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電話機をスカイプハンドセットに変身! イーレッツ「すかい楽」


すかい楽のイーレッツダイレクト価格は9,450円。製品はWindows XP/2000に対応。1.5mほどのUSBケーブルとモジュラーケーブル各1本が付属する
 イーレッツの「すかい楽」は、どこにでもある電話機を普通の通話だけでなく、P2P電話「スカイプ」の通話でも利用できるようにするアダプタだ。一般加入回線からのモジュラーケーブルとパソコンからのUSBケーブルを本製品に接続しておけば、電話機のボタンをプッシュするだけで双方を切り替えられる。さらに付属のユーティリティソフトでパソコン上のスカイプと連携にも対応。いちいちヘッドセットをつけるような手間をかけず、もっと気軽にスカイプを楽しみたいというユーザーにお勧めしたいアイテムである。

 本体は88×131×30mm(幅×奥行×高)、重量135g。文庫本よりも一回り小さいサイズである。全体の雰囲気が往年のポータブルモデムを思い起こさせ、なんだか懐かしくなってしまった(笑)。外観上で目に付くのはLINE、USB、POWERと、3つの赤いLEDインジケータランプ、それに白くレタリングされた「USB Telbox」の文字だ。シルバーグレイのボディには後方に向かって緩やかなふくらみがある。この左右に5本ずつ、計10本の溝。単なる飾りではなく、それぞれに細いスリットが切られている。これは放熱のためだろう。

 後面にはパソコンと接続するUSBポート、モジュラーケーブルを接続するジャックが2つ。モジュラージャックは、一方を一般加入回線、もう一方を電話機につなぐためのものだ。裏返すと、どういうわけか非対称の位置に滑り止めが取り付けられている。この滑り止め、インジケータのある前面側は厚く、コネクタのある後面側が薄い。傾斜のある上面を水平に近付けるための配慮だろう。

 接続はとても簡単だ。USBケーブルでパソコンと接続した「すかい楽」を電話機とモジュラージャックとの間に挟み込むだけである。パッケージにはUSBケーブルとモジュラーケーブルが付属しているので、新たに買い足す必要はない。また、パソコンのUSBポートから電源を供給するバスパワー方式を採用しているので、ACアダプタなどは不要。バッグに入れて持ち歩くような製品ではないが、手軽に部屋間を移動できるのは有り難い。


裏側にある4つの滑り止め。左右非対称、前後で厚さが異なるという風変わりな配置だ。発泡ウレタン風の軟らかい素材で安定性は良い 後面にはパソコンと接続するためのUSBポート、それに電話線と電話機それぞれを接続するモジュラジャックがある

電話機の「*」ボタンをプッシュすると「カチッ」という機械的な切り替え音が聞こえ、接続先を示すインジケータが点灯する
 「すかい楽」をパソコンに接続すると、USBオーディオデバイスとして認識される。ただ、これだけでは「すかい楽」はLINE側、つまり電話機が一般加入回線に接続されたままで、パソコンからスピーカー・マイクユニットとして利用することはできない。付属CD-ROMに収められたユーティリティソフト「V-TALK」をパソコンにインストールすることで回線の切り替えやスカイプとの連携が有効になるのだ。

 セットアップが完了すれば、あとは電話機の受話器を取り上げるだけで、パソコンが連動、自動的にスカイプのウィンドウがポップアップする。ここで「すかい楽」本体のインジケータランプを確認、一般加入回線を使って発信するなら「LINE」、スカイプでの発信なら「USB」を点灯させる。切り替えは電話機の「*」ボタンだ。

 電話のかけ方は、一般加入回線はいつも通り、番号をプッシュしたり電話機内蔵の電話帳機能から発信することができる。スカイプもあらかじめ短縮ダイヤルを設定していれば、電話機のプッシュボタンを使い、短縮番号のあとに「#」を押すだけで発信可能だ。通話を終了するときは一般加入回線もスカイプも同様、そのまま受話器を置けば良い。接続が切断されるとともに、スカイプのウィンドウが自動的に閉じられる。

 「すかい楽」は、パソコン上で動作しているスカイプというソフトウェアの存在を意識させない。こと通話に関する限り、通常の一般加入回線とまったく同じ感覚だ。もちろんパソコンを起動させておく必要はあるが、気軽な会話のために面倒な操作はしたくないというユーザーに打ってつけだろう。ヘッドセットやハンドセットを取りつける手間がかからないという意味でも効率的なのではないだろうか。


付属CD-ROMに収められているユーティリティソフト。これをパソコンにインストールすることでスカイプとの連携が可能になる ユーティリティソフトの動作中にはタスクトレイに小さなアイコンが表示され、マウスの右クリックでメニューを呼び出すことができる

 接続や操作は非常に簡単な「すかい楽」だが、1つ注意点がある。着信の優先順位についてだ。1台の電話機で複数の回線を使い分けることになるのだから、これを知っておかないと着信を取り逃してしまうことになりかねない。

 通常、「すかい楽」は一般加入回線とスカイプの着信を自動的に判別して切り替えてくれる。しかし、同時に着信があった場合は、あるルールに従って動作する。一般加入回線からの着信が先なら、あとからスカイプの着信があっても呼び出しが続けられるだけで応答することはできない。通話を切ればスカイプ側も切断されてしまう。逆にスカイプの着信が先だった場合は、一般加入回線からの呼び出しが続けられ、スカイプでの通話を終了させることで応答できる。大まかにいって一般加入回線が優先されていると考えれば良いだろう。

 ちなみに一般加入回線側のモジュラーケーブルを引き抜いた状態でも問題はなく、電話機はスカイプ用のハンドセットとして正常に機能する。ただ、標準設定のままでは受話器を取り上げてもスカイプのウィンドウがポップアップしないので、付属ユーティリティソフト「V-TALK」の優先接続設定をUSB側に切り替えるのを忘れないようにしたい。


ユーティリティソフトの環境設定ウィンドウ。電話機のみを接続するときは「TEL-BOX使用時、優先する回線」をUSBに切り替えると良い 受話器を取るとスカイプのウィンドウが自動的にポップアップ。そのまま短縮ダイヤル番号に続けて「#」をプッシュするだけで発信できる

 実を言うと、実際に「すかい楽」を試用する前から気になっていたことがあった。よく言われるように、スカイプはFMラジオに匹敵するほどの高い音質を誇っている。これを普通の電話機で再生したらどうなるかという点だ。筆者の場合、パソコンには外部スピーカーユニットや音楽鑑賞にも利用できるヘッドセットを接続している。これらの音と受話器のスピーカーで再生した音には、かなりの差があるのではないかと思っていたのだ。

 あくまで筆者個人の感想だが、この点についての心配は無用だったようである。あえていえば通話先のバックグラウンドノイズが抑えられるためか、やや臨場感に欠けるようにも思える。しかし、受話器を握りながら会話していると、それがまったく気にならない。逆に声の聞き取りやすさがメリットに感じられてくるのだ。

 マニュアルには「すかい楽」に接続できる電話機の種類について、特に制限は記載されていない。「*」ボタンや「#」ボタンのないダイヤル式電話機を除き、一般加入回線に接続できる電話機なら、ほぼすべて利用できそうである。筆者は普段使っているハンズフリー機能付きのコードレス電話機を接続してみたが、ナンバーディスプレイなどは正常に動作したし、IP電話でも問題がないことを確認した。

 スカイプを利用する上で、この自由度の高さは大きな魅力だ。使い慣れた電話機をそのままつなげても良いし、部屋のインテリアに合わせたデザインの電話機を用意しても良い。使い勝手や外観で選ぶのではなく、例えば骨伝導タイプや大音量タイプといったバリアフリー系の製品を接続しても良いだろう。「すかい楽」はスカイプ利用者の間口を広げるという意味で注目したいアイテムである。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.e-lets.co.jp/product/sk-adp/index.htm
  イーレッツ
  http://www.e-lets.co.jp/

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(斉藤成樹)
2006/06/07 12:00
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