Broadband Watch logo
最新ニュース
「著作権処理とコピー対策は万全」~動画ポータル「ShowTime」に聞く

ショウタイム 代表取締役副社長の利重孝夫氏
 ブロードバンド回線の契約数が日々増大するなか、常に論議の対象とされてきたのが「コンテンツ」だ。「広帯域な回線ならではの、良質なコンテンツが不足している」と言われ続けているが、その裏で着実にその数を増やしているのが、動画配信サイトである。今回は、動画配信ポータル「ShowTime」について、ショウタイム 代表取締役副社長の利重孝夫氏にお話を伺った。

 ショウタイムは、USENと楽天が50%ずつ出資して設立した企業で、2002年2月に正式サービスを開始。コンテンツを特定のジャンルに限定しない、総合的な動画配信サイトを標榜し、映画やアイドルをはじめとした芸能関係からアニメ、アダルトまで広くラインナップしている。

 サービスは基本的に有料の月額会員制をとっている。数度の価格体系変更を経て、現在は月額280円の料金で、相当数のコンテンツが見放題になる。そのほかに別途有料のコンテンツが多数用意されており、アニメ「ブレンパワード」の場合は1話約30分で100円、全26話分を30日間視聴できるパックプランでは1,800円が別途必要になる。

 動画再生用のプレーヤーとしてはWindows Media Playerをサポート。そのほかには専用のソフトウェアなどをインストールする必要はない。また配信帯域は基本的に500kbps単一となっている。





月額料金値下げの理由

バンダイチャンネル
 ShowTimeの正式サービス開始から約1年4カ月経過したが、基本的に会員数は非公開だ。男女比をはじめとした会員分布についても利重氏は明言を避け、「サービス開始当初は30代男性が中心だったが、次第に広がりを見せつつある」と語るにとどめた。ただこの傾向は、現実のブロードバンド利用者層の広がりとほぼ同一の傾向ではないか、との考えも示した。

 また2002年11月以降は、会員の獲得数に好影響があったという。実質的な値下げを敢行し、当初500円だった月額料金を、280円に変更したからだ。この値下げの一因にあったのは携帯電話向けコンテンツとの価格差だった。「最近は携帯電話向けコンテンツが月額300円で高いと見られることも多い。5円10円という課金単位も実際に生まれており、500円という料金に割高感があった」(利重氏)。

 加えて、もう1つの要因として挙げたのが「バンダイチャンネル」の存在だ。

 バンダイチャンネルは、玩具メーカー「バンダイ」など、グループ4社が設立した会社で、ガンダムをはじめとした人気アニメ作品をブロードバンド向けに配信する事業を行なっている。

 実際、バンダイチャンネル自身はコンテンツ制作に特化しており、ユーザーへの配信実務は、提携した映像ポータルサイトや大手ISPが手がけている。ShowTimeでは2002年12月からバンダイチャンネル作品の配信を始めている。

 利重氏は「明確な数値としての裏付けはないが」と前置きしながらも、「バンダイチャンネルの存在が効果的に働いたのでは」とみている。バンダイチャンネルのコンテンツは、ブロードバンドの普及以前から高い知名度と根強い人気を持つことから、「魅力的なコンテンツの必要性」が部分的ながら裏付けられたとも言えるだろう。





「特定の人気ジャンルは、ない」

ShowTimeのTOPページ。アイドルやアニメなど多彩なジャンルを取り揃える
 ここで気になってくるのは、売上などの傾向にも連動してくる「どんなコンテンツに人気があるか」ということだ。筆者側では、やはりコアとなるアニメ作品自身の人気の高さから、バンダイチャンネルのコンテンツや、古くから言われるアダルトビデオ分野に多少なりとも人気が集中しているのでは、と考えていた。

 しかしこれは利重氏によれば「NO」で、「特定の人気ジャンルはない」というのが答えだった。少なくともShowTimeでは「年齢による多少のバラツキはあるものの、特に人気が集中しているコンテンツはなく、各ジャンルとも平均している」という。

 また、この平均的な傾向をむしろ好意的に捉えているという。この背景にあるのが、ShowTimeの総合ポータルサイトとしての位置づけだ。利重氏は「たとえばアダルトの分野は、商用の専門サイトやアングラも含めれば、非常に競合が激しい分野。総合的な動画ポータルサイトを標榜する以上、これらの専門サイトへの太刀打ちは難しいのが現実で、あくまでも総合的なラインナップの充実を目指している」と述べており、ShowTimeとしては、特定分野に依存するよりも、総合ポータルとして定着させたいという。





広帯域化・Windows Media 9対応は流動的

 実際に、動画を視聴する上での操作性や使い勝手、映像的な見栄えに大きく影響を与えるのは再生プレーヤーおよび配信帯域だ。現在ShowTimeが対応するプレーヤーはWindows Media Player、配信帯域は500kbpsというスペック。これは利重氏によれば「サービス開始当時に妥当だった数値に過ぎない」とのことで、帯域の拡大などはコンテンツ制作上、常に検討しているという。

 ただし、部分的に帯域1.5Mbps超コンテンツの導入は進めているものの、ShowTime全体レベルでの帯域拡大は現段階で未定とし、「今後の動向を見ながら少しずつ進める」と述べた。またすでに公開済みのコンテンツが、より広帯域な形式で再ラインナップされることも、作業面などから難しいと判断している。

 利重氏によれば、「広帯域化やWindows Media 9 Seriesへの対応はユーザー側のマシンスペックによるところが大きい。最先端の機能に対応することは重要だが、その対応を進めることで視聴できなくなる方を増やしてしまうのは大変問題」だという。新規性の高い機能イコール即、採用という法則がまかり通らない現状を明かした。

 また海外ではReal社が、より大規模でのコンテンツ見放題サービス「RealOne SuperPass」を実施している。こういったサービスが国内でも可能なのか、という点について利重氏は「配信事業者側とコンテンツホルダー側の取り組み方次第で十分可能だろう。しかしShowTimeにおいて同様のサービスを展開するかは、現段階で否定も肯定もしない。」との回答にとどまった。





著作権・違法コピー対策は

 動画配信をビジネスとみた場合、著作権のクリアや違法コピーへの対策が常に課題として挙げられる。しかしこの2点への対処は万全だという。「今現在サービスを続けていることからも言えるが、(著作権問題や違法コピー対策に)問題はない。できているからこそコンテンツホルダー側の理解も得られており、バンダイチャンネルさんのコンテンツを預かることもできた」と利重氏は胸を張る。

 また「(親会社である)USENにブランド力があるので、著作権クリア済みのコンテンツを集めやすい側面もあるかもしれない」とも付け加えた。

「著作権保護機能は十分機能しており、コンテンツホルダー側の理解不足という点も、1年前と比較して圧倒的にブロードバンド環境が普及したこともあり解消されつつある。現在はすでに著作権云々が問題になることは少なく、配信ビジネスによって得られる成果だけが問われるようになってきた。」

 ただし、テレビドラマをネット配信する場合に、出演者が1人でも許可を出さなければ当然不可能になるが、その判断も出演者本人か、担当マネジャーの私的な見解によるケースがあるそうだ。こういった現場レベルでの問題についても、動画配信の普及こそが、解決の糸口になるのかもしれない。


関連情報

URL
  ShowTime
  http://www.showtime.jp/

関連記事
ShowTime、会員向けにガンダムを24時間無料配信
ShowTime、閲覧可能コンテンツ数の変更なしに月会費を値下げ


(森田秀一)
2003/06/25 13:38
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.