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第17回:電子マネーのポイントを賢く貯めよう(Suica編)

 駅ナカ、街ナカで貯めるだけでなく、他のポイントとの交換もできる。今回は、そんな特徴を持ったSuicaのポイントサービスについて詳しく見ていきましょう。





チャージと購入時の2種類のポイント

 交通機関での利用だけでなく、売店での買い物やコンビニでの利用など、幅広く使えるプリペイド式の電子マネー「Suica」。そんなSuicaのポイントサービスは大きく2種類に分けられます。

 1つはSuicaに金額をチャージするときに発生する「チャージポイント」、もう1つはSuicaで買い物をしたときに発生する「Suicaポイントクラブ」のポイントです。



 前者(図の左側)は、クレジットカード会社が付与するポイントですので、正確にはSuicaのサービスではありません。しかし、Suicaにはクレジットカード一体型のものなどもあり、プリペイド式の電子マネーの宿命として必ずチャージが必要になりますので、その際にポイントが発生するかどうかも重要な点です。

 チャージポイントに関しては、発生するのは基本的にクレジットで決済した場合のみとなります。JR東日本が発行するViewカード(Suica一体型含む)でSuicaにチャージする場合は、専用カード、一体型カード、モバイルSuicaのどれにチャージしても1000円につき6ポイント(通常の3倍のVIEWプラス対象)のポイントが付与されます。

 なお、モバイルSuicaの場合、チャージに一般的なクレジットカードを利用することができますが、この際、チャージした金額に対してクレジットカードのポイントが付与されるかどうかはカード会社によって異なります。三井住友カードやJCBカードなどは、チャージ金額に対するポイントの付与を対象外としているケースもあり、Edyなども含めた電子マネー全体としてはチャージに対するポイントが付与されない方向へと進みつつあるようです。

 そもそも、モバイルSuicaにVIEWカード以外のクレジットカードを登録する場合、1000円の年会費もかかりますので、ポイントや使い勝手を考えると、やはりVIEWカードで利用するのが効率的と言えそうです。





意識した利用が必要なSuicaポイントクラブ

 一方、先の図の右側に相当する買い物をしたときに付与されるのが、2007年6月からサービスが開始された「Suicaポイントクラブ」です。電子マネーとしてSuicaを利用した場合に、100円で1ポイント、もしくは200円で1ポイントのポイントが付与されるようになっています。

 ただし、Suicaを使えば無条件にポイントが付与されるわけではありません。ポイントが付与されるのは、あらかじめ登録した媒体を使って、ポイントサービスに提携している店舗で利用した場合のみとなります。イメージとしては以下のようになります。



 まず、大前提として、対象者はView Suicaカード(提携カード)、もしくはモバイルSuicaの利用者に限られます。そして、この2つの対象者の場合でも、ポイントが付与されるのは登録ユーザーのみとなります。Suicaポイントクラブに登録していないと、いくら買い物をしてもポイントが貯まりません。

 しかも、ポイントが付与されるのは、ecuteのようなエキナカ店舗やKIOSKなどの駅の売店、飲食店、ホテル、車内販売、ロッカーなどの駅ナカ施設。駅以外では、紀伊国屋書店、時間貸駐車場のタイムズやシステムパーク、洋服の青山、紳士服のコナカなどに限られます。

 つまり、ポイントが貯まるケースが限られるため、意識してサービスに登録し、使う場所を選ばないと、なかなかポイントが貯まらないことになります。

 なお、ポイントのレートは100円で1ポイント、105円で1ポイント、200円で1ポイントのいずれかになりますが、どのレートになるかは店舗によって異なります。詳しくはSuicaのホームページを参照してください。





多彩なポイント交換が可能

 このように「貯める」という点では制約が多いSuicaですが、「使う」「交換する」といった点では、なかなか柔軟が活用ができるようになっています。



 上記の図は、電子マネーとしてのSuica、Suicaポイント、Viewサンクスポイント、および他社ポイントの交換を図式化したものです。

 まず、チャージで貯めたViewサンクスポイント、さらにSuicaポイントクラブで貯めたSuicaポイントは、電子マネーとしてSuicaにチャージして利用することができるようになっています。また、Suicaポイントについては、Viewサンクスポイントへの交換も可能です。

 ここまでは、言わば同じグループ内のサービスとなりますので、交換が自由なのも納得できますが、興味深いのはSuicaポイントと他のポイントとの交換も可能という点です。

 相互交換に関しては、Yahooポイント、WAONポイントとのルートが提供されています。交換のレートが等価ではありませんので、交換すると価値が減ってしまいますが、駅での利用で貯めたSuicaポイントをイオングループのスーパー、Yahoo!でのネットショッピングなどに利用するといったこともできるようになっています。

 一方、他のポイントからSuicaポイントへの一方通行の交換では、ANAのマイル、洋服の青山、コナカなどのポイントをSuicaポイントに交換することができます。

 興味深いのは、やはりANAのマイルの存在でしょう。以前に紹介したEdyのポイントの際もさまざまなポイントをマイルに交換することができましたが、ANAのマイルを中心に考えると、さまざまなポイントの相互交換が可能になりそうです。このあたりは、また機会をあらためてまとめてみることにしましょう。





ポイントで払うか、Suicaで払うか

 最後にポイントを使う際の話題についても触れておきましょう。少々限られた環境のケースになりますので、参考程度に考えておいてください。

 まず、Suicaには提携カードがいくつかありますが、このうち家電量販店のビックカメラと提携している「ビックカメラSuicaカード」というカードがあります。VIEWカードととしても、Suicaとしても、そしてビックカメラのポイントカードとしても使える複合型のカードです。

 このカードは、1年間で1度でもクレジット利用があれば年会費が無料だったり、ビックカメラでのクレジット払いでも現金と同率のビックポイントが貯まるなどの特徴があるのですが、中でも最も注目したいのはビックポイントをSuicaにチャージできる点です。

 たとえば、今ここに、ビックポイントが5000円貯まったビックカメラSuicaカードがあるとしましょう。

 さて、ここで10%のポイントが還元される5000円の商品を購入するとしたら、あなたはどのような方法で購入するでしょうか?

 結論から言えば、Suicaで購入するのが最もお得です。ポイントが貯まっているのですから、ポイントで支払いたくなりますが、この場合、ポイント支払い分にポイントが付与されないため、5000円の商品を購入してもポイントは0です。



 一方、現在、貯まっている5000円分のビックポイントを一旦Suicaにチャージし、そのSuicaで支払うと、ポイント付与の対象になりますので、500円分のポイントが得られることになります。

 支払いの原資は同じ5000円分のビックポイントでも、そのまま支払うより、一旦Suicaにチャージしてから支払った方がお得になるわけです。

 もちろん、Suicaにチャージするには事前の手続が必要で、ポイントがSuicaになるまでに時間がかかりますので、計画的な利用が必要となりますが、何も考えずに支払うともらえなかったポイントがもらえるようになるのですから、活用しない手はないでしょう。

 なお、お得という点だけ考えれば、あらかじめクレジットでSuicaにチャージし、その金額で支払う方がチャージポイントも含まれるため、よりお得感は高くなります。ただ、そこまで考えると、いつまでたってもビックポイントを消費できなくなったり、手間もかかります。

 このため、ビックカメラSuicaカードの場合、ポイントをそのまま使うより、一旦Suicaにチャージした方がお得だという点だけ覚えておくと良いでしょう。


関連情報

URL
  Suica
  http://www.jreast.co.jp/Suica/
  VIEWカード
  http://www.jreast.co.jp/CARD/
  Suicaポイントクラブ
  http://www.jreast.co.jp/suicapoint/

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2008/12/11 10:58

清水理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ
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