エバーグリーンの「DN-NCM01SET」は、Webカメラを2個接続できるLANサーバーと、専用USB接続型Webカメラがセットになった製品だ。家庭内にあるルータにLANサーバーを接続し、専用WebカメラをLANサーバーのUSBポートに差し込めば、LAN経由でパソコンのWebブラウザからカメラの撮影画像をモニタリングできる。
■ Webカメラは専用品のみ対応。市販品の利用は不可
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「DN-NCM01SET」(本体+標準タイプの専用Webカメラ)に、「DN-NCM03U」(首振りタイプの専用Webカメラ)を組み合わせた図。価格はDN-NCM01SETが14,800円、DN-NCM03Uが9,980円と、リーズナブルな価格設定。専用Webカメラ単体の「DN-NCM02U」(4,980円)もラインナップされている
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本製品の核となるのは、USBポートを2つ装備した小型のLANサーバーだ。タバコの箱サイズのLANサーバーに同梱のWebカメラを接続することにより、LAN上にあるWindows XP/2000搭載パソコンのWebブラウザで、カメラで撮影した画像をモニタリングできる。ネットワークカメラ本体と、カメラ部分がUSBで接続されていて取り外しが可能、と言ったほうがわかりやすいかもしれない。
ここで浮かんでくる疑問が、ひょっとしてこのLANサーバーなるものを使えば、手持ちのWebカメラをネットワーク対応にできるのか? ということだ。もしそれが可能であれば、最小限のコストで、ネットワークカメラを導入することができる。
しかしながら、この製品は市販のWebカメラには対応していない。販売元である上海問屋のサイトによると、セット品に同梱されているカメラか、別売されている専用カメラ2機種しか対応できないとされている。
ものは試しにと、手元にあったエレコム製のWebカメラ2製品をLANサーバー本体に接続してみたが、いずれも認識させることはできなかった。また、本製品添付の専用Webカメラをパソコンに直結し、通常のWebカメラとして使用できるか試してみたが、筆者が試した範囲では認識させることができなかった。
つまり、インターフェイスこそUSBだが、USBならではの汎用性は備えておらず、事実上の専用インターフェイスという扱いだ。USBであるメリットは、せいぜい市販のUSB延長ケーブルが利用できるくらいだろうか。
技術的に、市販のすべてのWebカメラに対応するのが困難であることは予想はつくが、オプションの専用Webカメラについても2種類(標準タイプと首振りタイプ)しかなく、用途に合わせて使い分けるには不満が残る。暗視用の高感度タイプなど、ラインナップの拡充を望みたい。
■ 設置は至って簡単。IPアドレスは液晶画面で確認可能
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ネットワークカメラサーバー本体。タバコの箱程度のサイズに、USBポート×2と、LANポート×1が搭載されている。上面には液晶画面を備える
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設置から設定までの作業は至って簡単だ。まず、LANサーバー本体をLANケーブルでルータにつなぎ、追ってACアダプタを接続すれば、自動的にIPアドレスの取得が始まる。IPアドレスの取得が完了すると、本体の液晶画面にIPアドレス、サブネット、ゲートウェイが表示される。
この種のネットワーク機器にありがちなトラブルとして、IPアドレスがうまく取得できなかったり、IPアドレスがわからずWebブラウザ画面が開けない、といったことが挙げられる。しかし、本製品は液晶画面にIPアドレスの取得状況が表示されるため、設定がうまくいっているかどうかすぐに判別がつく。これは他社製品にはないメリットで、初心者でも設定時につまづくというケースは少ないのではないだろうか。
IPアドレスの取得を確認したら、専用Webカメラを接続する。本製品には2つのUSBポートがあり、上述のように合計2台が接続できる。「DN-NCM01SET」にはあらかじめ1台の専用カメラが同梱されており、もう1台は必要に応じて買い足す形になっている。
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側面。中央がLANポート×1、右側が電源コネクタ
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上面の液晶画面にはIPアドレス、サブネットマスク、ゲートウェイを表示する。単体でIPアドレスの取得状況が確認できるので便利だ
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左端の「CameraA」「CameraB」をクリックすれば、それぞれのカメラの画像がポップアップで表示される。なお、借用した評価機の管理画面は英語表示だったが、最新ファームを適用すれば日本語での表示が可能なようだ
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専用Webカメラを接続したらパソコンのWebブラウザを立ち上げ、LANサーバー本体のIPアドレスを入力する。例えば、IPアドレスが「192.168.0.106」であれば、http://192.168.0.106/と入力してエンターキーを押す。すると、Webブラウザに管理画面が表示されるという寸法だ。
管理画面にはカメラA、Bそれぞれへのリンクがあり、クリックするとポップアップ画面が立ち上がり、カメラが撮影した映像を見ることができる(初回のみActiveXコントロールのインストールが必要)。専用ユーティリティのインストールは必要ないため、非常に手軽に導入できるのが特徴だ。
ただし、Windowsのタスクマネージャを見る限り、カメラ画像の表示中にブラウザのCPU使用率は数%から数十%まで跳ね上がる。PCのスペックが低い場合、ほかの作業が制限される可能性があるので、考慮しておく必要があるだろう。
ちなみに、IPアドレスはカメラ1台ごとに割り当てられるわけではなく、LANサーバー本体に対して割り当てられる。2台のカメラそれぞれにIPアドレスを割り当てるわけではない。
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カメラの画像はこのようなポップアップウィンドウで表示される。画像の下段と右列にコントロールパネルが表示され、各種操作が可能。発売元では30人までの同時接続が可能としている
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初回のみActiveXコントロールのインストールが必要になる
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■ DivXなど、手持ちのコーデックで手軽に録画が可能
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専用Webカメラ「DN-NCM02U」。「DN-NCM01SET」にも1台同梱される。下部はクリップ式で、ディスプレイの上縁などに挟んで固定することが可能
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管理画面からは、専用Webカメラに関するさまざまな操作が行なえる。首振り対応のカメラ「DN-NCM03U」を接続していれば、パン・チルトの操作ができるほか、カメラを自動的にローテートさせて周囲320度の状況を見ることもできる。
また、設置場所に合わせ、表示される画像を上下反転させたり、鏡像にするといった機能も備えている。鏡像にした場合、パンするためのボタンの向きだけは元のままなので感覚的に少々戸惑うが、それほど大きな問題ではないだろう。
面白いのは録画機能だ。パソコン側にインストールされている動画コーデックを自動的に検出し、それらのコーデックを用いて録画が行なえる。試しにDivXを使ってAVI形式でカメラの映像を録画してみたが、いとも簡単にDivX形式でのファイル保存できた。ファイルの容量を抑えながら長時間の録画をしたい場合は便利だろう。また、出力したファイルをそのままライブラリとして保存できる点もありがたい。
ただし、録画中に勝手にパン・チルトの動きを加えられないように、ユーザーの権限設定はきちんと行なっておいたほうが良い。また、言うまでもなくソフトウェアエンコードであるため、CPUに負荷をかける作業と平行して行なわないほうが良いだろう。
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首振り式の専用Webカメラ「DN-NCM03U」。大型だが安定感があり、棚の上などへの設置も容易。天井・壁面への固定も可能だ
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横方向に320度、縦方向に60度のパン・チルトが可能。自動的にローテートさせることもできる。バスパワー方式でACアダプタレスで駆動
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カメラの画像は、標準、鏡像、上下反転などを選んで表示できる
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パソコン側にインストールされている動画コーデックを自動的に検出し、録画をすることが可能。これはコーデックにDivXを選択している図
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■ リーズナブルな価格で汎用性も高い
本製品は、USBならではの汎用性こそないものの、ネットワークカメラとしてはベーシックな機能がきちんと押さえられており、価格もリーズナブルだ。今回は紹介しきれなかったが、ダイナミックDNSサービス(DynDNSなど)も利用できるなど、ネットワークカメラが持っている機能の多くを網羅している。動体検出機能もあるので、メール送信機能やFTPアップロード機能と組み合わせて使うのも面白いだろう。
個人的には、首振りカメラとLANサーバーの組み合わせで使うのがもっとも遊び甲斐があると感じたが、現時点ではLANサーバーの単品売りは行なわれていないため、上記の組み合わせを導入しようとするとWebカメラ1台分の余計な出費が必要となってしまう。ここはぜひ、組み合わせの拡充を望みたいところだ。
■ URL
DN-NCM01SET 製品情報
http://item.rakuten.co.jp/donya/50027
DN-NCM02U 製品情報
http://item.rakuten.co.jp/donya/50028
DN-NCM03U 製品情報
http://item.rakuten.co.jp/donya/50029
エバーグリーン 上海問屋
http://www.rakuten.co.jp/donya/
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(kizuki)
2006/01/11 10:58
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