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DRM楽曲再生やラジオのMP3録音が可能なシャープ「ミュージックキャリー」


ある日のPodcasting番組購読状況。多少の入れ替わりはあるが、ここ最近は大体20番組前後をうろうろしている
 iTunesがPodcastingに対応して以来、購読番組数が1つ、2つ、3つ、4つと増えていき、気が付けば20番組前後を購読している状況に。これがテレビ番組であれば、録画して消す生業になりかねないのだが、外出先や移動中にも気軽に聴ける分、案外こなせている。

 そうしたある日、購読番組を一覧表示してみると、購読番組の半数近くがラジオ番組の全編または一部、そしてアフタートークを収録した内容だということに気が付いた。その一方で日常生活でラジオ番組を頻繁に聴くかと言えばそこまででもなく、自動車で移動中に聴くか、使用しているコンポの性能に合わせて週1回で録音している深夜ラジオの数番組程度。「できればパソコンと連携可能で、複数の予約できる製品がでれば検討」と心に誓って幾数年経ったところで登場したのが、今回取り上げるシャープの「ミュージックキャリー」だ。

 ミュージックキャリーは、フラッシュメモリを内蔵したオーディオシステム。FM/AMラジオ(FMはステレオ対応)が楽しめるほか、PCからUSB経由で転送したMP3/WMA/WMV形式の音声ファイルの再生が可能。さらにWindows Media DRM 9をサポートし、音楽配信サービスで購入したDRM楽曲も再生できる特徴を持っている。

 また、MP3形式で録音にも対応しており、ラジオ番組や外部入力端子に接続した携帯電話やポータブルオーディオプレーヤーで再生した音声の録音が可能。なお、製品にはパソコンとの接続用に約1.7mと比較的長めのUSBケーブルが付属している。


“ラジカセ”を思わせる筐体を採用。製品モデルは512MB/1GBの2タイプ

ミュージックキャリー。今回使用した512MBモデルは24,800円で購入した
 製品ラインナップは、1GBモデル「QT-MPA10」と512MBモデル「QT-MPA5」の2種類で、価格はオープンプライス。実売価格はQT-MPA10が33,800円前後、QT-MPA5が25,000円前後。本体筐体はラウンドフォルムデザインを採用し、本体色はQT-MPA10がブラック/ホワイト系の2色、QT-MPA5がホワイト/ゴールド/ブルー系の3色を用意する。

 本体ボタンは電源、画面表示切り替え、再生モード(兼FMモノラル/ステレオ)切り替え、メニュー、選曲/外部入力、入力切り替え、音量調整、十字カーソルと決定ボタンを装備。いずれも本体前面にある液晶画面の周辺に配置されている。

 本体背面にはUSB端子をはじめ、電源入力端子、AMアンテナ端子、ヘッドフォン端子、外部入力端子、FMロッドアンテナが配されている。また、本体底面には乾電池ボックスが用意されており、時計用に2本、本体を乾電池で動作させる際には6本の単3乾電池が必要になる。なお、乾電池使用時にはタイマーやスリープ機能は使用できないので注意が必要だ。


操作ボタンは本体前面に集中。十字ボタン中央にあるeボタンが決定ボタン 本体背面にはヘッドフォン端子やUSB、アンテナ接続端子などを備えている ホワイト系モデル(パールホワイト)を購入したのだが、イメージした色味とは幾分異なっていた。部屋にマッチしたカラーが欲しい場合には店頭などで確認したほうが良いだろう

音楽配信サービスで購入したDRM楽曲の再生も可能

パソコンからの転送時にはWindows Media Playerを使用する
 パソコンに保存した楽曲、そして音楽配信サービスで購入したDRM楽曲の転送には「Windows Media Player 9」もしくは「Windows Media Player 10」を使用する。また、楽曲のフォルダ管理も可能になっており、WMP側でフォルダ作成の設定を行なっておけば、アーティスト名、アルバム名などに応じてフォルダが自動作成される。ただし、ミュージックキャリー側では楽曲単位での削除のみで、フォルダを削除する場合にはパソコン側に接続してエクスプローラ上で削除する必要がある。

 楽曲再生モードは、プレイリスト/すべて再生/フォルダ/リストモードの4種類を用意している。このうち、リストモードというのはアーティストやアルバム名での再生が可能なものだが、筆者が使用した範囲では転送前にプレイヤーで保持していた楽曲順とは異なる並びになっていた。また、再生モードは通常再生に加えて、1曲/全曲リピート、ランダム/ランダムリピートのモードも選択できる。なお、楽曲再生は一時停止も可能だが、一時停止中にラジオや外部入力などに切り替えたり、別の操作を行なうとレジュームが解除されてしまう。

 DRM対応ということで、MusicDropで購入した楽曲を転送してみたが、当然のことながら問題なく再生できた。DRM楽曲というと、どうしてもポータブルオーディオプレーヤーに転送して持ち運ぶというイメージを強かったため、こうした据え置きタイプの製品で楽しめるというのはなかなか新鮮だ。なお、ミュージックキャリーの初回生産分にはサンプル楽曲としてSIBLING「GAME feat.TENN(from ET-KING)」、ViVi「snow pit」、Lina「what a wonderful world」の3曲がプリインストールされている。いずれもDRM処理がなされたWMAファイルで、試しにパソコン側へコピーして再生しようとすると、ライセンスが取得できない旨の警告が表示されてしまった。

 なお、パソコンとの接続中はUSB給電が行なわれるため、乾電池やACアダプタの接続は必要ないが、接続中はミュージックキャリー側での操作は行なえない。また、パソコンとの接続を解除し、USBケーブルを外した際にはスタンバイモードではなく、主電源から落ちてしまうため、後述するタイマー予約の際には少々面倒なことになる。


楽曲再生は合計4モードを用意 購入したDRM楽曲を再生したところ。日本語表示にも対応している パソコンと接続時に表示される画面。この際はミュージックキャリー側での操作は行なえない

ラジオ録音は複数曜日設定も。パソコンとの接続解除時には注意が必要

 ラジオ放送はAMとFMを合わせて30局までプリセット登録が可能。登録方法は手動に加えて、受信感度の高い局を登録してくれるオートプリセットが利用できる。ちなみにオートプリセット自体はAM/FMを同時に行なってくれるが、実際に聞く際にはそれぞれモードを切り換えていく。

 ラジオ放送の録音は、番組聴取時に決定ボタンを押してリアルタイムで録音する方法とタイマー予約機能が用意されている。タイマー予約はMENUボタンを長押しすることで呼び出せ、録音・再生の共用で合計6件までの登録が可能。「ワンスタイマー」と、複数曜日を設定できる毎週予約の「ウィークリータイマー」の2種類が用意されている。

 このうち、ワンスタイマーは24時間先までの設定が可能な機能となるため、例えば「数日先に放送する番組を録音したい」という場合にはウィークリータイマーを使用せざる得ない。可能であれば、ワンスタイマーに関しても曜日設定が可能だったら嬉しかった。なお、タイマー予約で時間が連続した番組で設定する場合には設定時刻を1分以上開ける必要がある(3時までの番組と、3時からの番組であれば、一方を2時59分or3時1分という設定)。


ウィークリータイマーでは1つの予約に複数曜日の指定も可能だ 6番組まで予約が可能。必要に応じて予約を一時的にオフにすることもできる

タイマーの動作状況はスタンバイ時のTIMERランプで確認できる。パソコンとの接続や時刻変更時には注意したいところだ
 タイマー設定はスタンバイ状態でのみ動作する。このため、PCとUSB接続を解除した際には主電源が落ちてしまうため、タイマー設定を有効にするには電源をいったんオンにした上で、スタンバイ状態にする必要がある。いずれも慣れないうちは忘れがちになってしまうほか、パソコンとミュージックキャリーの設置場所が離れている場合には面倒な点とも言え、ぜひとも改善して欲しいと感じた。また、日時設定を変更した場合にはすべての予約がオフになるため、こちらも注意が必要だ。

 ミュージックキャリーではまた、外部入力端子に接続した携帯電話やポータブルオーディオプレーヤーのスピーカー代わりに本製品を利用できるほか、アナログ録音にも対応する。こちらでは入力レベル調整やシンクロ録音の設定も可能になっている。このほか、「おやすみタイマー」機能も用意され10/20/30/60/90/120分単位で設定が可能。スリープ時刻の1分前には音量が徐々に小さくなっていく。

 録音時のファイルフォーマットはMP3で、64/128/192kbpsの3種類からビットレートが選択できる。ファイル名には録音ソースを示すアルファベット1文字(FMがF、AMがA、外部入力がL)と日付、それに3桁の英数字で組み合わされる。例えば、FM番組を6月20日に録音した場合には「F0620***.mp3(***は英数字)」というファイル名になる。このため、同じ日に録音を複数行なった場合には再生したいファイルがなかなか選択できない場合も想定されるが、ミュージックキャリー自体はID3タグに対応しているため、いったんパソコン側でID3タグ編集を行なうことで番組名や録音情報などを表示できる。

 また、録音したファイルはパソコンに転送して再生することも可能。実際、説明書にも「録音したファイルで重要なデータはバックアップを」と記載されており、「これが消えたら…」という録音ファイルがあるようであれば、パソコン側にバックアップを取っておいた方が良さそうだ。なお、エクスプローラなどでファイル追加や削除操作などを行なった場合、ミュージックキャリーのリストモードに表示されるリストは自動更新されないため、メニュー長押しで表示される画面からリスト更新指示を行なう必要がある。


自動で割り当てられるファイル名は少々わかりにくいのでパソコン側でID3タグを編集するのも1つの手だろう 録音ビットレートは3種類から設定できるが、予約設定単位での個別選択はできない

“ラジカセ”でのDRM楽曲再生やラジオ番組のMP3録音のニーズに応える製品

 音楽配信サービスで購入したDRM楽曲を転送して、ラジカセ型の本製品で気軽に複数人で音楽を楽しめる。そして、複数曜日指定が可能なタイマー録音で、ラジオ番組を録り貯めたいというニーズに応えてくれるミュージックキャリーは、価格面では必ずしも安いとは言えないが、そうした面に価値を見出せる方であれば試して欲しいアイテムだと言える。

 ちなみにAV Watchで報じられているように、初期出荷モデルでは録音した音声にノイズが入る不具合が確認されている。筆者も6月頭にミュージックキャリーを購入し、この不具合が発生したため、サポートセンターに連絡をとり、6月中頃に交換対応してもらった。

 交換品ではファームウェアも「1.10」から「1.16」へとバージョンアップが施されており、ノイズ不具合に加えて、初期出荷モデルから改善されている点もいくつか確認できた。例えば、タイマー予約では指定したプリセット局・音量で予約できないなど誤動作が結構あり、外出時録音では涙を多々飲んでいたのだが、交換機のファームウェアでは改善されていた。また、ラジオのオートプリセット機能の精度も随分良くなったと感じた。

 正直に言えば、ノイズが入る不具合よりも、むしろ予約やオートプリセットでの問題にストレスを感じていたので、こうした点が改善されたのは非常に有り難い。パソコンとの連携時の電源動作やワンスタイマーなどでいくらか不満は残るが、上記の修正ファームウェアにより最初はじゃじゃ馬だったミュージックキャリーの印象が随分と変わったので、今後に期待しつつ、引き続き利用していきたいと思う。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.sharp.co.jp/products/qtmpa5_10/index.html
  シャープ
  http://www.sharp.co.jp/

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(村松健至)
2006/06/28 11:11
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