Broadband Watch logo

PCレスでDVD/CDをコピー可能なアイ・オーのマルチドライブ「DVR-UW8DP」


DVR-UW8DPは3月中旬の発売を予定し、標準価格は55,650円。なお、今回試用したのはプロトタイプで、正式な製品版ではないという点をお断りしておく
 パソコンでDVDやCDを複製するときに手間取ったことはないだろうか。1枚や2枚ならまだしも、大量のコピーを作らなければならないとき。筆者自身はハードディスクの空き容量やバッファアンダーランを気にしながらの作業に嫌気がさしたことがある。

 今回紹介するアイ・オー・データ機器の「DVR-UW8DP」は、そんな面倒を一気に解決するデュプリケート機能を備えた外付けのDVD/CDドライブだ。ビジネスユースならさまざまな資料を複製するときに、パーソナルユースではデジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラで撮影したデータを素早くバックアップしたり、あるいは友人知人に配布したいときなどに役立ってくれる便利なアイテムである。

 DVR-UW8DPのボディは、精悍なマットブラック。材質は厚手の樹脂で、サイド部4カ所に「コ」の字形のプロテクターが配されている。これはボディの保護というよりは横置き時と縦置き時にスタンドとして機能させるために取り付けられているようだが、耐衝撃仕様の携帯電子機器を思わせる外観は迫力モノ。

 本体サイズは162×240×48mm(幅×奥行×高)、重量約1.5kgと、DVD/CDドライブユニットを2台搭載する機器としては非常にコンパクトにまとめられており、従来品のデュプリケータと比べても数分の1の容積だという。パソコンデスクの片隅でもAVラックの空きスペースでも気軽に置いておける使い勝手の良さは大きな魅力だ。

 ドライブを2台装備しているだけあって、フロントパネルはやや狭苦しい雰囲気。とはいえ、ユーザーが操作するのはプッシュロック式の電源ボタンと機能を切り替えるファンクションボタン、それに各ドライブのイジェクトボタンの計4つだけだ。フロントパネル上部の、一見それとわからないような細長い半透明ウィンドウの内部にさまざまなステータスを知らせる10個のインジケータ。電源ボタンの上部も半透明で、動作中は奥でブルーのLEDが点灯するのが見える。黒をベースとしたコンパクトなパネルに鮮やかなインジケータを並べたデザインはパソコン周辺機器というよりカーオーディオ機器のように見えてしまう。


カーオーディオ機器を思わせるフロントパネル。右下にある電源ボタンを押し込むと、その奥にあるブルーのインジケータが点灯する スロットローディングタイプのドライブユニットを2台搭載。デュプリケータモードでは上段がコピー元、下段がコピー先に固定される

 フロントパネル内に積み重なるように配置されたドライブは、スペック表によれば上下ともティアックの「DV-W28SL」という製品。DVDで最大8倍速、CDでは最大24倍速を実現したスリムなスロットローディングタイプのドライブユニットだ。デュプリケートに要する時間は4.2GBのデータを保存したDVDで最短15分、630MBのCDで最短7分。CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RWの各メディアに対応している。DVD-RAMを読み書きするにはパソコンと組み合わせる必要があるが、それ以外の広く普及しているメディアはすべてカバーしているといって良いだろう。

 金属製のリアパネルには冷却用のファン、それにACアダプタを接続する電源ポートとUSB 2.0ポートとがある。ファンの横にある大きなスライド式スイッチは、DVR-UW8DPを単体で使用するデュプリケータモードと、USBを利用してパソコンに接続するモードとを切り替えるためのものだ。これをフロントパネルへ置かずにメカニカルなスイッチとして独立させたのは、モードの使い分けをハッキリさせるためではないだろうか。この場所ならUSBケーブルを抜き差しするときには必ず目に入るので、誤設定の心配は無用になる。少々無骨な見栄えではあるが、実用性を重視したレイアウトといえるだろう。


フロントパネル左上のモードインジケータとステータスインジケータ。モードの切り替えはリアパネルにあるスライドスイッチで行なう
 デュプリケータモードでの操作は非常に簡単、というより、ほとんど何もすることがない。通常のコピー作成ならコピー元のオリジナルディスクを上のドライブ、コピー先のブランクディスクを下のドライブに入れるだけだ。双方のメディアを認識して準備が整うと、まるでカウントダウンのように「ピッピッピッピッピッ」という短いビープ音が5回鳴った後、コピースタート。終了すると「ピー」という長めのビープ音が鳴り、下段ドライブのコピー済みメディアが自動的にイジェクトされる。要するに、ユーザーはディスクを2枚入れたら、あとは待っていさえすれば良いのだ。

 コピーのほか、実際の書き込みを行なわずにメディアをテストする「TEST」、書き込まれたデータを検証する「VERIFY」、コピー元のディスクとコピー先ディスクの内容を比較する「COMPARE」、書き換え可能なメディアに記録されたデータを消去する「ERASE」といった機能が用意されており、「TEST」をクリアした後、自動的にコピーをはじめるといった設定も選択可能。各モードはフロントパネル右にあるファンクションボタンを押すごとに切り替わる。いずれもフロントパネル上部にあるグリーンのインジケータが点灯するため、ひと目で確認することができる。

 なお、デュプリケータモードでは上段のドライブがコピー元、下段のドライブがコピー先に固定されている。同じドライブユニットを2台搭載しているのだから、もっと柔軟に使えるようにしても良いのではないかと思われるかもしれないが、操作や設定が複雑になるだけで、大したメリットはないだろう。上から下へという流れは直感的にわかりやすく、トラブルの防止にも役立つはずである。


フロントパネル右上には動作モードを知らせるインジケータが5つ並ぶ。右端に見えるファンクションボタンを押すごとに切り替わる方式だ サイドプロテクターを思わせるスタンド。横置きだけでなく縦置きにも対応。ボディの左右側面に2つずつ、計4つ取り付けられている

 パソコン接続モードでは通常の外付けDVD/CDドライブとして動作する。もちろん上下のドライブ2台を同時に個別使用できるので、ノートパソコンだけでなく、デスクトップパソコンと組み合わせても大いに活用できるだろう。その気になればDVR-UW8DP1台でオンザフライ書き込み、つまりパソコンのハードディスク内にCDやDVDのイメージファイルを作らず、ディスクからディスクへと直接データを受け渡すこともできる。

 ただ、これはあくまで不可能ではないというレベルだ。マニュアルにも記載されているが、パソコン接続モードで2台のドライブを同時に使用すると相当に速度が落ちてしまうのである。実際に試してみたが、実用的とは言い難かった。メディアを丸ごとコピーするのなら素直にデュプリケートモードを使うのが正解のようである。なお、パソコン接続モードでは、パソコンに付属のドライバをインストールすることでDVD-RAMが読み書きできるようになるが、この場合は2台のドライブを同時に使うことはできないという制限があるのでご注意いただきたい。

 今回はデスクの隅に置いてDVD-RとCD-Rのデュプリケートを中心に試用したが、使い勝手は上々だった。なにしろディスクを2枚セットしてしまえば、あとは放っておくだけ。数分から十数分後には複製ができあがっている。しかも、2台のCD/DVDドライブユニットに加えて冷却ファンまで装備しているわりに、動作音が気にならない。とりたてて静かというわけではないが、バックグラウンドノイズに紛れやすい抑制の効いた音なのだ。他の作業と平行して使っていると、動作しているのを忘れてしまいそうになるくらいである。

 標準価格は55,650円。単純にDVD/CDドライブ2台分とするなら決して安くはないが、それにデュプリケータとしての機能が加わっていると考えれば妥当なレベルだろう。ビジネスユースだけでなくホビーユースにもお勧めしたい一品である。

 なお、DVR-UW8DPにはDVD/CDライティングソフトの「B's Recorder GOLD8 Security」とパケットライトソフトの「B's Clip6」、それにDVD-RAMを読み書きするためのドライバが付属している。いずれもパソコンと組み合わせて使用するためのものなので、単体のデュプリケータとして、あるいは補助的なDVD/CDドライブとして利用するだけならインストールする必要はないだろう。残念ながら今回は試用できなかったが、正式な製品版にはパソコンのシャットダウン時にメディアの出し忘れを防ぐ「見張っトレイ」というユーティリティーソフトも付属するとのことである。


金属製のリアパネルには冷却用のファンが取り付けられている。モード切り替え用の大柄なスライドスイッチはしっかりした手応えだ 付属のACアダプタはかなり大きい。本体の発熱はほとんどなく、長時間連続稼働させた後でも冷却ファンから吹き出す空気は冷たかった

関連情報

URL
  製品情報
  http://www.iodata.jp/prod/storage/dvd/2006/dvr-uw8dp/
  アイ・オー・データ機器
  http://www.iodata.jp/


(斉藤成樹)
2006/03/01 11:02
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.