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第24回:サーバー型電子マネーを知ろう(2)
年齢による使い分けも可能な「BitCash」

 サーバー型電子マネーの第2回はビットキャッシュ株式会社が提供する「BitCash」です。2種類の電子マネーを用意することで匿名性を保ちながら年齢制限も実現しているのが特徴です。


老舗の電子マネー

 今回紹介するBitCashは、インターネットの普及が始まった当初から存在する言わば老舗の電子マネーです。サービス開始は1997年6月で、時代としてはまだISDN全盛の頃(1995年からテレホーダイ開始)ですから、かなり昔からあるサービスと言えます。

 ちなみに、僚紙INTERNET Watchのバックナンバーを検索してみたところ、1996年6月27日付けで「使ってみました!インターネットショッピング決済技術 第2回:BitCash(ビットキャッシュ)」という記事が掲載されていました。

 まさか10年以上も前の記事が見つかるとは思いもよりませんでしたが、10年前の記事を読むと、その使い方は、当時も今もほとんど変わっていませんでした。

 もちろん、現在のBitCashは、さまざまなサービスの追加で、さらに使いやすく進化していますが、プリペイドカードに記載されたひらがなで決済するという基本は、昔も今も変わっていないのには驚かされたところです。

サービス名 BitCash
サービス提供会社 ビットキャッシュ株式会社
サービス開始 1997年
使用技術 サーバー型
契約加盟者 9000サイト
URL http://www.bitcash.jp/
サービス概要


コンビニで購入し「ひらがなID」で決済

 では、BitCashについて詳しく見ていきましょう。BitCashは、前回紹介したWebMoneyと同じくサーバー型の電子マネーです。

 その仕組みもほとんど同じで、コンビニエンスストアなどで、あらかじめ一定金額分のプリペイドシートを購入し、そこに記載された文字列を使って、インターネット上のサイトで決済を行ないます。これにより、文字列と関連づけされた金銭の情報がサーバー上で差し引きされるという形になります。

 WebMoneyとの違いは、この文字列で、WebMoneyでは英数字が使われていましたが、BitChashでは16文字のひらがなが使われるのが特徴です。

種類 プリペイド
オートチャージ ×
決済方法 ひらがなID(16文字)
購入方法 カード
シート コンビニレジ
コンビニ端末
オンライン ネット銀行
クレジットカード
セブンイレブン収納代行
金額 最大 100,000クレジット(場所や種類によっては低い場合あり)
単位 2000/3000/5000/10000/30000/50000
(銀行・クレジット、Famiポートは1円単位)
失効 なし
送受信 ひらがなID間の残高まとめには対応
サービス内容


 前述したINTERNET Watchの記事からもわかる通り、BitCashは当初書店で扱われていましたが、現在の入手方法はコンビニエンスストアとオンラインの大きく2通りがあります。

 まず、コンビニエンスストアですが、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、サークルKサンクス、ミニストップ、デイリーヤマザキ、セイコーマート(北海道を中心に展開)と、主要な店舗のどこでも購入することができます。

 セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンは端末での購入、そのほかではレジでの決済と購入方法に若干の違いはありますが、いずれの場合も16文字のひらがなが記載されたシート(レシート)を手に入れることができます。WebMoneyではスクラッチカードでも購入できましたが、BitCashはスクラッチ式のカードは販売されていません。


BitCashのシートにはひらがな16文字の「ひらがなID」が記載されている

 一方、オンラインでの購入に関しては、ジャパンネット銀行、イーバンク銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行、ゆうちょ銀行などの銀行口座からのオンライン決済、クレジットカードでの購入、セブン-イレブンの代金収納やゆうちょ銀行のATMでの支払いなどにも対応しています。

 BitCashのサイトから、それぞれの決済方式のページへと移動し、購入したい金額を選んで決済を行なうと、16桁のひらがなIDが画面上に表示されます。


銀行決済やクレジットカードなどのオンラインでも購入できる 決済が完了すると16桁のひらがなIDが表示される

20歳以上を対象としたBitCash

 サーバー型電子マネーの特徴は、決済に個人情報やクレジットカード番号などの入力が必要ないため、匿名性を確保できるうえ、未成年でも利用できる点にあります。

 しかし、この特徴は誰もが安心して使える一方で、未成年がふさわしくないコンテンツを購入してしまう危険性もありました。

 この対策として、BitCashでは、「BitCash ST」と「BitCash EX」の2種類の電子マネーを用意することで対応しています。

 その違いは以下の表の通りです。通常のBitCash STは、誰もが制限なく電子マネーを購入できる反面、アダルトコンテンツなど、20歳以上を対象した年齢制限のあるコンテンツでの決済には利用できないようになっています。

 一方、BitCash EXは、20歳以上でないと電子マネーを購入することはできませんが、その用途に制限はなく、BitCash決済に対応したあらゆるサイトでの利用が可能となっています。

BitCash ST BitCash EX
購入年齢 誰でも購入可 20歳以上
用途 20歳以上対象コンテンツの購入は不可 すべてのコンテンツで利用可
購入方法 コンビニ・オンライン コンビニ・オンライン
(オンライン購入の場合は初回のみ店頭購入必要=EX認証)
BitCash STとBitCash EXの違い


 ちなみに、前述したようにBitCashはオンラインでの購入が可能となっていますが、BitCash EXに関しては、最初の1回のみ店頭で購入してからなでないと、オンラインでの購入ができないしくみになっています。店頭でBitCash EXを購入し、そのひらながIDを登録する「EX認証」という作業をしないと、オンラインでのBitCash EX購入が有効にならないのです。

 もちろん、店頭での確認がきちんと行なわれるかどうかがポイントになりますが、このように年齢による電子マネーの使い分けと店頭という年齢確認ができる場を設けることで、匿名性を確保しながら、未成年にふさわしくないコンテンツの利用を制限していることになります。


成人向けのコンテンツでも利用可能なBitCash。ただし、決済には20歳以上のみが購入できるBitCash EXの購入が必要になる

MyBitCashで残高管理

 BitCashで利用するひらがなIDは、Web上のMyBitCashという会員向けサービス(無償)を利用することで、まとめて管理することができます。

 これにより、複数のひらがなIDをまとめて管理したり、各ひらがなIDの利用履歴を確認したり、さらには現在のひらがなIDに、金額をチャージ(追加)することもできます。

 なお、複数のひらがなIDの残高をまとめることは、MyBitCashに登録していなくても可能です。BitCashのサイトから、移動元と移動先のそれぞれのひらがなIDを指定して実行すれば、残高を1つのひらながIDにまとめることができます。

 BitCash STをBitCash EXにまとめたり、その逆もできますので、端数などのあまった金額をムダにせずに済むでしょう。

 ただ、前述したオンラインでのBitCash EXの購入、さらにこの残高をまとめる機能のおかげで、BitCash EXの購入は最初の一回の店頭での購入さえクリアしてしまえば、あとは年齢確認のハードルがなくなってしまうことになります。このあたりは、利便性とモラルのバランスが微妙な印象を受ける点でもあります。


ひらがなIDをオンラインで管理することができるMyBitCash BitCashの残高をまとめることもできる

ポイントサービスも充実

 最後にポイントサービスについて見てみましょう。BitCashでは、非接触ICカード型電子マネーと同様に、電子マネーとしてBitCashを利用した際に還元されるポイントサービスが提供されています。

 通常の加盟店サイトでBitCashを利用した場合は、決済金額の0.1%がびっ得ポイントとして付与され、ポイントバックキャンペーンに対応しているサイトで利用した際は最大で20%のポイントが還元されます。いずれの場合も、MyBitCashへの登録が必要となりますので、忘れずに登録しておくと良いでしょう。

 また、「びっ得園」と呼ばれるアフィリエイトサイトも提供されており、提携サイトでの各種申し込みや資料請求、さらにはサイトへのアクセスや検索によって、同じくびっ得ポイントを貯めることもできるようになっています。


アフィリエイトサイトの「びっ得園」

 ためたポイントは、1ポイント=1クレジットとして等価、手数料無料でBitCashに交換することができるうえ、iPod touchやPSP、USBメモリなどの景品とも交換できるようになっています。

 とは言え、0.1%の利用ポイントだけでは、景品への交換までたどり着くことは難しいと言えますので、やはり各種サービスを組み合わせてポイントを貯める必要があるでしょう。

利用ポイント 加盟店サイト 0.1%還元
チャージポイント
アフィリエイト びっ得園 提携サービス利用、資料請求
クリック、検索実行
ポイント交換 電子マネーに換金
(ポイントのチャージ)
1ポイント=1クレジット 手数料無料
他ポイントへの交換
他ポイントからの交換 ちょコム 525円分=500クレジット(BitCash)
特典 景品交換 iPod touch 8GB(25000)
PSP(12000)
募金 日本ユニセフ協会
あしなが募金
ポイントサービス


関連情報

URL
  電子マネー「BitCash」-ネットのお金
  http://www.bitcash.jp/

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2009/02/05 11:09

清水理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ
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