NTTコミュニケーションズが提供する、サーバー型の電子マネーが「ちょコム(Pちょコム)」です。サーバー型と言っても十数桁のIDを使うのではなく、貯金箱を使って決済する電子マネーとなります。
■ 「ちょコム」と「Pちょコム」
今回紹介する「ちょコム」は、NTTコミュニケーションズが提供する電子マネーです。サービス開始は2001年と比較的古くから提供されてきたサービスで、利用可能なサイトは現在3000サイトほど。幅広いサイトで利用されている電子マネーとなっています。
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NTTコミュニケーションズが提供するサーバー型電子マネー「ちょコム」
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電子マネーの種類としてはサーバー型となりますが、他のサーバー型電子マネーのように十数桁のIDを使った決済方法は提供されていません。
会員登録後、ネット上に開設された「Pちょコム貯金箱」に電子マネーをあらかじめチャージ。提携サイトで買い物をするときにPちょコムでの支払いを選択して、メールアドレスや電話番号、パスワードを指定してPちょコム貯金箱にログイン。チャージした金額から支払いを行なうという方法になります。
他のサーバー型の電子マネーでも、ここ最近、Pちょコム貯金箱と同様のIDとパスワードによる決済方式が採用されはじめていますが、その先駆者とも言える決済方式となっています。
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ちょコムのサーバーに開設された貯金箱にあらかじめ一定金額をチャージ。提携サイトでの買い物時に、ちょコムでの支払いを選択し、IDやパスワードで決済する
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ちなみに、ちょコムでは、「ちょコム」と「Pちょコム」という2つの言葉があってわかりにくい場合がありますので整理しておきましょう。
NTTコミュニケーションズが提供する電子マネーは、もともと「スマートパス」と呼ばれるICカード認証を利用する「ちょコム」と、ICカードなしで利用できる「Pちょコム」という2種類のサービスとしてスタートしました。
しかし、現在、スマートパスは既存サービスは継続するものの、新規の提供は停止され、事実上、利用することができません。そこで、現在は、スマートパスが不要な「Pちょコム」のみがサービスとして存在することになります。
サービス提供者側としては用語の厳密な使い分けがあるのかもしれませんが、利用者から見た場合、ちょコムとPちょコムは基本的に同じ意味と考えて差し支えありません。
■ 下限金額、上限金額の条件に注意
前述したように、Pちょコムは貯金箱にチャージしてから利用するという方式になりますが、チャージの方法は現金、もしくはオンラインのいずれかになります。
現金でのチャージは、コンビニエンスストアのレジや端末、ATMから行なうことができます。ただし、その方法は店舗によって違いがあります。
たとえば、ファミリーマートのfamiポートなどでは、Pちょコム貯金箱の番号を指定して金額を設定。レジで現金を支払うという方法でチャージができますが、セブン-イレブンではあらかじめWebページからチャージ申し込みを行なって支払いのための払込票を印刷。その払込票を使ってレジで支払うという方法になります。事前にWebページでチャージ方法を確認しておくと良いでしょう。
一方、オンラインでのチャージは、ネット銀行からの振り込み、クレジットカードによる決済に対応しています。こちらは、Pちょコム貯金箱の画面から操作することで手軽にチャージできますが、チャージ可能な金額には注意が必要です。
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クレジットカードを利用したチャージ画面。インターネット銀行決済などでもオンラインでチャージできる
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Pちょコムでは貯金箱に最大で10万円までチャージしておくことが可能で、インターネット銀行のワープ送金を除き、1回あたりの金額も任意で設定することができます。
ただし、チャージ可能な最低金額は、銀行ATMでは1000円から、クレジットカードでは500円からと低いのですが、コンビニエンスストアによる現金支払いは2500円、インターネット銀行決済で5000円からと高く設定されています。小額の決済をしたいときは、チャージ方法もよく考慮する必要があるでしょう。
また、上限に関しても、クレジットカードでは1回のチャージが最大5万円となっており、しかも初回およびカード変更から1カ月間は5000円までに制限されています。高額の決済をしたいときは、事前に準備しておくか、別のチャージ方法を検討する必要があるでしょう。
種類 |
プリペイド |
オートチャージ |
× |
決済方法 |
ID決済(Pちょコム貯金箱) |
購入方法 |
現金 | コンビニレジ |
コンビニ端末 |
ATM |
オンライン |
ネット銀行 |
クレジットカード |
金額 |
最大 |
10万円 |
単位 |
任意(下限金額の違いに注意)
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失効 |
半年間増減ないと登録抹消。抹消後3年経過すると払い戻し不可 |
送受信 |
あり(手数料200円) |
携帯電話対応 |
対応 |
返金 |
返金OK(6%または最低金額500円の手数料) |
備考 |
ネット銀行特典あり、手数料ありも現在は無料 |
表2:サービス概要
■ チケット購入に利用できる
Pちょコムは約3000サイトでの利用ができますが、その中でも、特に注目されるのは「チケットぴあ」でしょう。
「チケットぴあ」では、さまざまなチケットを購入することができますが、その支払い方法として利用できる電子マネーはちょコムだけとなっています(電子マネー以外ではクレジットカードや振込、Pay-easyに対応)。もちろん、同様にYahoo!チケットでの購入にも利用できますので、チケットを頻繁に購入する人、チケットをオンラインで購入したいがクレジットカードがないという人はPちょコムの利用が便利でしょう。
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「チケットぴあ」のサイト。ちょコムを利用してチケット代を決済することができる
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ただし、こちらも利用には注意が必要な点もあります。チケットの中には、抽選で販売されるものがありますが、このようなチケットを購入する場合は、当選発表の前までにPちょコム貯金箱にチケット金額相当分をチャージしておく必要があります。
当選すればそのまま決済されますが、問題は抽選に外れた場合です。あらかじめチャージしておく必要がありますので、外れた場合、チャージした金額がそのまま残ってしまうことになります。
次に購入する機会のためにそのままにしておいてもかまいませんが、Pちょコムには利用期限がある点に注意が必要です。
最後の利用から半年間、Pちょコム貯金箱の増減がない場合、利用者登録は抹消されてしまいます。Pちょコムは、現金への払い戻しができる珍しいサービスとなっていますので、払い戻しをすれば良いのですが(登録抹消時でも3年間は払い戻し可能)、払い戻しには返金額の6%(最低500円相当額)の手数料が必要になるうえ、本人名義の銀行口座に、約60日後の振込となります。
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ちょコムでは、払い戻しによるチャージした金額の現金化も可能。ただし、6%(最低500円)の手数料がかかるため、1000円のチャージ金額を払い戻す場合、500円にしかならない
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このため、もしもチケット抽選のためにPちょコムを利用した場合、外れた場合に返金しようとしても、金額が減るうえ、期間も長くかかります。チケットを継続的に購入したり、他のサイトでもPちょコムを利用するなら問題ありませんが、1度だけのチケット抽選のために利用するのには、あまり向いていないと言えるでしょう。
なお、チケット以外では、楽天での支払い(対応店舗のみ)、NTTコミュニケーションズのサービスの利用などにPちょコムを利用することもできます。あらかじめ用途を確認しておくと良いでしょう。
■ サーバー型としては交換ルートが多彩なポイントサービス
ポイントサービスは、ポイント交換での混乱もありましたが、サーバー型電子マネーとしては充実していると言って良いでしょう。
まず、電子マネーとしてPちょコムを決済に利用すると、毎月の総額に対して0.5%のポイントが付与されます。このあたりは、非接触ICカードを利用した電子マネーとほぼ同じポイントサービスとなります。
また、いわゆるアフィリエイトサービスとなる「ちょコムプレゼントモール」のページを利用すると、資料請求などでポイントが付与されるほか、前述した利用ポイントも特定サイトに関しては最大で5%にあるケースもあります。積極的に利用すれば、ポイントを多く貯めることも可能でしょう。
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「ちょコムプレゼントモール」ページ。買い物や会員登録、見積依頼、資料請求などでちょコムポイントを貯めることができる
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貯めたポイントは、再びPちょコム貯金箱に電子マネーとしてチャージすることができますが(1ポイント=1円相当)、他のポイントに交換することも可能です。JALマイルに100ポイント=25マイル相当(キャンペーン中は30マイル)に交換できたり、gooらくらく決済によるコンテンツ利用料の支払いに1ポイント=1円相当として利用するこもできます。
利用ポイント |
毎月の総額の0.5% ※申し込み不要。プレゼントモール加盟店では最大5% |
チャージポイント |
クレジットカードの場合はカード会社のポイントに依存 |
アフィリエイト |
ちょコムプレゼントモールの利用によるポイント付与 |
ポイント交換 |
電子マネーに換金 (ポイントのチャージ) |
1ポイント=1円 |
他ポイントへの交換 |
JALマイル |
100point=25マイル(キャンペーン中30マイル) |
gooらくらく決済 |
1point=1円相当(コンテンツ利用料に充当) |
nanacoギフト |
1150円(ちょコム)=1000円相当 |
Amazonギフト券(電子クーポン) |
1080円(ちょコム)=1000円相当 |
Suicaポイント |
500円(ちょコム)=450ポイント |
BitCash ST |
525円(ちょコム)=500円相当 |
他ポイントからの交換 |
PointExchange |
1000pt=1000point(ちょコムポイント) |
MicroAd |
1円=1point(ちょコムポイント) |
ちょびリッチ |
1000point=500point(ちょコムポイント) |
へそクリックポイント |
1ポイント=1point(ちょコムポイント) |
ライフマイルポイント |
10マイル=1point(ちょコムポイント) |
UC永久不滅ポイント |
100ポイント=500point(ちょコムポイント) |
期限 |
ポイント期限=最後に獲得してから1年間。ポイント譲渡は不可 |
表3:ポイントサービス
一方、他のポイントからの交換は、UCカードのポイント、さらにポイント交換サイトの利用による交換が可能です。
Pちょコムでは、ポイントに関しても有効期限が設定されており、最後に獲得してから1年間で使えなくなってしまいますので、早めの利用や交換を心がけると良いでしょう。
なお、ポイントの交換先はJALマイルとgooらくらく決済のみとなっていますが、電子マネーとしてのPちょコムは、nanacoギフト、Amazonギフト券、Suicaポイント、BitCash STに交換することができるようになっています(現状、WebMoneyへの交換サービスは停止中で再開の予定は立っていない)。
まとめると以下の図のようになります。交換先によっては価値が目減りする可能性がありますが、交換によって、コンビニエンスストアなどでも利用できるようになるのは魅力と言えるでしょう。
以上、細かな条件などが定められているため、利用に注意が必要ですが、サービスとしては充実している電子マネーと言えるでしょう。
■ URL
電子マネーちょコム(Pちょコム)
http://www.pchocom.jp/
2009/02/26 10:58
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