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液晶画面に残り容量を表示できるUSBメモリ「ELEVE LI 1000」


 ソリッドアライアンスの「ELEVE LI 1000」は、本体にモノクロ液晶画面を備えたUSBメモリだ。メモリの残り容量や、USBメモリ本体をパソコンから取り外した時刻を表示することにより、USBメモリの使い勝手の向上を図った製品である。


USBメモリの使い勝手を液晶画面で向上

「ELEVE LI 1000」本体。512MB/1GB/2GBのをラインナップし、直販サイト価格は10,500/16,750/35,400円。対応OSはWindows XP/Me/2000。余談ながら、型番の「1000」は容量を指す数字ではなく、512MBモデルだと「ELEVE LI 1000 512MB」のように容量を表す値が後ろに付く
 フロッピーに代わる記憶メディアとして普及し続けているUSBメモリ。昨今はセキュリティ問題から利用を制限する企業もあると聞くが、USBポートに差し込むだけで使える手軽さやリードライトの速さ、大容量といったメリットに加え、価格の下落も著しい。今では、複数本を所持して活用しているユーザーも珍しくはないだろう。

 だが、不便な点がまったくないわけではない。1つは、パソコンに接続しなければ残り容量を確認できない点。フロッピーやMO、DVDといったメディアと異なり、USBメモリはひんぱんに書き換えて使うスタイルが主流なだけに、残り容量は絶えず変化する。職場などで、同僚から大容量データをコピーしてもらおうとUSBメモリを持参したら、中に必要なデータが詰まっていて、保存する空き領域がなかった、というのは良くある話だろう。とは言え、USBメモリを持ち出す前にいちいちパソコンにつないで空き容量を確認するのは非常に手間がかかる。

 もう1つの問題は、複数のUSBメモリを持っている場合、外見が同じだと見分けが付かない点だ。もちろん、USBメモリ本体のデザインや色がそれぞれ異なっていれば問題ないのだが、FDやMOのようにラベルを貼ることが前提になっているわけではないため、取り違えは意外と起こりやすい。特に部署単位で同じ種類のUSBメモリを一括購入したようなケースでは、誰のメモリなのか見分けがつかず、この種の問題が起こりやすい。

 今回紹介する「ELEVE LI 1000」は、本体のモノクロ液晶画面にさまざまな情報を表示することで、これらの不便さを解消した製品だ。


「残量」「取り外し時刻」などが表示可能

 「ELEVE LI 1000」本体のモノクロ液晶画面では、大きく分けて3つの項目を表示できる。1つ目は「残量表示」で、棒グラフまたは円グラフにより、メモリの残り容量を表示するというものだ。グラフでは容量全体に対する使用率が視覚的に、テキストでは残りの容量(MB)が数値で表示される。今どのくらいのデータが保管されているか、また、どのくらいのデータを追加で保存できるのかをパソコンに接続せずに確認できるのは大変便利だ。

 2つ目は、「取り外し時刻の表示」だ。「何月何日の何時何分にパソコンから取り外しました」という情報を、この液晶画面に表示できるのだ。これにより、本製品を2個以上所持している場合、パソコン本体からの取り外し時刻を見れば、簡単に見分けられるというわけだ。なお、この表示はデフォルトではオフになっているので、タスクトレイに常駐しているユーティリティのアイコンを右クリックして設定する必要がある。

 3つ目は、「USBメモリのボリュームラベル」も表示できる点。パソコンに複数のリムーバブルメディアを接続している状態では、USBメモリを挿した際にエクスプローラ上でUSBメモリがどのドライブレターを使っているのかわからなくなることがある。本製品はボリュームラベルを液晶画面に表示できるので、マイコンピュータの画面と照らし合わせることで、どのドライブレターで認識されているかひと目で判断できる。


デフォルトの画面表示。製品のボリュームラベルと残り容量が表示される。液晶画面は電源をオフにした状態でも表示されたままなので、放っておいても表示が消えてしまう心配はない 液晶は反転表示も可能なので、見やすいように調整して使うと良いだろう

グラフは円グラフ表示も可能 取り外し時刻を表示したところ。バックライトは搭載していないが、製品のコンセプトを考えると特に必要はないだろう

オリジナルの画像も設定可能。簡単なメッセージ表示に最適

 本製品ではさらに、液晶画面にオリジナルのメッセージを表示できる機能が用意されている。これらの設定は、添付のユーティリティ「LCmonitor」を利用する。

 LCmonitorから「Custormize Display」を選択すると10のプロファイルが表示されるので、任意の番号を選択して「Edit」をクリック。すると24×80ドットの格子が表示されるので、マウスの右クリックで1ドットずつ塗りつぶしていく。まるで一昔前のワープロの外字を作っている感覚だ。

 この画像は外部のBMPファイルから読み込むこともできるが、2階調24×80ドットでは精細なイラストを取り込むのはまず不可能。頑張っても2行×8文字が精一杯なので、持ち主の名前か簡単なメッセージ程度と考えておけば良いだろう。法人ユースであれば、ここに社名ロゴなどを表示するといった使い方も考えられる。

 ただし、このオリジナル画面を表示している際は上記の「残量」「取り外し時刻」などは表示されない。ユーティリティで画面の切り替えは可能ではあるものの、あくまでおまけの機能と考えたほうが良さそうだ。


オリジナルの「Broadband Watch」ロゴを表示させてみたところ。2階調24×80ドットなので、あまり精細な文字やイラストの表示は不可能 オリジナル表示の編集画面。マス目を1ドットずつ塗りつぶす方式。外部のビットマップファイルを読み込むことも可能なので、法人ユースでは社名ロゴなどを読み込んでノベルティグッズとして使うのも良いかもしれない

筐体はやや大柄。仮想CD-ROM領域内蔵でユーティリティのインストールは不要

筐体はブラックカラーの1種類で、サイズはやや大柄。以前紹介したエレコム製の無線LAN探知機に近いサイズである
 続いて、液晶の表示内容以外で本製品の特徴を述べていこう。筐体は、現在市販されているUSBメモリと比べるとやや大柄。USBメモリが世の中に登場したての頃の製品よりは小柄だが、厚み、幅、長さともにそれなりに大きい。USBポートに直接接続した際、隣のUSBポートに干渉する可能性は十分にある。付属のUSB延長ケーブルを利用する方法もあるが、購入の際は注意したほうが良いだろう。一般的なUSBメモリとの比較写真を本稿に掲載しておくので参考にして欲しい。

 本体色はブラックカラーの1種類。高級志向の「ELEVE」ブランドの製品という位置づけだが、筐体の質感にそれほど高級感があるというわけではなく、表面に張られたホログラムシールによって高級感が醸し出されている印象だ。ちなみに、キャップは本体後部に取り付けておくことができるので、紛失の危険が少なく、本体後部にストラップを取り付けることも可能だ。


本体後部にはキャップが取り付けられるので、使用中にキャップを紛失する危険性が少ない 本体後部にはストラップも取り付け可能

アイ・オー・データ機器のTotebagシリーズと比較したところ。液晶画面が備えられているせいか、幅・厚みがある


 製品をパソコンのUSBポートに差し込むと、自動的にドライバのインストールが開始され、完了後に本体の仮想CD-ROM領域から、監視ユーティリティ「LCmonitor」が起動する。このユーティリティが起動している状態でUSBメモリを抜き差しすると、前述した「残量表示」「取り外し時刻の表示」などが行なえるというわけだ。

 監視ユーティリティの挙動を確認するため、試しにUSBメモリを接続中にユーティリティを手動で終了させ、その後データを書き込んでみたが、容量表示はまったく変化しなかった。同様の状態でアンマウントした際も時刻表示は変わらなかったので、USBメモリの「残量表示」「取り外し時刻の表示」の更新は、あくまでも監視ユーティリティが起動している時にのみ限られるのがわかる。ちなみに、監視ユーティリティが起動した状態で、タスクトレイからアンマウント作業をすることなくUSBメモリを取り外してみたが、取り外し時間はきちんと更新された。

 この監視ユーティリティはパソコンにインストールされるのではなく、本体の仮想CD-ROM領域から直接起動し、タスクトレイにアイコンが常駐する方式になっている。そのため、USBメモリをパソコン本体から取り外した段階で自動的に終了し、再びUSBメモリを装着した際には、その都度自動起動する。他人のパソコンのレジストリを汚すこともないため、データ交換の際も安心だ。


本製品は内部に仮想CD-ROM領域が設けられており、監視ユーティリティはここから直接起動する。パソコン本体へのユーティリティのインストールは不要 USBメモリ内部に、データ領域とは別に仮想CD-ROM領域があるため、エクスプローラ上では「LCM」(仮想CD-ROM領域)、「ELEVE LI」(データ領域)の2つに分けて表示される

アイデア次第でさまざまな使い方が可能。企業への一括導入にも最適

 近頃のUSBメモリは、指紋認証や不可視領域の作成、プログラムの自動起動など、さまざまな付加価値がついた製品が数多く登場している。本製品はその中でもひときわユニークな製品であり、オリジナルのロゴを表示させてプレゼントしたり、小規模なノベルティに使うなど、アイデア次第でさまざまに活用できそうだ。本製品の液晶画面を用いて個体ごとに区別をつければ、企業などへの一括導入の際も、社員が個々のUSBメモリを取り違える可能性が低そうである。

 難があるとすれば、昨今のUSBメモリの多くが備えているセキュリティ機能が付属していないことだろうか。せっかく液晶画面があるのだから、セキュリティモードであるか否かを表示させるのは難しくはないはずだし、内蔵の仮想CD-ROM領域がもったいなく思える。せめてパスワード認証程度は付属していても良かったように思う。

 発売直後は一般的なUSBメモリと比較しても高価だった本製品だが、ここにきてかなり手の届きやすい実売価格に落ち着いてきている。黒を基調とした落ち着いたデザインなので、最近のUSBメモリに多い軽々しいカラーリングに抵抗がある方にもお勧めできる製品だ。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.eleve.jp/LI1000/index.html
  ソリッドアライアンス
  http://www.solidalliance.com/


(kizuki)
2006/04/05 11:04
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