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【CEATEC】高速化に未来を託す電灯線通信技術

 CEATECのテクノロジーセッションでは「電灯線通信技術の現状」と題した講演が行われた。講師は松下電器産業株式会社ソフトウェア開発本部アプライアンスソフト開発グループ主任技師の後藤健氏。電灯線通信とはネットワークケーブルを使わず、AC電源を供給する電灯線を用いて通信を行なうもの。新たに配線をせずに通信ネットワークが構築できる。

 松下電器産業では、2001年8月にエコーネットコンソーシアムで統一方式として規格化された「ECHONET」を発表している。これは家庭内のさまざまな家電製品・住設機器へ適用し、制御のための安価なネットワークが構築できる規格。ECHONETはスペクトラム拡散方式(MESA-SS方式)を採用している。この方式は日本の電波法など国内法規に対応し製品化も可能だ。通信速度は9600bpsで、あくまで機器の制御を目的とした低速・低コストなネットワークだという。

ECHONETとHome Plugなどの高速電灯線通信のすみ分けについて
主な高速電灯線開発会社と開発した規格の概要。乱立の様子がわかる

 これに対して高速電灯線通信という、インターネットなどの高速アクセスに用いるものもある。通信速度がイーサネットに近いものとなり、家庭内のLAN構築やインターネットのラスト・ワン・マイルアクセスに用いる技術として注目されている。しかし、さまざまな規格がメーカーから発表されているのが現在の状況である。

 後藤氏は「乱立する規格を統一し、早急に市場を立ち上げるため」に松下電器産業は「Home Plug Powerline Alliance」の設立に加わり、高速電灯線通信方式の標準化を進めることになったという。ここにはシスコ・システムズ、コンパックコンピュータ、インテルなどの関連分野のメーカーから、ラジオシャックといったアメリカの小売店まで名を連ねている。

Home Plug Powerline Allianceの設立、早期に市場を立ち上げるために設立された
設立企業たち、さまざまな分野からキーとなる企業が参加している

 ここで策定された規格は、短波帯の周波数を用いて通信をする。日本国内では電波法の関係で現在は使用することはできず、実用化には法規の改正が前提となるという。そして、日本ではないが「Home Plug」対応の機器が11月から発売される可能性があるとこのことだ。

 なお、ECHONETとHome Plugのすみ分けについては、低コストな機器制御とインターネットのアクセス手段という違いがあるが、将来的にコストが下がればHome Plugなどの高速電灯線通信に一本化される可能性もあるとした。

Home Plug Powerline Allianceのスケジュール。まもなく準拠された機器が発売予定
地域ごとの周波数利用の実態。日本では短波帯の利用は今のところできない

田中 章
2001/10/03 22:37

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