インターネットを通じてさまざまな機能を追加できる小型の端末「chumby」が日本でも発売された。自分好みにカスタマイズできるchumbyの特徴や機能、設定方法などを紹介する。
■ タッチスクリーンと無線LANを搭載した小型の端末
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chumby
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chumbyは、3.5インチのタッチスクリーンとIEEE 802.11g準拠の無線LAN機能を搭載した小型の端末。本体のみでも時計や音楽再生機能などを備えるが、最大の特徴はインターネットを通じてchumby用に作られたさまざまな機能を追加できること。天気やニュース、動画など数百以上のウィジェットがchumbyのために用意されている。
ウィジェットの開発は一般向けにも開放されており、世界中の開発者がchumby向けのウィジェットを開発できる環境が整っている。Windows Vista サイドバーガジェットやGoogle デスクトップ ガジェットといったソフトウェアをハードで実現したのがchumby、と例えるとわかりやすいかもしれない。
日本での発売はジークスが正規代理店となり、2万9400円で9月3日より先行予約を開始。先行予約に申し込んだユーザーは10月16日から10月22日の期間内で購入でき、10月23日からは一般向け販売も開始した。なお、現時点で販売されているchumbyは英語表示となるが、ソフトウェアは日本語化に対応した「インターナショナル版」であり、2008年中に日本語に対応するアップデートを実施する予定という。
■ 家電製品らしくないデザインとパッケージ
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chumbyのパッケージ一式
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箱を開封すると、chumbyのマークで封がされた包みと日本語での取扱説明書が現われ、包みの中には麻袋に入ったchumby本体がある。袋の中には本体とは別に袋に分けられた電源アダプタや「チャームセット」と呼ばれるストラップが同梱されており、一見するととても電化製品を買ったとは思えないパッケージ。本体自体もディスプレイ以外は柔らかな布で覆われており、ハードウェアというよりもぬいぐるみに近い印象。日本のハードウェアには見られない、非常に個性的なデザインだ。
液晶の解像度は320×240ピクセルのQVGAサイズで、指によるタッチ入力が可能。ステレオスピーカーやUSBポート×2、ステレオヘッドフォン端子も備え、音楽を再生することもできる。また、入力はタッチスクリーンによるタッチ入力のほか、本体を握ると反応するスクイーズセンサー、本体を傾けると反応する3軸加速度センサーなど、さまざまな入力インターフェイスをサポートしている。
本体の背面に電源を接続するとchumbyが自動で起動するとともに、画像と音声によるアニメーションでチュートリアルが行われる。チュートリアルは「exit」をタッチしてスキップすることも可能で、後でチュートリアルを再生することもできる。
■ タッチスクリーンで直感的かつユニークな初期設定
実際の設定はタッチスクリーンの調整から始める。画面の左上と右下へ順番に星マークが表示され、両方をタッチすると次は左下には「A」と表示された位置に緑色の丸いアイコンが出現。これをタッチしたまま左上の「B」地点へ移動するとタッチスクリーンの設定が完了するという仕組みになっている。
続いては無線LANの設定。SSIDは自動検索されるため、接続したいSSIDを指定して暗号化キーを入力する。暗号化キーはWEPとWPAに対応しており、接続するアクセスポイントによってWEPとWPAを自動で判別してくれるので、あとはソフトウェアキーボードで入力すればいい。
最後にタイムゾーンを設定。世界地図の中から設定したい位置を何度もタッチすることで地図が拡大表示され、指定した位置の時間を設定できる。
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タッチスクリーン設定
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無線LANアクセスポイントを検索
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暗号化キーはソフトウェア入力
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ここまでで本体設定は完了するが、chumbyの機能をすべて利用するには公式サイトでのアクティベートが必要。アクティベートを行わない場合、chumbyは単なる置き時計としてしか利用できない。
アクティベートは公式サイトでユーザーIDやパスワードを設定。続いて全部で16個の楕円が白と黒で表示され、これをchumbyの本体で同じ模様になるようにタッチ入力するとアクティベートが完了する。文字入力を一切行わない非常に変わった設定方法だが、PCの画面通りにタッチするだけで設定できるため非常に直感的だ。
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時計設定。設定したい国をタッチで選んでいく
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専用サイトで本体を登録
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サイトに表示されたマークをchumbyに登録していく
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■ アプリケーションを自由に追加してカスタマイズ
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本体の設定画面
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初期設定ではニュースや天気など全部で19のウィジェットが登録されており、一定時間ごとにウィジェットが自動で切り替わる。本体上部のスイッチを押すと設定画面が表示され、アラームや音量などが設定できる。指定した1つのウィジェットのみを常に表示することも可能だ。
ウィジェットの追加はchumby本体ではなくWebサイトから行う。chumbyのウィジェットは「channel」と「widget」で構成されている。channelはフォルダやプレイリストのような役割で、1つのchannelに複数のwidgetを登録可能。初期設定では「default」という名称のchannelにwidgetが登録されており、defaultへのwidget追加や新しいchannelの作成が公式サイトから行える。
channelやwidgetを作成したら、本体の設定画面から「RELOAD」を行うと、追加したwidgetや作成したchannelがchumbyに反映される。channelの切替は本体から可能で、テーマや好みに応じてwidgetを切替可能だ。
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widgetはWebサイトから追加
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Twitterのwidgetを追加したところ
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サイトでwidgetを追加した後にchumbyを更新すると反映される
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widgetの種類は非常に豊富で、インターネットラジオや天気予報、ニュースなどに加えて、YouTubeの動画を再生できるwidget、Twitterの発言を表示するwidgetなども用意。ただし、現時点では日本語表示に対応していないため、Twitterでは日本語が「Unsupported text format」と表示されてしまう。
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YouTube再生widget
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Twitterは日本語が表示できない
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英語は入力できる
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インターネットラジオやポッドキャストの再生機能
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背面にiPod nanoを接続
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iPod nanoの楽曲を再生できる
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■ ネットとソフト、ハードが融合した新しいジャンルの製品
インターネットを利用して機能をアップデートできる家電製品は多いが、chumbyのように自由に機能を追加できる製品は非常に珍しい存在。また、開発環境も公開されているため、ユーザーが自由にchumbyのウィジェットを開発できる点も非常に個性的だ。
残念ながら現時点では日本語表示に対応していないためにウィジェットも英語が中心だが、2008年中に予定されている日本語化が行われれば、今後日本語に対応したウィジェットも増えてくるだろう。インターネットとソフトウェア、ハードウェアを融合した新たな形の製品として、chumbyは非常に興味深い製品と言えるだろう。
■ URL
chumby
http://www.chumby.jp/
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(甲斐祐樹)
2008/10/31 11:15
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