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第262回:アクトビラ ビデオ対応でVODを手軽に楽しめるプラズマ 松下電器産業「VIERA(ビエラ) TH-42PZ750SK」
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松下電器産業からプラズマ・液晶テレビ「VIERA」シリーズの新製品が発売された。基本機能の向上に加え、9月1日から開始したVODサービス「アクトビラ ビデオ」に一部機種が対応したのが特徴だ。早速その機能を試用した。
■ VODがより身近に
オン・デマンド・ティービーが今年の9月に発表したニュースリリースによると、同社が運営するSTB型の映像配信サービス「オンデマンドTV」の会員数が10万人を突破したという。この会員数が多いか少ないかは見方にもよるが、4th MediaやBBTV、OCNシアターなど、STBを利用する形態のVODサービスが2004年前後から登場してきた中、ようやく知名度が向上してきたのは間違いなさそうだ。
しかしながら、誰もが使える一般的なサービスか? と問われると、回線が限られたり、IPv6のサービスが必要だったり、そもそもSTBを設置しなければならないなど、まだ敷居が高いイメージがある。サービス内容としては、HD映像の配信が開始されたり、テレビ局によるコンテンツの提供が行なわれるなど充実しつつあるものの、まだ越えなければならないハードルがいくつかありそうだ。
そんな中、従来から開始が予告されていたアクトビラによるVODサービス「アクトビラ ビデオ」のサービスが9月1日から開始され、タイミングを合わせるようにして松下電器産業からアクトビラ ビデオに対応したプラズマテレビ VIERA PZ750SKシリーズが発売された。
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松下電器産業から発売された最新のプラズマテレビ「VIERA TH-42PZ750SK」。映像の美しさもさることながら、9月1日から開始されたアクトビラ ビデオに対応しているのが特徴
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前述した従来のVODサービスと異なり、STBが不要でテレビのみで利用することができるようになっており、回線やISPなどの環境も問わないのが特徴だ。言わば、従来のVODサービスで問題になっていたハードルをいきなり2つくらい取り払ってしまったようなサービスと言えるだろう。
■ 手軽に映像を再生可能
というわけで、42型のプラズマテレビ「VIERA TH-42PZ750SK」を利用して、実際にアクトビラ ビデオを利用した。
使い方は非常に簡単で、VIERAの背面に用意されているLANポートを利用して家庭内のネットワークに接続。その後にテレビの電源を入れ、リモコンの「アクトビラ」ボタンを押してTOPページを表示。そこから「ビデオ」を選べばアクトビラ ビデオのトップページが表示される。
前述したように、回線やISPを問わずに利用できるため、ネットワーク側の設定などは一切不要だ。DHCPでIPアドレスが取得でき、インターネットにさえつながればサービスを利用できる。
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背面にLANポートを搭載しており、これを利用してネットワークに接続する。基本的にはケーブルをつなぐだけで設定などは不要だ
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付属のリモコン。左上に用意された「アクトビラ」ボタンを押すことでVODサービスを利用できる
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有料サービス開始後は課金のための登録が必要になるとのことだが、現状は事前の登録なども必要なくすぐに利用できるようになっている。この手軽さは、今後もぜひ継承していただきたい。
画面は、左側がメニュー、中央がコンテンツという構成になっており、リモコンの方向ボタンと決定ボタンを利用し、メニューから「映画」や「アニメ」、「バラエティ」などのジャンルを選択すると、そのジャンルのお薦めコンテンツやすべてのコンテンツが中央に表示され、そこから見たいタイトルを選ぶという一般的な操作体系となっている。
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アクトビラビデオのトップメニュー。左側にビデオサービス、および静的コンテンツのサービスを選ぶためのメニューが配置され、中央にお薦めコンテンツが表示される
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現状は50ほどのタイトルのみが提供されるお試しサービスで、いずれのコンテンツも無料で視聴できるようになっている。このため、一覧から見たいコンテンツを選べば、すぐにその映像の再生が開始される。
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現状は無料のお試しサービスとなるためコンテンツはあまり多くない
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ただし、個人的には、もう少しキビキビとした操作感が欲しいところだ。ボタンを押してから画面が切り替わるまでのタイムラグが非常に気になる。画面のデザイン(操作性ではなく見た目)は悪くないが、階層をたどって見たい映像を探すという操作性をユーザーに強いる以上、もう少し素早い画面の切り替えと操作ができるとありがたい。
■ 高品質映像の再生は対応テレビと回線速度が必要
映像の品質については、コンテンツ次第といったところだ。アクトビラでは標準画質のアクトビラビデオ(MPEG2 2~4Mbps)とアクトビラビデオ・フル(H.264 4~8Mbps)の2種類のコンテンツが提供されている。このうち、アクトビラビデオ・フルで提供されるHD画質のコンテンツに関しては、地上デジタルなどのハイビジョン映像とほぼ同等のクオリティでかなり見応えがある。
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アクトビラビデオ・フル。HD品質の映像をフル画面で再生できる
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アクトビラビデオ。左側に文字情報が表示され、映像は小さくなる
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一方、アクトビラビデオの映像に関しては、画面が左側の文字情報表示セクションと右側の映像表示セクションに分割され、映像自体が小さいサイズになってしまう。これにより画質の荒さは目立たなくなるが、やはりフルに比べると物足りない印象は否めない。
このため、できればアクトビラビデオ・フルでコンテンツを楽しみたいが、前述したようにコーデックにはH.264を利用するため再生環境は限られる。今回利用したVIERA PZ750SKシリーズはアクトビラビデオ・フルの再生に対応するが、同じアクトビラビデオ対応テレビでもソニーのBRAVIA X/W/Vシリーズではアクトビラ・フルには対応せず、アクトビラビデオのみの対応となる。
また、回線環境に関しては帯域が問題になる。アクトビラビデオでは実効6Mbps、アクトビラビデオ・フルでは実効12Mbpsの回線速度が必要とされている。ADSLや光ファイバーでも集合住宅向けの共有メニューの場合は、この制限が影響する場合もある。
なお、実効12Mbpsさえ確保できれば無線LANやPLCでも利用可能だが、これは環境次第といったところだ。無線の電波が届きにくいとか、PLCの環境が悪い場合は、映像が乱れる場合がある。可能な限り有線での接続をお薦めしたい。
このほか、些細なことではあるが、アクトビラビデオ・フルではリモコンの方向ボタンで早送りなどの操作ができるが、アクトビラビデオでは同じ操作が数字キーに割り当てられている。コンテンツによって操作性が異なるというのは極めて不便なので、ぜひ統一していただきたい。
■ 薄型テレビ購入済みのユーザーをいかに救うか?
このように、アクトビラビデオのサービスを新型VIERAで実際に体験してみたが、現状は無料コンテンツのみで見られる作品が限られているものの、利用するまでの敷居が低く、映像のクオリティも高いため、なかなか良いサービスだと感じた。
11月1日からは、1本105円程度で有料タイトルの配信が開始されるので、これで既存のSTB方式のサービス並にコンテンツが充実すれば、将来的な利用者も十分に見込めそうだ。
ただし、アクトビラビデオは、STBが不要なことが最大の特徴でもある一方で、それが最大の欠点でもあると言える。STBが不要なことで接続の手間やリモコンの使い分けが必要なくなるが、そもそも対応テレビがないことにはサービスを利用してもらえない。テレビの買い換えサイクルを考えると、すでに液晶やプラズマなどの薄型テレビを購入してしまった人が、次にアクトビラビデオ対応テレビを購入するまでに数年のブランクがある。この間、ユーザーを獲得できないのは大きな痛手だ。
また、今回のVIERAもそうだが、アクトビラビデオ対応はテレビの上位モデルに対する付加価値という位置づけでの提供となっている。このため、まだすべてのテレビで利用できる機能とはなっていない。場合によっては、アクトビラビデオは利用できても、アクトビラビデオ・フルには対応していないということも考えられる。
ソニーでは、同社のBRAVIAシリーズ向けにオプションでネットワークTVボックス「ブラビアユニット(BRX-NT1)」を提供する予定となっているが、これはまさにSTBと言うこともできる。場合によっては、このようなSTBの提供も検討すべきだろう。
つまり、どのテレビでも、アクトビラビデオが標準で利用できるようになれば話は別だが、現段階では普及にまだ多くの課題が残っていると言える。コンテンツの拡充、UIのブラッシュアップなども個人的には望みたいが、何より重要なのは、やはり全メーカーの全機種で利用できるようになることだろう。そうなれば、VODが当たり前のサービスとして、テレビの楽しみ方を変えてくれるはずだ。
■ URL
製品情報
http://ctlg.panasonic.jp/product/info.do?pg=04&hb=TH-42PZ750SK
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2007/09/25 11:07
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