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第7回:関東圏の私鉄やバスに対応。Suicaとも互換性のある「PASMO」
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PASMO(パスモ)は、これまで関東地方の鉄道やバス会社で利用されてきた共通乗車カード「パスネット」の進化形とも言えるサービスです。PASMOの電子マネーとしての一面に注目してみましょう。
■ 電子マネーの動向
先頃(8月22日)、日本銀行から「最近の電子マネーの動向について」という調査論文が発表されました。
詳細なデータについては原文を参照していただきたいと思いますが、同論文ではEdy、Suica、ICOCA、PASMO、nanaco、WAONを主要な6電子マネーとして位置づけて、まざまな調査がなされています。たとえば、電子マネーの発行枚数は2008年3月で8000万枚を超えました(うち携帯電話は11~12%前後)。ここ最近では月間で200~300万枚ペースで発行枚数が増えていますので、順調な伸びと言えることでしょう。
しかしながら、決済額で35兆円弱(ショッピングのみ)、発行枚数で3億枚に届こうかというクレジットカードと比べると、まだまだ規模は小さいようです。特に決済額は2007年度で約5600億円ということですから、規模の違いは明確です。まだ普及途上であること、そして何より、決済金額が小口であるという電子マネーの特徴が良く現れているとも言えるでしょう。
本格的な普及には利用可能な店舗の増加、相互運用などまだ課題はありそうですが、電子マネーは着実に私たちの生活に身近な存在となりつつあるようです。
■ Suicaとの連携が可能なPASMO
PASMOは、前回紹介したSuicaと非常によく似たサービスです。電車やバスの乗車券として利用できることに加えて、プリペイド型の電子マネーとして提携する店舗などでショッピングに利用できます。
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PASMO
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サービス名 |
PASMO |
サービス提供会社 |
株式会社パスモ |
サービス開始 |
2007年3月 |
使用技術 |
FeliCa |
発行枚数 |
1000万枚(2008/08) |
提携店舗数 |
7244店(2008/08) |
利用件数 |
3271万件/月(2008年7月) |
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カード種類の一例
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PASMOは「PASSNET」と「MORE」を組み合わせたという名前の由来の通り、もともとは関東圏の鉄道とバス会社が発行していた磁気カード式の共通乗車カード「パスネット」から発展したサービスとなっています。このため加盟している事業者は数多く、鉄道は小田急、京王、京成、西部、東急、東京都交通局、東京地下鉄などの23事業者、バスに関しては79事業者と数多くの事業者が参加しているのが特徴です。
また、Suicaとの相互利用ができるのも大きな特徴で、乗り継ぎなども含めた乗車券としての幅広く利用できることに加えて、店頭での電子マネーとしての相互利用も実現しています。これにより、Edy、Suicaに次ぐ1000万枚(2008年8月時点)の発行枚数を誇るサービスとなっています。
2008年8月に公表されたデータでは、SuicaとPASMOを併せた発行枚数が3,535万枚(Suica:2562万枚)へと達し、月間の利用件数も2008年7月で3,271万件と3000万件を突破しました。利用件数としては、セブン&アイホールディングスのnanacoが高い利用率(2007年6月で3,000万件/月)を誇っていますが、Suicaとの連携により、これと肩を並べるサービスとなっています。
【お詫びと訂正】
初出時、ファミリーマートの利用可能地域が首都圏のみ、ミニストップが関東1都6県でチャージ不可としておりましたが、現在では利用可能地域が拡大しており、チャージにも対応しております。お詫びして訂正いたします。
コンビニエンスストア |
セブン-イレブン |
× |
ローソン |
× |
ファミリーマート |
首都圏全店および宮城県、新潟県の一部 |
サークルKサンクス |
× |
ミニストップ |
関東、東海、東北 |
am/pm |
首都圏 |
交通機関 |
JR |
JR東日本、東京モノレール、東京臨海高速鉄道、埼玉新都市交通 |
私鉄 |
伊豆箱根鉄道、千葉都市モノレール江ノ島電鉄、東京急行電鉄、小田急電鉄、東京都交通局、関東鉄道東京地下鉄、京王電鉄、東武鉄道、京成電鉄、東葉高速鉄道、京浜急行電鉄、箱根登山鉄道、埼玉高速鉄道、北総鉄道、相模鉄道、舞浜リゾートライン首都圏新都市鉄道、ゆりかもめ、新京成電鉄、横浜高速鉄道、西武鉄道、横浜市交通局、多摩都市モノレール、横浜新都市交通 |
バス |
79社(Suica事業者含む) |
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利用店舗の一例
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ただし、Suica以外のサービスとの相互利用に関しては、現状はまったくと言って良いほど進んでいません。SuicaはJR系を中心に「ICOCA(JR西日本)」、「TOICA(JR東海)」、「SUGOCA(JR九州、2009年予定)」、「nimoca(西鉄)」、「はやかけん(福岡市交通局、2009年予定)」との相互利用を実現していますが、これらのエリアの路線の乗車や電子マネーとしてPASMOを利用することはできません(その逆も同じく不可)。
定期券を利用する場合は近隣の路線がJRなのか、私鉄や地下鉄なのかによってSuicaを使うか、PASMOを使うかが自動的に決まってしまうことになりますが(JRと私鉄・地下鉄の乗り入れ路線は別)、そうでない場合は相互利用が可能なことから、SuicaとPASMOのどちらを利用するかで迷う人もいることでしょう。
しかし、関東近郊では相互利用からどちらを選んでも利用場所に大きな差はないSuicaとPASMOですが、そのほかの地域での利用となると、Suicaと違って、PASMOはほとんど利用できません。出張や旅行などが多い場合は、このような相互利用についてもよく考える必要がありそうです。
■ 携帯電話には未対応
相互運用の関係もあり、カードの形態などもSuicaとよく似ています。専用カードとしては、無記名式の「無記名PASMO」、記名式の「記名PASMO」、「PASMO定期券」があり、この3種類が基本となります。
専用カード |
無記名PASMO |
1,000円、2,000円、3,000円、4,000円、5,000円、10,000円(デポジット500円含む) |
記名PASMO |
PASMO定期券 |
定期券料金(デポジット500円含む) |
会員証一体型 |
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クレジットカード一体型 |
パスタウンカードJCB/三井住友/三菱UFJニコス(デポジット不要) |
京急カードPASMO |
TOP&カード一体型PASMO |
Tokyo Metro To Me CARD PASMO |
東武カードPASMO |
キャッシュカード一体型 |
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おサイフケータイ |
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カード種類の一例
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初期の発行金額は1000円、2000円、3000円、4000円、5000円、1万円から選択できますが、いずれのタイプのカードの場合も発行の際に500円のデポジットが必要になります。チャージについては、自動券売機、自動精算機、簡易入金機、駅窓口、事務室で可能となっています。コンビニエンスストアなど店頭でのチャージもできますが、NEWDAYS、ファミリーマート、ミニストップなどと一部に限られています。
一方、クレジットカードと提携した一体型PASMOは、発行時にデポジットは必要ありません。一体型PASMOには、パスタウンカード一体型(パスタウンPASMO)と交通事業者系が発行するクレジットカード一体型PASMOがありますが、後者には「京急カードPASMO」「TOP&カード一体型PASMO(京王)」「Tokyo Metro To Me CARD PASMO 」「東武カードPASMO」があります。
これらの一体型カードは、オートチャージに対応しているのが特徴です。オートチャージの金額は1日あたり1万円、1カ月あたり5万円までとなっていますが、1000円単位で細かく設定することができます。一部オートチャージできない駅も存在しますが、PASMO対応の駅だけでなく、Suica取扱事業者の駅でもオートチャージできるようになっています。
なお、オートチャージに関しては、一体型カードに加え、記名PASMO+対応クレジットカード(小田急OPクレジットカード、京王パスポートカード、京成カード、京急カード、相鉄カード、SEIBUプリンスカード、東急ポイントカード、Tokyo Metro To Me CARD)という組み合わせでも利用できます。
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記名PASMOの場合は提携カードを登録することでオートチャージが可能(写真は小田急OPクレジットカード)
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種類 |
プリペイド |
オートチャージ |
オートチャージサービス付きPASMO+対応クレジットカード
(小田急OPクレジットカード、京王パスポートカード、京成カード、京急カード、相鉄カード、SEIBUプリンスカード、東急ポイントカード、Tokyo
Metro To Me CARD、東武カード) |
チャージ方法 |
自動券売機、自動精算機、簡易入金機、駅窓口、事務室 |
バス(1,000円単位) |
POSレジ(am/pm) |
チャージ金額 |
最大 |
2万円 |
単位 |
1000円/2000円/3000円/4000円/5000円/1万円
(オートチャージ対応カードは1000円単位で自由に設定可能) |
送受信 |
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カード種類の一例
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このように多彩なカードが用意されるPASMOですが、Suicaとのもっとも大きな違いとも言えるのが携帯電話に対応していない点です。現状はアプリケーションが用意されておらず、おサイフケータイでの利用はできません。乗車券としても、電子マネーとしてもカードのみでの利用ということになります。
■ 独自ポイントは無し。代わりに提携事業者のポイントサービスが豊富
ポイントサービスに関しては、PASMOが提供するサービスは存在しません。その代わり、提携するカード事業者のポイントサービスが豊富に用意されています。
たとえば、小田急、京王、東京地下鉄、東急で行われている「乗りものポイント」と呼ばれるサービスがあります。これは、オートチャージサービス付きPASMO、もしくはクレジットカード一体型PASMOを利用して、指定鉄道やバスに乗車、もしくは乗車して指定店舗で買い物をすると、その金額や頻度に応じて一定のポイントが付与されるというものです。
少々わかりづらいので例を出して説明しましょう。たとえば、東急の「乗って買ってTOKYUポイント」では、PASMOを利用して東急の電車やバスに乗車して加盟店に行き、そこで買い物をした場合に、合計1,000以上で1日50ポイントが付与されます。また、東京地下鉄の「SF乗車ポイント」では、単純に乗車に対してポイントが付与され、1乗車あたり2メトロポイント(一般カードの場合)が付与されます。
なお、オートチャージに対するクレジットカードのポイントの付与に関してはカード会社によって対応が異なります。京王はチャージに対するポイントは付与されませんが、京急、東急などはオートチャージでもクレジットカードのポイントが付与されるようになっています。
このように、交通機関の利用に対してのポイントサービスを設定することによって、各事業者とも自社沿線利用者の獲得を進めています。
利用ポイント |
サービス固有 |
- |
提携先サービス |
小田急乗車ポイント |
小田急線の乗車回数に応じて運賃の最大7%付与(小田急ポイント/ポイントのPASMOチャージ不可) |
京王乗りものポイント |
京王線、京王バス、京王パスポートカード加盟店での買い物を1日2つ利用で10ポイント、3つ利用で20ポイント(1000ポイントを1000円分お買い物券に交換可) |
SF乗車ポイント(To Me CARD) |
一般カード:1乗車2メトロポイント、ゴールドカード:1乗車5メトロポイント |
乗って買ってTOKYUポイント |
東急の電車やバスへの乗車+加盟店での買い物の合計1000円以上で1日50ポイント |
TOKYU |
電子マネー利用1TOKYUポイント/200円
(※オートチャージカードのみ、申し込み必須) |
チャージポイント |
京急カード |
オートチャージ金額×0.5%クレジットポイント |
京成カード |
5ポイント/1000円あたり |
相鉄カード |
オートチャージ金額×0.5%クレジットポイント |
TOP&カード(東急) |
1ポイント/200円、または1ポイント/500円 |
To Me CARD |
JCB、NICOS、UCのポイント準拠(カード会社の200ポイント→1000メトロポイントに交換可) |
*チャージポイントなし |
京王パスポートカード |
ポイント交換 |
電子マネーに換金
(ポイントのチャージ) |
メトロポイント |
1000メトロポイント→1000円 |
TOKYUポイント |
1000TOKYUポイント→,000円 |
他ポイントへの交換 |
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他ポイントからの交換 |
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ポイント交換の概要
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