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講演を行なったNTT西日本の廣瀬 雄二郎氏 |
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NTT西日本の新ビジネス推進部 事業戦略部長の廣瀬 雄二郎氏は、CEATECのトレンドセッションにおいて「生活化するブロードバンド」と題した講演を行なった。インターネットの高速な常時接続が社会や家庭生活に入り込み、どのようにコンテンツや利用状況が変化していくかを語った。
冒頭、George Guilder氏の「TELECOSM 20の法則」を引用しネットワークの進歩発展について説明した。その法則にある「ネットワークの価値は、接続されるすべての端末の処理能力の2乗に比例して増大する」は、接続される機器が増えると急激にネットワークのトラフィックが増えること。「帯域単価の1ポイントの下落が、5ポイントの需要を喚起する」は、インターネットの利用料金が下がると利用シーンが増える。そして「テレコズムにおいて、ネットワークはコンピュータとなる」は、ネットワークが発達すると、ネットを使って分散処理や分業傾向が強まり、やがてネットワークでつながったコンピュータが大きなコンピュータになるというものだ。
今後、ネットワークの利用料金が定額化に向かうことで、コンピュータの使われ方が大きく変化する。まず、パソコンは使うたびに起動するという習慣がなくなっていく。かつてテレビは、見るときだけ電源を入れていたが、今はつけっぱなしが多くなった。パソコンもいずれそうなっていくという。OSを起動するという作業すらなくなっていくのだ。そして、ネットに常時接続され常時起動されているパソコンにはプッシュで情報が送られてくる。もはやそういう時代が目前まで迫っているのである。
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コンテンツのポジショニングマップ。縦軸は閲覧対象者の地理的範囲、横軸は更新頻度。黄色い未開拓領域がある |
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ブロードバンド化される場合のコンテンツ変化。より高機能になっている |
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そうなると、コンテンツも変わってくる。現在、世の中に存在するメディアの地理的範囲と更新時間におけるポジショニングマップを見ると、ごく近所や個人をターゲットとしていて、更新頻度が数時間というメディアはない。この部分がまったくの未開拓領域であるが、これを埋めるのが常時接続が一般化したときのネットコンテンツであるという。
このコンテンツを作るには、更新などの面で“体力がいる”とされているが、ビジネスチャンスとしては大きい。
こうした例として、NTT西日本では「情報流通Platform技術の実験」を大阪府の吹田市と広島県で行なっている。地域コミュニティにおける情報流通の集約拠点として地域生活に密着した情報・機能を実験提供しているのだ。大阪の例では、地域の商店街の商店情報や、地域の幼稚園の情報を流しており、幼稚園では時間帯によって保護者向けにパスワード付きで園児の様子をライブ映像で見ることができる。これは非常に評判がいいそうだ。
常時接続が一般化すると、より身近な情報があふれるようになるというが、NTT西日本ではフレッツシリーズとしてインフラ整備のほか、地域ポータルサイトのビジネス、ASP・データセンタービジネスで対応していくという。
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情報流通Platform技術の実験の例、地域ポータルの概要が書かれている |
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NTT西日本のデータセンタービジネスへの取り組みの様子 |
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(田中 章)
2001/10/03 21:14
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