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マウスパッドからワイヤレスで電力供給! 超軽量の光学マウス


MA-WHNBSはマウスと専用パッドのセット商品。Windows 98以降、Mac OS X 10.2以降に対応。直販サイト価格は3,780円

バッテリを内蔵していないため、非常に軽くコンパクトなマウス。渋めのカラーにもかかわらず丸みを帯びたカワイイ系のデザインだ
 サンワサプライの「MA-WHNBS」は、リニアカップリングという方法を利用して、専用パッドからマウスへとワイヤレスで電力を供給するというマウスである。従来品とは異なり、マウス内部に電源ユニットを収納しておく必要がないため非常に軽量コンパクト。200g近いヘビー級が珍しくないコードレスマウスの中にあって、異次元の小ささと軽さを実現している。機能的には普通のコードレスマウスと同等ながら、バッテリの充電不足や電池切れに悩まされることはないし、赤外線や電波の到達距離や障害物を考えながらレシーバユニットを置く場所を選ぶ必要もない。今までになかった新しいタイプのコードレス光学マウスだ。

 マウスの大きさは有線タイプのミニマウスと大差ない。バッテリ用のスペースを気前よく削ぎ落としたといった印象だ。筆者の手は大きい方ではないが、それでも2台くらいなら同時に扱えてしまえそうである。手のひらを覆い被せるというよりは、指先で軽くつまむようにホールドし、手首のスナップを効かせてスピーディーに操作すると良いようだ。マニュアルやスペック表には重量が記載されていなかったので、手近にあったキッチン用のハカリに載せてみたところ、60gほどだった。

 ボタンはシームレスタイプで、左右+ホイールというベーシックな構成。サイドボタンやチルト機構は組み込まれていない。完全な左右対称なので利き手を選ぶことはないだろう。ボディはメタリックシルバーとブラックの一見地味目な配色だが、パソコンに接続すると一転、ホイール部と外周部で赤いイルミネーションが輝き出すというインパクトのあるシカケが用意されている。

 特徴的なのは、約1cmもある幅広のホイール。円周の中央部が浅くくぼんだ珍しい形状だ。適度な軟らかさをもったシリコンゴムのような素材で、指を押しつけるようにして回す普通の円盤形ホイールとは違い、くぼみが指先をソフトにホールドする独特の触感。初めのうちは少々違和感があったが、慣れるとクセになってしまいそうである。


幅広のホイールとシームレスタイプの左右ボタン。サイド部は軽くくぼんでおり、親指と薬指で軽くつまむのにちょうど良い マウス裏側には中央に配置されたトラッキングセンサーだけ。あまりにシンプルすぎて、ちゃんと動くかどうか心配になったりもした(笑)

パソコンとUSBで接続する専用パッド。メタリックな光沢があるプレートの上でマウスを動かす。大きさは横約13cm、縦約15cmだ
 専用パッドの表面は金属素材を薄くコーティングしてあるのか、ひんやりとした手触りだ。目の細かい梨地風に仕上げられており、厚さは3mmほど。端にある半円筒形に盛り上がった部分にはチューンボタンと2つのインジケータランプが配置されている。半円筒部分を除いたパッド面は横約13cm、縦約15cmで、マウスを動かすには少々狭苦しいような気もするが、手首のスナップを効かせた操作と620カウントの解像度が相まって不自由を感じることはなかった。

 パソコンとの接続はUSBケーブル1本。電源もUSBバスパワーなのでACアダプタは必要ない。ドライバはオペレーティングシステムに標準で搭載されているものを利用するので、CD-ROMから専用ソフトウェアをインストールするといった手間はかからない。ポートにプラグを差し込みさえすれば、すぐに利用可能だ。

 MA-WHNBSは専用パッド上で使わなければならないという制限はあるが、専用だからこそのメリットがある。動きが非常にスムースなのだ。かといって滑りすぎるわけではなく、マウスの小ささと軽さに見合ったソフトな抵抗がある。この快適さは専用品ならではだろう。また、常にレシーバ、つまりパッドと密着しているので外部ノイズの影響を受けにくい。素早い動きにもリニアに反応するし、トラッキングセンサーの読み取りミスや不用意なポインタのジャンプは皆無だった。

 ただ、ちょっと気になる点もある。マウスを素早く動かしたときにパッド面とこすれる「ザッ」という音が耳に付いてしまうのだ。これは耐久性を高めるためにパッドの表面が比較的硬く、細かい凹凸のある梨地風に仕上げられているからだろう。少し使い込んで表面が馴染んでくればおさまる可能性はある。

 もう1つは筆者の個人的なクセによるものなのだが、ホイールが中指で扱いづらく感じてしまうのだ。ボディの幅が狭いため、指を横に曲げなければならず、指先がホイールの角張ったフチ部分にかかってしまうのである。どうやら人差し指で操作することを前提にデザインされているようだ。なんとなく違和感があるというレベルだが、筆者と同じように中指でホイールを回す習慣のある方はご注意いただきたい。


パッド右上のチューンボタンはワイヤレス接続の再設定用。PWRは動作時に赤く、RUNはマウスを動かしたとき緑に点灯する パッドの裏側は柔軟性のあるプラスチック素材。滑り止めのゴム足が6カ所に取り付けられている。直出しUSBケーブルの長さは約1.5m

 はじめに述べたように、MA-WHNBSの電力供給には「リニアカップリング」という聞き慣れない方式が採用されている。少々調べた上で筆者が理解したところでは、マウスとパッドそれぞれに内蔵されたコイルを磁気的に結合させて電力を供給するというシステムのようだ。近付けた2つのコイルの一方に電流を通すと磁界に変動が起こり、その影響でもう一方のコイルにも電流が生じるという現象、つまり電磁誘導の一種らしい。ICタグのデータ読み取りなどにも利用されている技術で、有効距離は短いがノイズに強いという特徴があるとのことである。

 電磁誘導による電力供給は身近な場所で多用されている。コードレス電話の子機や電動歯ブラシといった非接触充電式の家電製品だ。筆者の身の回りを探してみたら、普段使っているシェーバーがそうだった。丸洗いできる防水仕様のためか、ボディの外装に電気的な接点はない。ただ、専用のホルダーに立てかけておくだけで充電できてしまうのだ。こういった製品は電磁誘導を利用して内蔵のバッテリに電力を供給しているのである。

 マニュアルには、MA-WHNBSを金属製品の表面上で使用すると電磁波が乱反射して正常に動作しなくなることがあると記載されている。筆者が試してみた限りでは、周囲に金属製品を置いた程度では影響はないようだった。スチール製デスクやキャビネットの上で使うのでもない限り、あまり気にする必要はなさそうだ。ただし、クレジットカードやキャッシュカードなど磁気で情報を記録した品物をパッドの近くに置くのは避けた方が良いようである。


好奇心を刺激されてパッドの裏蓋を外してしまった(笑)。給電用コイルは確認できなかったが、基板からパッド面へと伸びる2本のリード線が見える マウス動作時に点灯する赤いイルミネーション。単なるギミックでなく動作確認用パイロットランプの役目も果たしているようだ

関連情報

URL
  製品情報
  http://www.sanwa.co.jp/seihin_joho/batteryfree/index.html
  サンワサプライ
  http://www.sanwa.co.jp/


(斉藤成樹)
2006/02/08 10:59
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