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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
NTT Com、プロバイダー5社によるIP電話相互接続実験の検証結果を発表

左から経営企画部の長谷部敏治担当部長、ブロードバンドIP事業部の高瀬哲哉マーケティング部長、IPサービス部の佐藤仁担当部長
 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、OCNを含むプロバイダー5社で行なったVoIP相互通話共同実証実験の検証結果を発表した。これによると試験ユーザーの7割がサービスに満足しており、正式サービスへの移行を希望しているという。

 この検証結果は、NTT ComのVoIP基盤ネットワークを採用したOCN、@nifty、So-net、BIGLOBE、Panasonic hi-hoのIP電話サービスについて、試験ユーザーにアンケートを行なったもの。約4万人の試験ユーザーのうち、回答のあった約1万人の評価を元にまとめられている。


70%以上のユーザーが正式サービスを希望

音声品質についての回答結果

IP電話導入による利用時間の変化
 IP電話の音声品質については、相手先が一般加入電話、IP電話に関わらず、約50%以上のユーザーが「一般電話並からそれ以上」と回答している。また、「携帯電話以上」と答えたユーザーは約80%に達し、NTT Comは「音声品質にはご満足いただいている」と自信を示した。

 IP電話試験サービス中の電話利用時間は、40%近いユーザーが「増加した」と回答している。NTT Comでは試験期間中は一般加入電話への通話料が無料だった点を前置きした上で、「無料通話ができる環境であれば電話の利用時間は上がる」との意見を示し、「IP電話サービスが広く普及すれば、今回のデータのように電話の利用時間は長くなるだろう」と予測した。なお、IP電話同士の通話を行なったユーザーは全体の10%程度に留まった。

 正式サービスへの移行については、「ぜひ利用したい」という意見が28.7%、「利用したい」という意見が42.2%で、70%以上が正式サービスの利用を希望している。この回答は通話料だけでなく、月額料金やVoIP機能内蔵モデムなどの追加料金も踏まえたものであるという。正式サービスを利用したい理由については、「一般加入電話への通話料が安い」が92.4%、「無料通話ができる」が67.4%と高く、NTT Comは「大手プロバイダー間で無料通話が利用できるNTT ComのVoIP基盤ネットワークが高く評価されている」とした。

 また、NTT ComはOCNのIP電話サービス「OCN.Phone」を渋谷の街頭でモニタ参加してもらうという実験も実施した。この調査は2003年2月上旬から中旬にかけて実施したもので、500人のユーザーから回答を得ているという。試験サービスのアンケートではすでにADSLを導入しているユーザーが対象となり、回答者もADSLの契約者が主となるのに対し、街頭調査ではADSLを含めたブロードバンドサービスを未導入のユーザーも対象に含まれるほか、幅広い世代から回答を得ているという。

 OCN.Phoneの調査は、モニターが通話しているのがIP電話とはわからないような覆面環境で行なわれたが、この調査でも40%以上のユーザーが「一般電話並からそれ以上」と回答、音声品質について高い評価を得ており、70%近いモニターが利用意向を示したという。一方で「ブロードバンドサービスに加入する必要がある」「端末の設定が難しそう」という声も多く寄せられたとした。


NTT東西のIP電話端末にも対応を予定

試験サービス中のサポート運用体制。NTT ComがVoIPを一括してサポート

街頭で行なわれたOCN.Phoneのモニター調査。こちらも音声品質は高い評価
 NTT Com 経営企画部の長谷部敏治担当部長は、「今回の試験サービスで最も大きな財産となったのは運用体制の確認」とコメント、端末の設定や音声品質に関するユーザーからの問い合わせ情報を、プロバイダー間でいかに迅速に流通できるかが鍵だとした。また、IP電話の心配点としてユーザーから寄せられた「盗聴」「個人情報漏えい」「迷惑電話」といった問題についても、具体的な対策手段をプロバイダー各社と連携して検討していくとし、「NTT Comの電話とISP事業における豊富な運用実績を生かしてサービスを進めていく」と語った。

 現在はNTT Com以外の事業者もIP電話サービスも提供しているが、長谷部氏は「相互接続は将来的にあると思う」と前置きした上で、「品質管理や保守などに多大なエネルギーを必要としている現状を打破することが先決」とコメント、まずはNTT ComのIP電話サービスを中心に進めていくとした。品質管理という面では、自身のネットワークは管理できるものの、他事業者のネットワークと接続した場合はNTT Comで品質管理が仕切れないという問題も大きいという。

 また、現在はADSLユーザーを対象にIP電話を提供しているため、音声品質がADSL区間の品質に左右される点もあるという。NTT Com IPサービス部の佐藤仁担当部長は「Bフレッツの対応も考えている」とコメント。NTT東西が提供予定のIP電話対応端末を利用したサービスを検討しているとした。フレッツ・ADSL向けのサービスについてもNTT東西の端末を利用する方向だという。

 OCN.Phoneは今回のプロバイダー5社の中では唯一「050」番号を利用していないが、これについては夏頃を目途にユーザーへ付与される予定。その場合、OCN.PhoneでIP電話を着信する場合も「050」番号を利用することになるが、佐藤氏は「いきなり番号を置き換えるのではなく、しばらくは一般電話の番号、050番号どちらでも着信できるようにし、緩やかに移行していく予定」とした。

 今後の展望としては、「IP電話はあくまでブロードバンドサービスを利用するユーザーの第2のニーズ」であり、ブロードバンド環境の普及が必須だという。NTT Comの電話事業に対する影響については「減収は覚悟している」としたものの、「IP電話は利用時間が長くなる」傾向を踏まえた上で、一般加入電話にはできない携帯性や画像データとの融合など、付加価値を高めていくことで「新たな収益となることを期待している」とコメントした。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.ntt.com/NEWS_RELEASE/2003NEWS/0003/0306.html
  OCN.Phone
  http://www.ocn.ne.jp/voip/

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(甲斐祐樹)
2003/03/06 18:38
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