Broadband Watch logo
「エキサイト恋愛結婚」から見た“自分を魅せる”ネット婚活

 婚活ブームを背景に、Web上の結婚情報サービスが注目度の高いコンテンツとなっている。女性会員数約1万8000人、全体の正会員数約2万6000人を有するオンライン結婚情報サービス「エキサイト恋愛結婚」。コンテンツの立ち上げから関わり続けている、エキサイト デジタルコミュニケーション部のプロデューサー 角倉恵美氏に話を聞いた。





ウケのいいプロフィールは丁寧な記入から。笑顔の写真が高ポイント

エキサイト デジタルコミュニケーション部のプロデューサー 角倉恵美氏
――本日はよろしくお願いします。まず簡単にサービスの概要と特徴を教えていただけますか。

 「エキサイト恋愛結婚」は2003年10月に開始した恋人・結婚相手探しサービスです。現在の会員数は約2万6000人で、サービス開始からの累計ですと約8万人ですね。PC版の会費は“納得できる金額”を考え、男性は月額1890円、女性は無料です。

 それもあってか、会員の男女比は3:7で女性が多いんですよ。また安心して利用できるよう、入会時にはすべての方に「本人確認」を実施しているのが特長です。

 いわゆる成婚率については、「エキサイト恋愛結婚」では、相手が見つかった時点で退会するルールなので、正確な成婚数というのは把握できないんです。ただ、退会時のアンケートでは、今までに約1万7000人以上の方から「お相手を見つけた」というご報告をいただいています。サービス退会済みの会員約5万4000人のうちの約1万7000人なので、こうしたサービスの中では、かなり成果が高いほうだと思います。

 もっとも、入会すると毎月何人自動的に紹介するというようなサービスではありませんから、まず好みの条件で検索して気になった方にメールを出してみたり、あるいはチャットに参加してみたり、積極的に自分から動くことが必要なシステムということは言えますね。ただ入会しただけでは、お相手は見つかりません。


男女比は3:7。会員数や属性データは毎日更新される。画像は2009年3月1日時点での会員数 プロフィールの顔アイコン部分。運転免許証などの各種書類を提出した場合、下部に本人確認を証明するアイコンが表示される

プロフィールの「生活項目」。右側にお金に関する項目が並ぶ
――プロフィールを見ることから始まるわけですが、ウケのいいプロフィールというのは。

 やはりなるべく多くの項目を記入されていると、その人柄や真剣さがよく伝わってくるので、好感を持たれるようです。読む側は、それだけ相手を真剣に探す気持ちが強いんだなと感じます。

 注目される項目は、男性ですと女性の自己採点欄を見ることが多いですね。ほかは健康状態とか、家事の得意度、結婚歴など。女性では、年齢や地域、職業や年収、休日の過ごし方。「いつもダラダラして過ごしてます」とか、そのままの書き方ではあまり良くないですね(笑)。「インドア派なので、よく家でDVDを見ています」とか、ポジティブな言い方もあると思うんです。あと、女性にとっても、お相手の男性が家事ができるかどうかはポイントが高いですね。

 プロフィールは約80項目あるのですが、結婚について今まで考えていなかったことを書くのはかなり大変なので、一度に全部埋める必要はありません。わたしたちはこれを“自分の棚卸し”と言っています。真剣にプロフィールを埋めていたら、「自分がまだ結婚したくないことがわかったから退会する」という人もいるんです。

 プロフィールでここはぜひチェックを、という項目は、たとえば「最近買った高いもの」という項目があるんですよ。これは、お相手の金銭感覚がわりと直感的にわかるんですよね。金銭感覚が近いかどうかって、一緒に暮らすことを踏まえるととても大切だと思います。趣味欄よりも、案外キャラクターも出ますしね。


悪い写真の例も掲載
――ウケのよくないプロフィールもあるんでしょうか。

 男性でもったいないなと思うのは写真ですね。写真は絶対あった方がいいです。イメージがわかると相手も安心ですし、実際会うときにもわかりやすい。6割くらいの方が写真を載せていないのですが、掲載している方でも身分証明書のような真面目で堅い表情の写真もお見かけします。でもここは仕事の場ではなく「恋愛結婚」の場なので、見せ方を変えたほうが絶対オススメですよ。

 写真はみぞおちの辺りから上を撮るバランスで、笑顔のスナップが好印象です。また、女性は単に顔というより、全体をチェックするので、背景が散らかった部屋だったり、首もとがよれたようなTシャツ姿だったりするとガッカリしてしまいます。

 男性は、自分を魅力的に見せるのが苦手な方が多いのかな、と思います。例えば愛車と一緒に写っている写真で、車全体を写すために肝心の自分はすごく小さく写っていたり。車がお好きなのは伝わりますが、女性は車に詳しくない方が大半。見る方はやはりご本人が見たいわけですから、「主役は自分」に見せたほうが効果的ですよ。

 あと、清潔感のある服装というのは相手に対する最低限のマナーですね。もし服装に特にこだわりや自信がないなら、スーツがベストです。「恋愛投票箱」という男女のあらゆる観点や傾向が見て取れる会員アンケートでは、男性のスーツ姿について、全体の9割以上の女性が「かなり好き」「まぁ好ましい」と回答しているんです。圧倒的な支持ですよね。スーツ姿って、女性から見ると男前が3割増しくらい上がるんですよ。





お相手探しのポイントは希望年齢を1歳上げて検索

男女年齢別の希望年齢表(エキサイト恋愛結婚 幸せな結婚★7つの法則
――中心となるユーザーの年齢層、年齢層によって希望する相手の年齢は違ってきますか。

 年齢層は大体30代前半と後半の人が同数で、メインユーザーは男女とも30代です。一番上で70代の方もいらっしゃいますね。

 弊社が実施したアンケート結果によると、男性は、結婚相手として自分より年下を望むのが一般的ですが、実は女性も29歳くらいを境に、年下も視野に入ってくるんです。男女とも35歳くらいになると、自分が相手に希望する年齢のレンジと、その相手が希望する年齢のレンジが完全にずれてきますね。

 例えば36歳の男性が希望する相手女性の年齢層は25~33歳なのに、その36歳の男性を希望する女性の年齢層は34~44歳なんです。年齢が上がるともっと顕著ですね。40歳男性の場合は27~35歳の女性を希望しますが、40歳の男性を希望する相手は37~49歳の女性なんです。もちろんこれらはあくまで傾向で、年齢レンジが広い方も大勢いらっしゃいますけれど。


――面白いですね。お互いが希望する年齢が違うと、うまくいかない場合もありそうですが。

 なかなかうまくいかないなという人は、相手の検索条件に自分が合っているかも考えたほうがいいですね。40代の男性は検索するときは20代女性も対象に入りますが、20代女性の検索条件は30代前半くらいまでだったりするので。

 アドバイスとしては、例えば検索条件の年齢を、自分の希望より1歳上げて検索することはかなり有効だと思います。1歳幅を広げるだけで、1000人単位でお相手は増えますから。35歳までのところを、36歳までOKにしてみる。キレイな人はいっぱいいますよ。

 実は私もネット婚活で、35歳の時に現在の夫からメールをもらったんです。私はその1カ月後に誕生日を迎えたので、プロフィールは36歳に自動変更されたんですね。後で聞いたのですが、彼がメールをくれた時に、相手を検索した条件が31歳から35歳までだったそうなんです。あと1カ月遅かったら出会ってなかったんですよね。

 ネット婚活をすると、結婚相手探し市場における第三者から見た自分の価値や評価がわかるんですよ。自分の希望する年齢層とは違うレンジの人からメールが来たりして、自分のいるポジションがわかる。いまどきの30代独身女性は、お洒落もしてキレイですし、自分的には仕事も趣味も充実してきて、「自分磨き」で価値が上昇したと思いますよね。でも結婚相手探し市場においては、評価は違ってくることが往々にしてあるんです。ネット婚活で、はじめてそのギャップに気づく方は多いと思います。


初デート時の支払いに関するユーザーアンケート(女性側)
――デートの時は、やはり男性はおごった方が好印象なんでしょうか。

 それは、サイト内では一番盛り上がる話ですね(笑)。相手におごるかおごらないか、というのは。

 女性は6:4くらいで、初回デートでは男性が少し多めに出すとか、おごって欲しいという意見が多いです。でも男性は、おごることが逆に相手に気を使わせるんじゃないかとか、財布を出す素振りすら見せない女の子におごるのは嫌だとか、いろいろな意見があります。年代差や男性の年収にもよると思いますが。

 ただ、恋愛だと、女性って絶対にリードされたい部分があるんです。初回は男性が全額払うか、ちょっとでも多めに払うと、女性が受ける印象は全然違いますよ。初回デートの負担を軽くしたいなら、休日の午後早い時間に会ってお茶をおごる、というコースが良いでしょう。お互いに好感をもったら、そのあと夕食も一緒に行けばいいですし。

 女性も絶対毎回おごってくれないと嫌だという人は少数派なので、定期的にデートするようになったら、必ずしも男性がおごらなくてもいいと思います。ただ、初回は次のチャンスへつなげるためにも、相手の希望にそってもいいんじゃないでしょうか。


――女性ユーザーに敬遠されてしまう行動などはありますか。

 会員アンケートでは、女性が男性に求めるものの第1位は「理解してほしい」なんです。だから、自分のことだけを考えた行動は嫌われますね。

 おごるかどうかの話とも絡みますが、実際にお会いして、一緒にスターバックスに行ったのに、男性が自分の分だけ注文してがっかりした、なんて話が運営側に届いたりします。普通は、「何がいいですか」って、一緒に行った相手にも聞きますよね。

 お相手にメールを送ったけれど返事が来ない、という相談をいただいたこともありました。事情をお聞きすると、お相手に送ったメールがほぼテンプレートなんですよ。大量にテンプレートのメールを送っていたようなのです。そんな誰でもいいから手当たり次第、みたいなメールだと、お返事を出す気にはなりづらいですよね。なぜメールをしたのか、お相手のプロフィールのどこに惹かれたのか、を書くことがコツです。





「その場のノリが強い」。予想外の広がりを見せるチャットサービス

チャットルーム一覧。男性は青い丸、女性は赤い丸で表示。ルーム内では相手のプロフィールを閲覧できる
――会員向けサービスのチャットが人気だそうですが

 チャットサービスは、有料のプレミアム会員のオプションサービスとして2005年に開始しました。システムは、男女3名ずつで最大6名が入室できるチャットルームを、年代別・地域別で計23室用意しています。以前は話題別のルームもあったのですが、ネタが合うのか地域の話の方が盛り上がるんですよね。

 チャットルームに入室すると入室メンバーにプロフィールが公開されます。ルーム内の会話も基本的に公開ですが、並行して2人だけで非公開のチャットができる「内緒話」機能もあります。

 実際にルームに入るまで、どの会員が入室中かわからないのですが、着信を拒否した会員が先に入室していた場合はそのルームに入れないシステムになっています。当初はチャットもできたらいいよね、という感じで深く考えずに作ったのですが、想定していない広がりがありますね。

――想定していない広がりというのは

 お相手と実際に会う期間が早くなることがありますね。通常、実際に相手と会うまでは、10往復程度メールをやりとりします。それがチャットルームで話が弾むと、「じゃあ会おうよ」となるんですね。その場のノリがとても強いんです。

 情報交換も盛んで、「こんなとき女性はどう思う?」などの相談が気軽にできる雰囲気です。リアルだと、異性に聞きにくい話もあると思うんですが、ここのチャットだとスムーズですね。オフ会もよく開催されます。グループで会うほうが、1対1より気が楽な部分はあると思います。

 面白いのが、チャットルーム内にも、いわゆる「仲人」的な存在の方がいて、複数のオフ会に参加した人が「あの人あなたに合うんじゃない」と別の会員に出会いを勧めることもあります。

 「エキサイト恋愛結婚」では、お相手を見つけたら退会しなければいけないルールなので、退会時のアンケートでは「チャット仲間と別れるのがさびしいです」というメッセージがよく寄せられますね。「エキサイト恋愛結婚」で出会った方の結婚式に呼んでいただくことがあるのですが、披露宴でチャット仲間の席が用意されていたりもします。


エキサイト ロビー前に立つ角倉氏
――「エキサイト恋愛結婚」の今後について、強化したい点など教えてください。

 そうですね、男性会員を増やしたいというのはあります。今は女性が7割と女性がかなり多いので、なるべく男女比は5:5に近づけたいですね。

 また、お見合いパーティのようなリアルで会える場を設けてほしいという声もいただくので、イベントを開催して出会いの場を増やしたいと思っています。以前、専門の先生に来ていただいて、社交ダンスを習うというイベントを開催したのですが、評判良かったですよ。ダンスは女性と手を繋げるので男性には特に喜ばれますね。

 イベントは、お見合いパーティのような、回って座って1分間話してというような機械的なシステムではなく、参加した方が共同体験を通じて仲良くなれたり、ゆっくりお話できるようなものを開催したいですね。そうすると参加人数もある程度限度を設けることになるので、多くの方にご参加いただくのが難しいところです。まだ検討段階なのですが、旅行会社などと提携してイベントを開催することなども可能性のひとつとして考えてはいます。いろいろな形で出会いの幅を広げていければいいですね。

――ありがとうございました。


関連情報

URL
  エキサイト恋愛結婚
  http://www.excite.co.jp/wedding/

関連記事
エキサイト、中川翔子の動画や画像を配信するデスクトップツール
エキサイトとSkypeが事業説明。今後は高品質ビデオチャットに重点


(村田奏子)
2009/03/09 13:03
BB Watch ホームページ
Copyright (c) 2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.