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軽量コンパクトなのに分離式 サッカーファン必携(?)のLANテスター


イーレッツのLANテスター「UNITED」。直販価格は4,725円。重量約68g、50×90×24mm(幅×奥行×高)と非常に軽量コンパクトなケーブルテスタだ。RJ-45とRJ-11コネクタに対応している
 いきなりだが、イーレッツが発売しているLANテスター「UNITED」という製品名。サッカーファン、特にイギリスのプレミアリーグファンならニヤリとせずにはいられないのではないだろうか。そう「マンチェスター・ユナイテッド」に引っかけたダジャレなのだ。マンチェスター・ユナイテッドと言えば、携帯電話会社のロゴマークが入った真っ赤なユニフォームをご記憶の方も少なくないはず。かのデイヴィッド・ベッカム選手が在籍していたことでも知られる強豪プロサッカーチームだ。ファンの間では略して「マンユー」と呼ばれている。LANテスター「UNITED」も、この例にならって「ランユー」と呼んでしまって良いのだろうか(笑)。

 さて。横道にそれたところから始まってしまったが、この「ランユー」。茶目っ気たっぷりなネーミングに反して、中身は少々専門的な品だ。ネットワークシステムのメンテナンス上、もっとも単純だが致命的なトラブル、ケーブルの不良を突き止めるためのアイテムなのである。ちゃんと電線が繋がっているかどうかを調べるだけと言ってしまえばそれまでなのだが、考えてみていただきたい。ケーブルが正常かどうかは実際に使ってみなければわからない場合が多いのだ。パソコンや周辺機器を接続し、認識されるのを待ってからチェックという作業。2、3本ならまだしも、ケーブルの本数が多くなれば時間と手間がかかりすぎ、とても対応しきれない。

 しかし、LANテスターUNITEDなら、ジャックにプラグを差し込み、ボタンを押すだけでケーブルの状態を手早く確認できるのだ。個人レベルのネットワークやオフィスのネットワークの管理、あるいは自作したケーブルの結線チェックなど、多方面での活躍が期待できる。ネットワークを駆使するユーザーなら1つは用意しておきたいアイテムなのである。


横1列に並んだ赤いLEDインジケータで結線状態を知らせてくれる。ショートや断線、ケーブルの種類は縦に並んだインジケータで判別する
 本体を手に取ると想像していた以上に小さい。50×90×24mm(幅×奥行×高)というから、折りたたみ式の携帯電話と同じくらいだろうか。筆者が使用したことがある同等機能の他製品に比べると半分以下のサイズである。加えて、約68gという軽さ。バッグに入れておいても気にならないし、必要ならネックストラップを取り付け、首から提げることだってできる。

 上面にはケーブルの状態を知らせてくれるLEDインジケータが総計23個並ぶ。どれも十分以上の光量で、窓際の日が差し込むような場所でも見づらくなることはない。特にパワーインジケータの青色光は正面から直視すると目にしみるほどの明るさだ。デスクの下やラックなどの影に潜り込んだとき、手元を照らすライト代わりになってしまうのではないだろうか。

 ほかに目立つものといえば直径1cmほどもある大きな「TEST」ボタンと左側面のテストモードを切り替えるスライドスイッチ。右側面の電源スイッチも3ポジションのスライド式で、「POWER OFF」のほか、無音モードの「SOUND OFF」と電子音が鳴る「SOUND ON」が選べる。ジャックは前面と後面の計2つ。形状はLANケーブルに多用される「RJ-45」と呼ばれるタイプ。両側に若干の隙間ができるが、一般加入電話回線用のモジュラケーブルについている「RJ-11」プラグを接続することもできる。

 使い方は非常に簡単。本体の2つのジャックにチェックしたいケーブル両端のプラグを差し込み、環状にする。あとは「TEST」ボタンを押すだけだ。ケーブル内部でショートを起こしている場合は「SHORT」、断線などで接続できない場合は「NO CONNECTION」のインジケータが点灯。また、「STRAIGHT」と「CROSSOVER」でストレートかクロスかの結線方式を確認することができる。ケーブル内の各電線に関しては横に並んだインジケータが状態を表示。ボディ左側面のスライドスイッチで全線を自動チェックする「AUTO」モードと、「TEST」ボタンを押すごとに1本1本チェックしていく「STEP」モードとを切り替えることができる。


ボディ左側面のテストモード切り替えスイッチ。「AUTO」にしておけばTESTボタンを1度押すだけですべてのチェックが行なえる ボディ右側面の電源スイッチ。テスト終了時に電子音が鳴る「SOUND ON」のほか、LED表示だけの「SOUND OFF」が選べる

“UNITED”には「合体した」という意味があるらしい。単なるダジャレではなく機能を表現した製品名でもあるのだ
 LANテスターUNITEDの最大の特徴は、非常に軽量コンパクトなボディながら分離式を採用しているという点だ。普段はレールにミゾがはまりこむ形で固定、一体化されているが、ボディ後部をスライドさせるとマスターユニットとリモートユニットに分かれるのである。これはケーブルが壁面や床面の裏に埋め込まれている場合、あるいは他のケーブルと一緒に束ねて固定されている場合など、両端のプラグを1カ所に集められないような状況で威力を発揮する。モデムとルータの接続などに使う極端に短いケーブルをチェックするときにも役立つはずだ。

 電源は「23A」と呼ばれる単5型の12ボルトアルカリ乾電池1本。普段あまり馴染みのない品だが、近頃では防犯ブザー用として広く使われているらしく、大きな電器店や量販店のほか、通信販売などでも簡単に入手できるようである。筆者が調べたところでは、価格はボタン型リチウム電池と同程度(250円前後)だった。マニュアルなどにバッテリー寿命は明記されていないが、パワーセーブ機能を搭載しているのか、テスト後10秒ほど経過すると自動的にインジケータが消灯する。相当数のケーブルをチェックした後でもLEDの光量が落ちる気配はなかった。ランニングコストの心配はしなくても良さそうである。


分割式の本体は壁面や床面の裏に埋め込まれたケーブルにも対応。また、極端に短いケーブルのチェックもできる 比較的低価格の一般向けLANケーブルでは1、2、3、6のの4本だけが結線されている場合がある

RJ-45幅のジャックにRJ-11のプラグを差し込む。左右に隙間ができるが、テストのためだけなら問題はないだろう 本体を分割してRJ-11プラグがついた短いモジュラケーブルをチェック。電話回線用のケーブルでは4と5のみが点灯する

黒いビニールレザー製のポーチ。予備電池を収納するループがついている。大きさと形はコンタクトレンズ用ケースにソックリ
 パッケージには黒いビニールレザー製のポーチとハンドストラップが同梱。取扱説明書兼保証書が小さな紙片を名刺大に折りたたんだだけの簡単なものなのが寂しい気もするが、取り扱いや操作の単純明快さからいって欠点とは言えないだろう。むしろ気軽に使える価格帯に収まるよう、少しでもコストを引き下げるという姿勢を評価したい。

 ちなみに、このLANテスターUNITED。日本中がサッカーで盛り上がるタイミングを見計らって製品発表が行なわれたという。相当にコダワリを持ったメーカーのようだ。プレミアリーグファンの筆者としては、LANテスター「UNITED」に続き、LANテスター「CITY」がリリースされるのではないかと、ちょっと期待してしまうのである(笑)。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.e-lets.co.jp/product/nct-ts01/index.htm
  イーレッツ
  http://www.e-lets.co.jp/
  Manchester City FC
  http://www.mcfc.co.uk/

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(斉藤成樹)
2006/07/12 11:08
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