもIMT-2000の条件として提供するが、基本的にはモバイルデータ通信サービスを主力として考えているという。千本氏は「世界一安い料金でのサービス提供を目指す」との意気込みを示した。


新規事業者への周波数割り当て案 イー・アクセスが考える新規事業者の選定条件

TD-SCDMA(MC)実証実験の結果はFDD方式に活かす

発表会の出席者。左から千本倖生代表取締役社長兼CEO、種野晴夫代表取締役COO、エリック・ガン代表表取締役CFO、諸橋知雄新規事業企画本部長
 イー・アクセスでは現在まで2GHz帯を利用したTD-SCDMA(MC)の実証実験を行なっているが、今後は1.7GHzによるFDD方式のサービスを優先するという。イー・アクセス代表取締役COOの種野晴夫氏は「1.7GHz帯は電波の浸透率や帯域の広さで2GHz帯より優れているほか、端末の開発スケジュール面ではFDD方式を優先すべき」とコメント。FDD方式でW-CDMAとCDMA2000のどちらを採用するかは現在検討中であるものの、2006年にはサービスを開始したいという意向を明らかにした。

 TD-SCDMA(MC)方式は引き続き検討を進めるものの、1.7GHz帯のFDD方式参入が決定した場合にはTD-SCDMA(MC)方式を中止する方針という。ただし、新規事業企画本部長の諸橋知雄氏は「根本的な技術であるCDMAは共通である」とし、FDD方式でもTD-SCDMA(MC)の実証実験で培ったノウハウが生かせるとした。また、通信速度についても「現状はW-CDMAで下り14.4kbps、CDMA20001x EV-DOで下り3.1Mbpsとされているが、やり方次第ではより高速なサービスが実現可能だと見ている。その点について技術の検討を進めている」とした。

 なお、ソフトバンクが割り当てを主張する800MHz帯については「800MHz帯を利用する事業者の中での見直しと聞いており、利用できるようにはならないだろう」とコメント。仮に新規事業者への割り当てが行なわれるのであれば「当然名乗りを上げる」との考えを明らかにした。


関連情報

URL
  イー・アクセス
  http://www.eaccess.net/
  関連記事:携帯周波数の検討会、既存組・新規組ともに「我々に割当を」[ケータイWatch]
  http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/21265.html

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~ソフトバンクの800MHz割り当て要求は「正しいやり方とは思わない」~



(甲斐祐樹)
2004/11/04 18:00
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