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人の顔を認識して自動追尾! ロジクールの130万画素高機能Webカメラ


2つのボールを重ねたようなユニークで愛嬌のあるデザインが特徴。全高約11cm、重量約380g。直販サイトの価格は14,800円
 ロジクールの「Qcam Orbit MP(QVR-13)」は、カメラとベース、2つのユニットが組になって動作するWebカメラ。オービット(軌道)という製品名は天体が互いの周りを回るというイメージからなのだろうか、どちらのユニットも球をモチーフにしたシンプルなデザインだ。カメラユニットはツルツルとした光沢のあるブラック。フロントパネルはハーフミラー風の素材で内部の電子部品やギア類が透けて見える。

 もう一方のベースユニットは、ザラついた手触りのマットブラック。目に付くのは上部のカメラ取り付け部分と背後から伸びるUSBケーブルだけだが、正面のメーカーロゴ下、底面近くに目立たないマイク口が設けられている。

 使用法は2通りある。1つはカメラユニットをベースユニットの上に直接載せるスタイル。高さ約11cmで、黒い雪ダルマを思わせる、どことなく愛嬌のあるフォルムだ。デスクの上に何気なく置いておくと、カメラというよりは小さなオブジェに見えてしまう。

 もう1つはカメラユニットをベースユニットから引き抜き、間に付属の棒状スタンドを継ぎ足したスタイル。全高は約32cm。デスク上に置けばほぼ目線と同じ高さになるので、チャットなどにはこちらのほうが向いているだろう。2個のボールを長い串で突き通したような形状は不安定にも思えるが、十分な重量のあるベースユニットが土台の役割を果たすため、簡単に倒れてしまうようなことはなさそうだ。


カメラユニットのフロントパネルはハーフミラー風仕上げ。内部にあるカメラの電子部品やパン・チルト機能用のギアが透けて見える 付属の棒状スタンドを継ぎ足すと全高約32cm。このスタイルも古風なマイクか照明器具のようなユニークなフォルムである

 QVR-13は、パソコンにインストールした専用ソフトからカメラの撮影方向やズーム倍率、動画や静止画の撮影をリモートコントロールするというWebカメラの基本機能に加え、パソコンと連携した多彩な付加機能を駆使できるのが大きな特徴だ。

 まず、インテリジェントフェイストラッキング。輪郭や色から人の顔を判別し、パン、チルト、ズームを使って常に人の顔が画像の中央にくるよう自動追尾するという機能である。これを利用すれば、チャット中に席を移ったり体勢を変えたりするたびに、いちいちカメラの向きを調整しなおすといった面倒がなくなるのだ。

 被写体を自動追尾するカメラは他にもあるが、QRV-13は1人だけでなく、複数の人物を対象にすることが可能。精度の高さと反応の速さは相当なレベルで、実際に使ってみると常に監視されているような心理的プレッシャーを感じてしまうほどである。


Webカメラの画素数は130万画素。撮影画像は複数から選択できる インテリジェントフェイストラッキング機能では、複数を対象に選択が可能。自動ズーム設定も行なえる

インテリジェントフェイストラッキング
のデモ動作(AVI形式)


カメラがとらえた人の顔の表情を3Dアニメーションのキャラクターでリアルタイムに再現するアバター。ただ見ているだけでも飽きない

あらかじめ用意されているアバターは、宇宙人、サメ、クルマ、恐竜、ネコ、落書き顔の6種類。ワンタッチで切り替えられる
 VideoEffectsはアバター表示したり、撮影した画像にアクセサリーパーツを付け加えることができるというエンターテイメント色の強い機能だ。アバターとはインターネットのコミュニティサイトで見かける、自分自身をキャラクター化した代替画像などのこと。しかし、VideoEffectsのアバターは単なるイラストではない。カメラが撮影している人物の顔の向き、あるいは目元や口元の動きに合わせて3Dのキャラクターが滑らかに表情を変えるリアルタイムアニメーションなのだ。

 アバターは気軽なチャットに利用するのも良いが、素顔を見せずに表情だけを伝えることができるという点も見逃せない。初対面のチャット相手に顔を見せるのは抵抗があるという場合、また寝ぼけた顔を相手に見せたくない場合などにも活躍する実用性の高い機能といえるだろう。

 画像全体を3Dキャラクターに置き換えるアバターに加え、顔写真の目元にメガネをかけさせたり、口元にヒゲをつけたりといった落書き風の画像加工機能も用意されている。カメラ付き携帯電話でお馴染みのギミックだ。もちろん、こちらも単にアクセサリーパーツを貼り付けるだけなく、顔の向きや位置に合わせて表示が変化するというビデオチャット向けの機能となっている。

 VideoEffectsには、あらかじめ6種類のアバターと5種類のアクセサリーが用意されているほか、ロジクールのホームページから追加データのダウンロードが可能だ。コミカルなものから比較的リアルなものまで多数がラインナップされているので、ぜひ1度ご覧いただきたい。


アクセサリーは5種類。下にある「追加のVideoEffectを入手」ボタンをクリックすると、追加データダウンロードページが呼び出される ロジクールのホームページからダウンロードできるアバター用追加データ。定期的にアップデートされるとのことである こちらもダウンロード可能なアクセサリー用追加データ。オシャレなものから怪しげなものまで、50種類近くが用意されている

画像を自動補正するRightLightテクノロジーを搭載しているが、必要に応じて各種パラメータをマニュアル設定することも可能だ
 インテリジェントフェイストラッキングやVideoEffectsほどハデではないが、ほかにも注目に値する機能が用意されている。RightLightテクノロジーは暗い場所で撮影した画像の沈みがちな色を鮮やかに補正してくれるというもの。特に人の肌の色に対して高い効果を発揮するようだ。また、RightSoundテクノロジーを利用したアコースティックエコーキャンセルは、マイクが拾う音からスピーカーの再生音を徹底除去するという機能。ハウリングを防ぐためにヘッドセットをつけたりハンドセットを持つ必要がなく、まるで目の前にいる人と話しているようなハンズフリーチャットが可能になる。

 カメラとしての性能は申し分ない。撮像素子に130万画素のCMOSセンサーを採用しており、最大30フレーム/秒の動画で640×480ピクセル、静止画なら1,280×960ピクセルという高解像度を実現している。デジタルズームの倍率は最大400%と抑え気味だが、その分画質の低下が少なく、扱いやすいスペックと言えるだろう。レンズの方向は上下のチルトが102度、左右のパンが189度。チルトはユニット内のカメラモジュールが上下に、ジョイント部の付け根が左右に回転する方式だ。サーボモーターを採用しているだけあって、動作は素早く、耳障りな甲高いノイズは出さない。「コッコッコッ」という低い動作音が聞こえてくるだけである。

 画質も十分以上のレベルだ。同じメガピクセルクラスということで手持ちのカメラ付き携帯電話と静止画の比較してみたのだが、QVR-13の方がレンズの配置スペースに余裕があるためか、歪みのない素直な画像という印象だった。最短撮影距離は16cm。画角はやや広角といったところだが、不自然に遠近感が強調されるほどではない。比較的近い距離で人の顔を写したり、少し離れたところから室内の風景を撮影するのに向いたカメラと言えそうである。


どっしりとしたベースユニット。上面のカメラユニット取り付け部分は擂り鉢状にくぼんでいて、底にUSBミニBタイプのようなプラグがある

カメラユニットは非常に軽量なのでスタンドを継ぎ足しても安定性に不安はないが、取り扱いには注意を払う必要がありそうだ
 機能面では不満を感じないQVR-13だが、取り扱いに関して、ちょっと気になる点があった。カメラユニットとベースユニットのつなぐジョイントだ。この部分は直径1cmあまりで、中央にUSBミニBタイプ風のプラグが配置されている。取り付け時はプラグのまわりを取り囲む複雑な切り欠きが噛み合うことで補強されるようだが、残念ながらラフな取り扱いに耐えられるようには見えない。マニュアルにも抜き差しするときはひねったりせず、真っ直ぐにという注意書きが添えられている。

 筆者はスタンドを取り付けて試用していたが、何かに引っかけて倒したりしないよう気を使ってしまった。特にカメラユニットはジョイント部のすぐ上にパン機構が組み込まれていることもあり、衝撃に弱そうに思えたのである。もっともボディ自体の安定性に問題はないので、人が動く範囲から少し離れた場所に設置しさえすれば、こういった心配は無用なのだが……。

 QVR-13の性能をフルに発揮させるには、やはり高性能なパソコンと組み合わせたい。カタログに記載されている動作環境はPentium 4 1.4GHz以上、またはAMD Athlon 1GHz以上だ。しかし、Video Effectsやアコースティックエコーキャンセルを快適に利用するためには推奨スペックのPentium 4 2.4GHz以上という条件を満たしている必要がある。現行のパソコンならまず問題はないが、少々古い機種を使用している場合には注意する必要があるだろう。

 なお、ビデオチャットは、スカイプやMSNメッセンジャー、Yahoo!メッセンジャー、@nifty Eyeballパティオ、フレッツ・v6アプリ、FLET'S.Net、ドットフォンパーソナルVなど、またビデオモニターとしてはOCN るす番モニターに対応。それぞれのソフトウェアを収録したCD-ROMが付属している。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.logicool.co.jp/index.cfm/products/details/JP/JA,CRID=2204,CONTENTID=10628
  ロジクール
  http://www.logicool.co.jp/

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(斉藤成樹)
2006/03/22 11:04
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