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第28回:電子マネーと一緒に使うと便利な「かざすクーポン」

 日本マクドナルドが東京23区、九州、近畿の一部店舗で展開している「かざすクーポン」。今回は、電子マネーと一緒に使うと便利なこのサービスについて見てみることにしましょう。


顧客向けサービスの新しい形

マクドナルドの「かざすクーポン」サービス案内ページ
http://www.mcdonalds.co.jp/fanclub/mcd/kazasu_coupon/
 東京23区と九州に続き、今年の1月から近畿エリアの一部店舗でもサービスが開始され、じょじょに使える場所が増えてきたマクドナルドの「かざすクーポン」。店頭でおサイフケータイを使ってオーダー、支払いをしている人の姿を見かけた人も少なくないのではないでしょうか?

 かざすクーポンは、日本マクドナルド(および子会社のThe JV)が提供しているおサイフケータイ向けの顧客サービスです。本コラムの主題である電子マネーではありませんが、電子マネーと同様のFelica技術を採用している点、iDやEdyといった電子マネーと組み合わせて利用することができる点などから、高く注目されています。

 かざすクーポンのサービス開始は、ごく最近です。2008年の5月に九州の一部店舗で開始され、その後、第2弾として2008年7月から東京23区(一部店舗除く)にエリアを拡大。さらに、前述したように2009年に入ってから近畿にもサービスエリアが拡大されました。

 日本マクドナルドは、もともと携帯電話から同社のサイトに登録したモバイルユーザー向けに、商品をお得な価格で購入することができるクーポンをメールで配布していましたが、これをさらにおサイフケータイ用のアプリケーションとしても提供したことになります。

 電子マネーを利用した顧客サービスとしては、現状、ポイントサービスが一般的ですが、クーポンという形で提供され、さらに電子マネー事業者ではなく、日本マクドナルドという外食産業の企業自らがサービスを展開している点は新しい形態と言えるでしょう。


選んで、注文して、決済する

かざすクーポンのアプリは「トクするケータイサイト」からダウンロードする
 エリアが広がったとは言え、まだ全国で展開されているサービスではないこともあり、よくわからないという人も少なくないことでしょう。そこで、かざすクーポンの使い方を簡単に紹介しておきます。

 かざすクーポンは、おサイフケータイ用のアプリとして提供されています。NTTドコモ、au、ソフトバンクのいずれの事業者の場合でも、おサイフケータイの機能が搭載された端末であれば、同社の「トクするケータイサイト」への登録後、無償でダウンロードして利用することができます。

 なお、かざすクーポンは、電子マネーのiDやEdyと組み合わせて利用すると便利なサービスですが、電子マネーのサービス自体は必須ではありません。iDやEdyを使っていない人が、かざすクーポンのサービスだけを利用することも問題なくできます(この場合は、支払いは現金となります)。

 それでは、実際の使い方を見てみましょう。かざすクーポンは、以下のように大きく分けて3つのステップで利用します。



 まず最初は、家でも、会社でも、外出先でも、店舗の前でも、どこでもかまいませんが、携帯電話でかざすクーポンアプリを起動して、使いたいクーポンを選びます。クーポンは、その時々によって変わるようになっていて、たとえば本コラム執筆時点では、「毎日14時から使えるチキンマックナゲット100円」というクーポンなど、合計で10個のクーポンが配布されていました。

 画面上でクーポンを見ながら、利用したい枚数(クーポンによって使える枚数に違いがあるが2枚前後)を選んで登録します。


上下でクーポンを選んで、左右で枚数を決める。登録すると店舗で利用可能に

 次のステップは注文です。クーポンを登録したおサイフケータイを持って、かざすクーポンに対応した店舗に行き、店頭でクーポンの利用を伝えて、レジ横のリーダーにおサイフケータイをかざします。


店頭でクーポンの利用を伝えて、レジ横のリーダーにおサイフケータイをかざす

 これで登録されているクーポンの情報がレジへと転送され、それがそのまま商品の注文となるわけです。なお、かざすクーポンではセットメニューの注文もできますが、ドリンクやナゲットのソースなどは事前に種類を選ぶことができませんので、コーヒーやコーラ、バーベキューなど、店頭でやり取りする必要があります。

 なお、ドライブスルーでの利用や混雑時の事前オーダー(店員さんが携帯用端末で並んでいる間にオーダーをしてくれる)の場合は、クーポンの前に記載されている番号を口頭で伝えるという方法でクーポンを利用できます(注文後は携帯電話をかざす必要はない)。

 最後のステップは決済です。前述したように、決済は必ずしもおサイフケータイを使う必要はなく、現金で支払うこともできますが、現状、iDとEdyでの支払いに対応していますので、これらの電子マネーを利用している場合は、オーダー後、そのまま携帯電話をかざして支払いまで済ませることができます。

 あとは、オーダーした商品ができあがるのを待つだけです。


どんなメリットがあるのか?

 さて、このようなかざすクーポンですが、実際に利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか? メリットについては、利用する顧客側はもちろんのこと、企業側にもありますので、この両方の視点で見てみましょう。

 まず、私たち顧客側のメリットしては、大きく3つあります。1つはクーポンによる金銭的なメリットです。クーポンを利用することで通常よりも安い料金で商品を購入することができます。また、iDやEdyで決済をした場合、抽選で無料で商品がもらえるクーポンやさらに割引された価格で商品を購入できるクーポンがもらえるキャンペーンも行なわれています。つまり、普通に購入するより、お得に商品を購入できるわけです。

 2つ目は、待ち時間が少なくなることです。自分のオーダーが素早く済むということもありますが、他の人も同様にかざすクーポンを使ってくれれば、全体の回転率が高くなり、昼食時のピークタイムなどでも待ち時間が少なくなる可能性があります。

 これは、3つ目のメリットでもある電子マネーによる支払いができる点にも共通します。電子マネーによる支払いができると、小銭が不要になり便利なだけでなく、金銭の受け渡しが省略され素早く決済することができます。


企業から見たメリットと顧客から見たメリット

 一方、企業側としても導入によるいくつものメリットがあります。最大のメリットは詳細なマーケティングができる点でしょう。クーポンの配布によって、顧客に新商品を告知することができるうえ、利用者のプロファイルと購入履歴を組み合わせれば、誰がいつ、何を、どこで買ったのかを詳細に追跡できます。

 また、現在、配布されている時間限定のクーポンがそうですが、たとえば14時以降というアイドルタイムに顧客の来店を促すことができます。配布するクーポンの地域やメニューを絞れば、売上を向上させたい地域や店舗に顧客を誘導したり、積極的に買ってもらいたいメニューまでもある程度コントロールできるようになるかもしれません。

 続いてのメリットは、オペレーションの効率化ができる点です。当然ですが、飲食店の売り上げは客単価×客数で決まります。つまり、レジの前で顧客が何を注文しようかと迷う時間を短縮し、支払いのために財布をさがしてお金を取り出す作業をなくせば、それだけ顧客の回転率が向上し、より多くの顧客に対応できることになります。

 混んでるからと入店をあきらめる顧客を取り逃すことがなくなるうえ、スピーディな対応は顧客の満足度を向上させるメリットもあります。顧客満足度という点では、オーダーミス、金銭授受のミスがなくなるというのも、かざすクーポンや電子マネーのメリットと言えるでしょう。

 最後は客単価の向上です。クーポンによって、いつもは頼まないナゲットを買う、アップルパイを買う、と顧客に「ついつい」という気持ちを起こさせることができれば、売上を構成する客単価を向上させることができます。現金を使わず、サッと決済できる電子マネーでの決済も、金銭感覚をあまり意識させないという点では、「ついつい」に貢献しているとも言えます。


他企業での採用に期待

 このように、今回はマクドナルドのかざすクーポンについて紹介しましたが、企業側のメリットがいろいろあるのはもちろんですが、やはり普段の買い物をお得に、素早くできるようになるというのは大きなメリットです。

 今後、全国の店舗に展開されていくことと思われますが、同様のしくみが他の業種へと広がることも期待したいところです。コーヒーショップで使えるようになるのも便利そうですが、お弁当チェーンなどの昼食でも使えるようになることも期待したいところです。


関連情報

URL
  「かざすクーポン」サービス案内(マクドナルド)
  http://www.mcdonalds.co.jp/fanclub/mcd/kazasu_coupon/
  「かざすクーポン」サービス案内(iD)
  http://id-credit.com/mcdonalds/cp/
  おサイフケータイでクーポンが使えるマクドナルドの「かざすクーポン」(BB Watchブログ)
  http://bb.watch.impress.co.jp/blog/archives/2008/07/post_45.html

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2009/03/05 11:01

清水理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ
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