関西電力株式会社は8月29日、イスラエルのITRAN(イトラン)社と技術提携し、日本国内における家庭までの足回り回線としてのPLC(Power Line Communication)技術、ノウハウの提供について独占契約を締結した。これに合わせて、関西電力はITRAN社と松下電工株式会社と合弁で、PLC技術の実用化検討を目的とした企画調査会社ラインコム株式会社を本日付で設立した。
PLC(Power Line Communication)技術とは、既存の電力線を使用して通信を行なう技術で、通常60Hzで流れている電力線に数十kHzの高周波信号を重ね合わせて、電力線を伝送路として通信を行なうもの。すでに各家庭に引かれている引込み線を使用することから、新たなインフラ構築を必要とせず、電気コンセントがあればどこでもインターネット接続が可能となる。
ITRAN社のPLC技術では、4MHzから20MHzの周波数帯域を重畳して最大24Mbpsの伝送速度を実現するという。海外ではイスラエルなど一部で実用化している。ただし、日本国内の現行規制では、10kHzから450kHzの範囲の周波数帯しか利用できず、現在は利用できない。これは450kHzから30MHzの周波数帯域が放送、海上移動無線、アマチュア無線などで利用されているためで、電波障害防止のために規制されているものだ。
しかし、この周波数帯域の利用規制について規制緩和の動きがあり、2001年3月のIT戦略会議では規制緩和推進3カ年計画の中に、周波数帯域の規制緩和が明記された。政府が「2002年春にも規制緩和する形で動いている」(関西電力広報)ため、同時期の実用化を目指して、企画会社を設立した形だ。
関西電力では、ラインコムを通じて、PLCモデムの技術開発、実証実験などを行なっていく予定。関西地域に構築済みの光ファイバーネットワークと、既存の電力線を活用し、実サービスはグループ会社のケイ・オプティコムを通じてサービスを提供していく考え。
また、今回のPLC技術開発に合わせて、電力系メーターにPHSから電波を飛ばして、電力系から屋内の電気製品をコントロールする次世代高機能型メーターを利用した総合的な生活サービスシステムの実用化も計画している。
□ニュースリリース
http://www.kepco.co.jp/press130.htm
□関西電力株式会社
http://www.kepco.co.jp/
□株式会社ケイ・オプティコム
http://www.k-opti.com/
□松下電工株式会社
http://www.mew.co.jp/index.html
(遠藤 剛)
2001/08/30 13:05
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