Broadband Watch logo

ネームシートで接続機器の判別が簡単に! アイ・オーのギガビットハブ


「ETG2-SH8BK」の標準価格は10,290円。重量約250g、約144×84×27mm(幅×奥行×高)という非常に軽量コンパクトなギガハブだ
 このところLANの主流が従来の100BASE-TXから1000BASE-Tに移行しつつあるようである。1000BASE-Tとはイーサネットの規格の1つで、最大1,000Mbpsという通信速度のLANを構築できるインターフェイスだ。実際にはさまざまな要因で速度が低下してしまうようだが、それでも実測値で200Mbpsから300Mbps以上をコンスタントに叩き出すという。もちろん、条件が整ってさえいれば最大値に近い数字も夢ではない。100BASE-TXとは文字通り桁違いの性能を誇っているのである。

 そんな高速ネットワークの中核になるのがギガビットイーサネット対応のスイッチングハブ、通称ギガハブだ。今回紹介するアイ・オー・データ機器の「ETG2-SH8BK」は、8つのLANポートを備えるギガビットイーサ対応のスイッチングハブである。

 ちょっと前まで、ギガハブは高価な上に大きくて重量感あふれるシロモノだった。ところがETG2-SH8BKは、そんなイメージからは遠くかけ離れた軽くてコンパクトなボディが特徴。筆者が普段使用している100BASE-TXの8ポートハブより2回りも小さいくらいである。これにはちょっと驚かされてしまった。

 ボディはマットブラックのプラスチック製。グレーやオフホワイト系のカラーを採用する製品が多い中にあってシックな印象を受ける。汚れも目立たず、オフィスだけでなく家庭のインテリアにも違和感なくマッチするだろう。重量は約250gと軽量なので底面のマグネットを利用して、金属製のデスクの横、あるいはパーティションやラックのフレームなどに固定することができる。


ボディ幅いっぱいにインジケータランプが並ぶ。左から右に向かって8つのLANポート用ランプ、右端がパワーインジケータだ 後面は前面のインジケータに合わせた配列。右端が1番ポートで左端が電源。感覚的には逆だが、こちらのほうが扱いやすいようである

 機能面ではオートネゴシエーションを搭載しており、設定等を変更することなく1000BASE-Tのネットワークに100BASE-TXや10BASE-T機器を混在させることが可能だ。さらにフローコントロール機能を内蔵しているので、各機器の速度差による転送効率の低下を抑えることができる。

 また、1度に送受信するデータ量を増やして実効速度を上げるJumbo Frameに対応。ハブやLANインターフェイスなど、ネットワーク機器すべてがJumbo Frameに対応している必要があるが、さらなるスピードアップが期待できる機能である。

 前面に電源ランプと各ポートに対応したインジケータが8個。後面にはACアダプタのケーブルを接続する電源コネクタとLANポートが8個並んでいる。ベーシックながら使いやすい配置だ。インジケータランプは1000BASE-T接続時はグリーンに、100BASE-TXや10BASE-T接続時はオレンジに点灯。データ転送時は、それぞれの色で点滅する。

 製品パッケージには縦置きと壁掛けを兼ねる専用スタンドと厚手のゴム足が付属している。このスタンドは本体左右どちらの側面にも取り付けられるし、ネジで壁面に固定することもできるようにデザインされている。これがあれば設置場所に困るようなことはないだろう。ACアダプタは最大1.4Aの消費電力に見合った大柄な品。ケーブルが太めで安心感がある。ただ、縦長の形状でテーブルタップなどに差し込みにくい場合があるのが少々残念だった。


付属の専用スタンドで縦置きに。左右どちらの側面にも取り付けられるので、部屋のコーナー部に置いてもインジケータが見えなくなってしまうようなことはない 底面のマグネットは銀色の丸いプレート型。中央付近にある4つの四角い小穴はネジで壁面などに固定したスタンドに引っかけるためのもの

 ETG2-SH8BKをよく見ると、上面のLANポート側3分の1ほどが定規のような形の細長い透明プラスチックカバーに覆われているのがわかる。この部分はバインダーを開くような形で取り外すことができ、ボディとの間にシートが挟み込めるのだ。用途はご想像の通り。シートは8つあるLANポートの接続先を記入しておくためのものである。

 なにげないシンプルなシカケだが、これは非常に便利だった。筆者も以前からガムテープの切れ端に文字を書き込んで貼り付けてみたり、あるいは付箋を使ってみたりと工夫を凝らしてきたが、いずれも文字がかすれたり剥がれ落ちたりで、なかなか満足の行く結果にはならなかったのである。しかし、これならそういったトラブルとは無縁な上、必要ならすぐに書き替えることができる。実用新案申請中というだけあって、なかなかのアイディアである。

 中に挟み込むシートは純正品(?)が2枚付属しているほか、同社Webサイト内の製品ページには家庭用、オフィス用、縦置き用など各種PDF形式ファイルが用意されている。これをダウンロードしてプリンタで印刷し、カッターなどで切り抜いて使用してもOKだ。蛇腹式や羽子板式などユニークなシートがあるので、ぜひご覧いただきたい。

 なお、シートのサイズは左右上角に小さな切り欠きがある139.2mm×28.4mmの長方形。試しに139mm×28mmというアバウトなサイズで自作してみたところ、見栄えはともかく実用上はまったく問題がないレベルのシートができあがった。少しだけ手間をかければ純正品に見劣りしないオリジナル品を作ることもできるはずである。ちなみに5ポートタイプの「ETG2-SH5WH」も8月24日に発表されている。


同社の製品ホームページからオリジナルシート作成用のPDFファイルがダウンロードできる。左上の2枚は製品パッケージに同梱されている純正品だ 実用新案申請中のネームシート。透明なプラスチックカバー部分を取り外し、各ポートの接続先などを書き込んだシートが挟み込める

 それにしても1000BASE-Tの快適さには特筆ものだ。普段100BASE-TXのLANを使用している筆者にとっては、まるで一般道から高速道に乗り替えたような気分だった。1000BASE-Tカードを差し込んだパソコンを2台接続し、数百MBのファイルをコピーしながら別のパソコンでストリーミング映像を観るというような使い方をしてみたが、快適さに変化はない。どうやら筆者の環境ではパソコン自体の性能がボトルネックになってしまうらしく、ETG2-SH8BKのパフォーマンスをフルに発揮させるレベルには至らなかったようである。オフィスで社内ネットワークのハブにカスケード接続したり家庭内ネットワークの中核に置くといった用途には十分すぎるほどの性能を持っていると考えて良さそうだ。

 コンパクトなプラスチック製ボディという外観から気になっていた発熱は思ったほどではない。夏場の30度近い室内で数日間連続使用しても熱いと感じるほどの温度にはならなかった。ギガハブには熱を放出しやすい金属製のボディを採用するものや、冷却用のファンを備えた製品もあるが、ETG2-SH8BKは元から熱を出さない設計のようである。これなら家庭でテーブルなどの下に置いても不安はないだろう。

 1000BASE-Tは、100BASE-TXや10BASE-Tと混在できる上、広く使われているカテゴリー5のケーブルでも利用できるという利点がある。つまり、現在使用中のネットワーク機器を一気にリプレースする必要はなく、順次交換していけるのである。今後、LANの主流は100BASE-TXから1000BASE-Tに移っていくのは間違いないだろう。すでにLANを構築しているユーザーも、これからハブの購入を検討するユーザーも、ETG2-SH8BKを購入候補の1つに加えてみてはいかがだろうか。


筆者のスシネタネットワーク用にシートを自作(笑)。ワープロで139×28mmの枠と文字を描き、適当な用紙に印刷後、カッターで切り出した ACアダプタは少々大きめなので差し込めるコンセントが限られてしまうことも。色は本体や付属スタンドと共通したマットブラックだ

関連情報

URL
  製品情報
  http://www.iodata.jp/prod/network/lanadapter/2005/etg2-sh8bk/index.htm
  アイ・オー・データ機器
  http://www.iodata.jp/

関連記事
アイ・オー、ネームシートで着せ替えが可能なギガビットハブなど2機種


(斉藤成樹)
2005/09/21 10:56
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.