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IDとパスワード入力を自動化するアクセサリーソフト「goo IDメモリー」


 goo IDメモリーは、NTTレゾナントが運営するポータルサイト「goo」がリリースしたアクセサリーソフト。インターネット上のWebメールや会員制サービス、あるいはマルチユーザー対応のアプリケーションなどにログインするときに必要なIDとパスワードの入力を自動的に行なってくれる、とても便利なツールだ。非常にコンパクトなのでストレージ容量を圧迫することはないし、USBフラッシュメモリなどのリムーバブルメディアに入れて持ち歩くこともできる。数多くのアカウントを使い分けるユーザーにお勧めしたいアイテムである。

 パソコンを使っていると、いつも行き当たるのが面倒なユーザー認証。そう、IDとパスワードの入力である。筆者の場合で言えば、インターネット上のメールサービスをはじめとして、コミュニティサイトやオンラインストレージなどなど、相当数のIDとパスワードを使用している。自室のLANやアプリケーションソフトでは手を抜いて認証をパスしてしまっているが、しっかりしたセキュリティを確保しようとすれば、合計100組近いIDとパスワードを管理し、使い分けなければならないだろう。

 指紋認証のようなバイオメトリクスシステムを利用すれば手間は省けるが、個人レベルではコストがかかるし、少々大ゲサな気もしてしまう。何か良い手はないものか。そんな要望に応えてくれるのがgoo IDメモリーなのだ。

 goo IDメモリーは、IDやパスワードの入力ボックスに文字が書き込まれた状態を保存し、再び同じ入力ボックスが現れたら、その状態を自動的に再現する。つまり、1度登録してしまえば、以降はキーボードに触れることなく、マウス操作だけでログインできるようになるのだ。1カ所で複数のアカウントを利用している場合でも、IDとパスワードの組み合わせをリストから選ぶだけである。


無料お試し版の起動時に表示されるメッセージボックス。シリアルナンバーは980円で購入できる 同一サイトで複数のIDとパスワードを登録している場合はリストが表示されるので、ここから使いたいアカウントを選ぶだけで良い

ツールバーの「g」ボタンやウィンドウ左上の虫メガネ型ヘルパーアイコンでIDとパスワードを登録。成功すれば右下に確認メッセージが現われる

Webブラウザで登録したIDとパスワードはフォルダに分けて管理できる。エクスプローラー風の外観と操作性だ
 IDとパスワードの登録は、さまざまなシチュエーションに対応できるよう、いくつかの方法が用意されている。中でも使用頻度が高いのはディスプレイ上に表示される虫メガネ形のヘルパーアイコンを使う方法だろう。この上でマウスの左ボタンをクリックし、IDとパスワードの入力ボックスがあるウィンドウまでドラッグすれば登録完了だ。Internet Explorerではツールバーに付加される専用アイコンを使う方法がわかりやすい。ほかにもタスクトレイのアイコンを使ったり、マウスの右ボタンクリックでポップアップするコンテキストメニューを利用して登録することができる。

 IDとパスワードの自動入力が威力を発揮するのは、やはりインターネットだろう。goo IDメモリーはInternet Explorerだけでなく、このところシェアを伸ばしつつあるFirefoxに加え、SleipnirといったWebブラウザでも動作する。筆者は必要に応じて、Internet ExplorerとFirefoxを使い分けているので、この対応はありがたかった。

 使い勝手は非常に良い。たとえばgooが運営しているWebメールサービス「gooメール」の場合では、gooIDとログインパスワードを入力し、前述のヘルパーアイコンを利用して登録。ディスプレイ右下に確認のメッセージが現われれば完了だ。以降は、ログインページを呼び出すと自動的にIDとパスワードが入力されるようになるので、あとはログインボタンをクリックするだけでWebメールが利用できる。

 gooのサービス以外ではMSN Hotmail、Yahoo!メール、Gmailなど、筆者の手持ちアカウントでテストしてみたが、いずれも正常に動作した。ソーシャルネットワークサービス、ブログやWebブラウザで管理するホームページなどへのログインも快適そのものである。仕様上、アクセスするたびにURLが変わるようなログインページには対応できないようだが、筆者が試した範囲では使用不能なWebサイトやアプリケーションは見あたらなかった。

 Webブラウザから登録したIDとパスワードは、用途や種類ごとにフォルダを作成して管理できる。フォルダ間の移動はドラッグ&ドロップなので、エクスプローラを操作しているような感覚だ。管理画面ではパスワード表示をマスクすることができるので、不特定多数の人の目に触れる可能性が高い場所でも周囲を気にする必要はない。

 数多くのIDとパスワードを一括管理するとなると、セキュリティ面の不安を感じてしまうかもしれない。しかし、情報を保存するデータベースは特殊な方法で暗号化されているというし、一定時間操作しないと自動的にログアウトする機能も搭載されている。goo IDメモリー自体のアカウントをマスターパスワードとしてしっかり管理しておけば問題はなさそうである。


アプリケーションなどのIDとパスワードはシンプルな一覧表示。上下左右の欄にある数値はディスプレイ上での入力ボックスの位置座標を示している 一定時間操作しないと自動的にログアウトする。時間は0(無効)から最大60分まで、1分刻みで設定可能だ

ログアウト時、パソコン内に保存されたキャッシュやクッキー、履歴などを自動消去できる。セキュリティの確保に有効 安全のため、goo IDメモリーのログインパスワードを定期的に変更するようメッセージを出せる。リマインダー的な機能だ

 goo IDメモリーには、ちょっと便利なオマケ的機能も搭載されている。その1つがオートフィル。あらかじめ名前や住所といった個人情報を登録しておき、会員登録時などのフォーム入力を自動化する機能だ。項目ごとにドラッグ&ドロップで入力することもできるので、たとえばメールの件名入力や署名入力といった応用も考えられる。

 そして、意外に役立つのがパスワード作成機能。アルファベットや数字をランダムに組み合わせて、パスワードに使える文字列を自動生成してくれるのだ。ほかに、IDとパスワードを記録したデータベースを定期的にCSV形式のテキストファイルに書き出したり、あるいはリストとしてプリントアウトする機能もある。


会員登録時などの個人情報フォーム入力を自動化するオートフィル機能。Outlook Expressでの件名入力や署名入力にも利用できた 意外に便利なパスワード生成機能。アルファベットと数字を組み合わせて、最大50文字までのランダムな文字列を自動作成する

 goo IDメモリーはgoo内のページから無料お試し版をダウンロードできるので、なにはともあれパソコンにインストールしてみることをお勧めしたい。ダウンロードファイルのサイズは1.2MB弱。ブロードバンド接続ならあっという間、ダイヤルアップ接続でも数分以内でダウンロードできるサイズだ。

 お試し版には登録できるIDとパスワードが6組までという制限があるが、ほかは正式版とまったく同じだ。というより、お試し版の機能制限をシリアルナンバーで解除したものが正式版なのである。つまり、無料で動作や機能、使い勝手をじっくりチェックし、納得した上でシリアルナンバーを購入すれば良いのだ。使用中のgoo IDメモリーがそのまま正式版となるので、改めて別ファイルをダウンロードする必要はないし、登録したデータをインポートするといった手間もかからないのである。

 ここでシリアルナンバーの購入方法について触れておこう。まず、「gooらくらく決済」を利用する方法。「gooらくらく決済」は、gooの無料会員制サービスの1つで、クレジットカード情報を登録し、オンラインショッピングなどの支払いを一括して行なうというもの。ここで決済を済ませれば、登録したメールアドレス宛にお試し版の機能制限を解除するシリアルナンバーが送られてくる。

 また、goo以外ではBIGLOBEが運営する「SOFTPLAZA」から購入する方法もある。BIGLOBE会員向けだが、会費無料のコンテンツコースに入会すれば誰でも利用できるサービスだ。こちらはクレジットカードだけでなく、銀行振り込みでの支払いが可能となっている。なお、イニシアからはクリップボード機能強化ソフトとともにパッケージ製品としてリリースされている。


関連情報

URL
  製品情報
  http://idmemory.goo.ne.jp/
  goo
  http://www.goo.ne.jp/

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(斉藤成樹)
2005/07/20 10:54
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