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インターネット機能を充実した新型「mylo」の機能をチェック

 ソニーの新型mylo「COM-2」は、タッチパネルの大型液晶やカメラ、ポッドキャストやウィジェット機能の搭載など、前モデル「COM-1」からその機能を大幅にスペックアップ。前モデルの「COM-1」と比較しながら、COM-2の試作機を用いて特徴的な機能をチェックする。


タッチパネル化や大画面液晶などスペックアップ

mylo新世代モデル「COM-2」
 COM-2は、QWERTYキーボードを搭載し、「my life online」の頭文字を取って付けられたコミュニケーション端末「mylo」の新型モデル。米国ではすでに同製品が発売されているが、日本でもソフトウェア面を大幅に変更、3月より発売を開始する。

 ハードウェアの仕様で一番の変化は新たに搭載された130万画素のカメラと、2.4型のQVGAから3.5型のVGAへと大型化かつタッチパネル化された液晶ディスプレイだろう。キーボードも面積が30%増となったワイドピッチキーを搭載し、キーバックライトを採用したことで操作性が向上した。

 ボタン類はタッチパネル化により削減。十字ボタンは本体右側から左側に移動し、それ以外のボタンはすべてタッチパネル化された。背面のHOLDは電源ボタンが兼ね、背面のボリュームボタンは本体右側面に移動。COM-1で本体下部にあった楽曲の早送りや早戻しが可能なボタンはCOM-2では省略されている。

 COM-1と同様に充電可能なmini USBポートやメモリースティックDuoスロットを備えるが、メモリースティックDuoはCOM-1の最大4GBと比べて最大8GBまでサポートと大容量化。内蔵のフラッシュメモリは1GBで変更はない。

 ソフトウェアはインターフェイスの構成や基本的な機能はCOM-1を踏襲。ソニー製品に搭載されているインターフェイス「XMB」を縦に表示したような構成で、十字ボタンのほかにタッチパネルでの直接選択も可能だ。


本体左に電源、無線LANスイッチ、十字ボタン 本体左に音量、メモリースティックDuoスロット 本体上部に角形ヘッドフォン、mini USBポート、ACアダプタ端子、カメラのシャッターボタン

背面にカメラとマクロスイッチ、自分撮り用のミラー スライド型のQWERTYキーボードを搭載 キーの感覚は広く押しやすい印象

COM-1との比較


タブブラウザに対応したNetFrontを搭載

COM-1とCOM-2のブラウザ表示エリア比較
 インターネット接続はIEEE 802.11b/gの無線LANをサポート。暗号化キーは手動での入力になるが、QWERTYキーボードがあるので入力は比較的用意。また、今後のアップデートではボタン操作で設定できるバッファローの「AOSS」への対応も予定されている。

 初期設定では「HOTSPOT」「BBモバイルポイント」の設定がプリセット。自分が加入するIDとパスワードを入力すればこれらサービスに自動でログインできる。さらにHOTSPOTは1年間無料で利用できるなど、外出時の公衆無線LANがより利用しやすくなっている。


 ブラウザはNetFrontを採用。WVGAディスプレイによってほぼPCと同様の画面で閲覧できるほか、ブラウザの画面幅に合わせてWebサイトを表示する「画面にフィット」モードも用意。最大で8つまでウィンドウが開けるタブブラウザも対応する。ただ、Webページのリンクから新しいウィンドウを開く機能がないのが残念。ブラウザは初期起動時はURLウィンドウやメニューバーが表示されているが、これは画面左の「DISP」ボタンで表示のオンオフが可能だ。


無線LAN設定画面 BBモバイルポイントとHOTSPOTはオートログイン設定が可能 IDとパスワードを設定することで公衆無線LANエリアで自動接続できる

Broadband Watchを表示 ウィンドウやアイコンは非表示にできる 表示は「ノーマル」「画面にフィット」の2種類

キーボードでブラウザ操作は快適。スループットは約3Mbps

タブブラウザに対応
 ブラウザの操作は十字キーやタッチ操作で行なうが、設定により「リンク移動」「ページでスクロール」「タッチでスクロール」の3種類に切り替えられる。「リンク移動」「ページ移動」は移動に十字キーを利用し、移動がリンク単位かページ単位になるかが違い。「タッチでスクロール」は画面のタッチ操作でページ移動が可能になるもので、iPod touchの操作感に近い。

 どの操作も一長一短だが、合わせて覚えておきたいのがキーボードショートカット。ページの先頭や最後といった移動だけでなく、数行分や1行分、ページ単位での移動などもキーボードショートカットで行なえる。基本は「リンク移動」に設定しておき、画面の移動はショートカットで行ないながら選択したいリンクをタッチ操作や十字ボタンで選択する、といった方法が使いやすい。

 ただし、キーボードの配置は独自の仕様でテンキーも無いため、入力には慣れが必要だ。数字は「Num」を、記号は「Sym」を押すことで入力でき、2回キーを押すと入力状態をロックできる。「ー」など日本語入力中に使う記号も「Sym」操作が必要なのが多少面倒だが、このあたりは馴れの問題だろう。

 編集機能も充実しており、テキストのコピー&ペーストやカットといった操作も可能。ただし、「タッチでスクロール」の場合、Shift+十字ボタンは選択できない。


多彩なブラウザ用キーボードショートカットを用意 画面移動操作は3種類 選択範囲を指定したコピー操作も可能

 BNRブロードバンドテストの画像読み込み版で測定した速度は3Mbps超を記録。画像読み込みの処理能力が影響するため回線速度というよりも体感速度に近いが反応はかなり高速だ。

 YouTubeはPCでの再生に比べると動画は多少コマ落ちするものの音声ははっきり聞こえ、十分に視聴できるレベル。Google マップも読み込みには時間がかかるが、一度データを読み込めばタップ操作による地図の移動も可能だ。Gmailに関しては通常表示はデータが重過ぎるのか表示が止まってしまったため、「http://m.gmail.com」のモバイル版を使ったほうがよさそうだ。


BNRスピードテスト 画像読み込み版での測定結果 YouTubeを再生 Googleマップを表示

Google TalkとSkypeは2画面表示や日本語メニューをサポート

COM-1とCOM-2でSkypeを起動。COM-2は2画面のため情報量も多い
 メッセンジャー機能はSkypeとGoogle Talkの2種類。どちらもテキストチャットが可能で、Skypeはグループチャットやファイル転送、音声通話もサポートするなど基本的な機能はCOM-1と変わらないが、画面が大型化されたことでメニューが2画面表示となり操作性が向上したほか、メニューの日本語表示にも対応した。また、Google TalkはGmailとの連携機能を搭載し、Gmailの新着をメニュー画面で表示できる。

 なお、アプリケーションを複数起動する場合、メモリ不足になると「タスクマネージャー」が自動で起動し、アプリケーション終了が促される。Skypeはかなりメモリを消費するようで、Skypeを常時起動しながらアプリケーションを起動していくとタスクマネージャーの表示頻度が高かった。


Skypeのチャット画面 Google Talkのチャット画面 メモリ不足の時はタスクマネージャーが自動で起動する

本体のみで取得できるポッドキャスト機能やmixi新着チェック機能

RSS配信サイトは登録画面に「RSS/Podcastへ追加」メニューが表示される

mixi新着などが確認できるウィジェット
 COM-2で新たに搭載されたポッドキャスト機能は、PCと接続することなく本体だけでポッドキャストのコンテンツを取得できる。RSSリーダー機能も備えているが、フィードの画像表示は未対応なほか、フィードによってはPCでは改行やリンクが反映されていてもCOM-2では反映されていないなど、かなり簡易的な機能のようだ。

 登録したRSSやポッドキャストは、オプションの「全フィード更新」を選択することですべてのフィードを更新、コンテンツをダウンロードしてくれる。ダウンロードしたコンテンツはオフラインでも閲覧できるため、通勤中などの移動中にも便利。ただし、更新にはかならず手動操作が必要になってしまうため、時間指定や充電時などの自動更新機能も欲しいと感じた。

 ウィジェット機能は標準でGoogle検索やmixiの新着チェック、PetaMapによる現在地検出機能、コンタクトリスト機能、YouTubeのお勧め動画表示機能、簡易RSSリーダーなどが利用できる。ウィジェットの追加や配置などはカスタマイズ可能だ。

 mixiの新着チェックはユーザーIDとパスワードを設定しておくことで、新着コメントやメッセージなどの新着情報を画面に表示。また、ウィジェットは本体のLEDとも連動しており、mixiやRSSリーダーの新着があるとLEDがオレンジ色に点灯するため、ウィジェット画面を開いていなくても新着が確認できるのが便利だ。ただし、新着の内容は実際にブラウザでアクセスする必要があり、ウィジェット単体では確認できない。


Broadband WatchのRSSを登録したところ RSSの概要部分も閲覧できる ポッドキャスト再生画面

130万画素のカメラを搭載。エディタやビューワー機能も

カメラ機能
 新たに搭載されたカメラ機能は1,280×1,024ドット(SXGA)と640×480ドット(VGA)がそれぞれ高画質モードと2種類、そして320×240ドット(QVGA)と5種類の画像サイズを搭載。ホワイトバランスやEV補正、デジタルズームなど携帯電話のカメラ程度の機能は備えている。

 レスポンスは早く、撮影ボタンを押して1秒程度で撮影が終了するので手軽に撮影できる。マクロスイッチも携帯電話のように背面のスイッチを切り替えて操作。ただし、マクロのオンオフはディスプレイからは判断できないので、撮影時はスイッチを確認するほうがいい。

 撮影した画像は自動で日付ごとに分類して保存が可能。回転やリサイズ、スタイラスによる手書き文字やイラストといった編集も可能で、スライドショー再生にも対応する。また、COM-2で撮影した画像以外でもリサイズされずに画像をそのまま保存できるので、持ち運び用の簡易フォトビューワーとしても使えそうだ。


画像サイズは5種類 ホワイトバランスなども調整可能 撮影した画像は日付でグループ化

1,280×1,024ドット(高品質)での作例。リンク先は無加工 マクロ撮影のサンプル。リンク先は無加工 撮影した写真のエディット機能も搭載

音楽・動画は対応形式を拡充。再生機能は簡易的

楽曲再生機能。ファイルはフォルダ単位で管理される
 音楽や動画は前モデル「COM-1」と基本的な機能は変わらないが、対応するフォーマットが大幅に拡充。音楽ファイルはMP3/WMA/ATRAC3に加えてAACに対応し、iTunesで取り込んだAACも再生できるようになった。DRMはWM DRM 10およびOpenMGをサポートし、iTunes Storeをのぞくほぼすべての音楽配信サービスを利用可能。定額制の音楽配信「Napster」にも対応している。

 楽曲を転送する方法は2通りで、1つはSonicStage CPやWindows Media Playerといった楽曲管理ソフトを使った転送。もう1つはマスストレージクラスでのドラッグ&ドロップだ。楽曲管理ソフトの場合、USBモードをソフトに合わせて変更する必要があるがあるが、ドラッグ&ドロップの場合、マスストレージクラスに設定してファイルを直接ドラッグ&ドロップすればよく、ファイル形式も問わないので手軽だ。

 ただし楽曲のファイル管理機能はかなり簡易的なもので、保存した楽曲はフォルダ単位でのみ保存され、アーティスト名やアルバム名でのソートができない。こうした使い方をする場合はSonicStage CPやWindows Media Playerでプレイリストを作成して転送する必要がある。

 また、外部メモリとして対応しているメモリースティックDuoは、楽曲ファイルは保存できるものの、管理ソフトからの転送には対応していない。SonicStageおよびNapsterからはメモリースティックDuoが認識されず、Windows Media Playerではプレイリストが転送されずに楽曲のみが転送されてしまう。メモリースティックDuoで楽曲を保存する場合は、聞きたい楽曲をフォルダ単位で整理しておく必要がある。

 移動中に音楽を聞くときは、タッチパネル化の影響もあってカバンやポケットに入れっぱなしの状態では誤動作が頻発するためHOLDスイッチをこまめに切り替える必要がある。また、リモコンには対応していないので、早送りや早戻しといった操作は本体で行なう。COM-1では搭載されていた楽曲の早送り/早戻し/一時停止のハードウェアボタンも省略されていることから、myloは音楽プレーヤーとしてよりもコミュニケーション端末としての位置付けがより強くなっているようだ。


再生画面 内蔵メモリはプレイリスト転送が可能。WPL/M3U形式どちらも対応するが、転送時には独自形式に変換される

動画再生画面。オリジナルサイズは最大でQVGA QVGA動画のズーム再生

インターネットを「使う」ためのコミュニケーション端末

 以上、myloの性能をネットワーク機能を中心に見てきた。前モデルと比較すると小型というメリットはやや失われた感があるが、タッチパネルによる操作性の向上やWVGA対応の大画面化といったハード面の拡充に加え、公衆無線LANの自動接続や無料サービス、ウィジェットによる新着チェックやポッドキャストなど、大幅に機能が向上している。

 タッチパネルやブラウザを搭載し、音楽・動画・写真が再生できるポータブルプレーヤーというと、比較対象になるのはアップルのiPod touch。価格はCOM-2の店頭予想価格35,000円に対してiPod touchは36,800円からとほぼ同等だが、内蔵メモリはCOM-2の1GBに対してiPod touchは8GBと大きな差がある。

 使用感ではiPod touchのほうがブラウジング速度は速く、アプリケーションとしてメールソフトも備えている。一方、COM-2はQWERTYキーボードによる文字入力が最大の違いだろう。iPod touchもソフトウェアキーボードで日本語は入力できるが、変換スピードも遅く実用的とは言いがたい。COM-2はキーボード入力に加えて予測変換も対応しており、Web閲覧だけでなくブログやメール送信といった情報発信にも便利だ。

 メモリ容量から考えれば音楽、動画などを重視するユーザーはiPod touchが向いているだろう。一方、「mylo」の名前が「my life online」から取られていることからもわかる通り、COM-2はコミュニケーションを重視した端末。ブラウザ以外でもmixiやポッドキャスト、公衆無線LANにも対応し、 今後もAOSS対応やカメラの動画撮影機能などの機能拡充を予定。ウィジェットも仕様が一般公開され、ユーザーが作成したウィジェットも利用できるという。インターネットを「見る」だけでなく積極的に「使う」用途であれば、COM-2は魅力的な端末だと感じた。

 残念なのは通信が無線LANのみという点。これはインフラの問題も含むために難しいところだが、PCの分野ではPHSに加えてイー・モバイルやKDDI、NTTドコモといった携帯電話でも定額制のデータ通信サービスを提供しているだけに、COM-2でもこうした定額データ通信が利用できれば利便性は飛躍的に増すだろう。対応機器の開発も必要ではあるが、USB経由やBluetooth経由などの通信機能の実装も今後は期待したい。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/Mylo/

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(甲斐祐樹)
2008/02/19 15:41
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