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カセットからのMP3ダビングも可能なSDスロット/USB搭載のCDラジカセ


「おしゃれなテレコ」のキャッチフレーズで一世を風靡したサンヨーラジカセU4の最新版「DIGITAL U4」。実売価格は25,000円前後

右スピーカー上に描かれたダックスフントのワンポイント。20年以上前からサンヨーラジカセU4のマスコットとなっているそうである
 三洋電機の「MAJ-U4CT1(DIGITAL U4)」はCDプレーヤー、カセットレコーダ、ラジオチューナを一体化させた、いわゆるCDラジカセだ。とはいっても、従来の製品とは一味違う。SDカードスロットとUSBポートを装備し、MP3やWMA形式の音声データを扱うことができるのである。

 また、CDやカセットテープ、ラジオなどからの音声をデジタルデータに変換、そのままSDカードやUSBストレージデバイスへと保存もできる。しかも伝統的なCDラジカセと変わらない、わかりやすい操作性を実現していて、誰にでも気軽に使えるデジタルオーディオシステムに仕上げられているのだ。

 MAJ-U4CT1の外観上の特徴は、スイッチ類を外装から排除し、すべてパネルの内側に配置したデザインだ。472×105×165mm(幅×奥行×高)と比較的大柄なサイズにもかかわらずコンパクトな印象を受けるのは、凹凸がほとんど目立たないからだろう。また、奥行きが抑えられているので、デスクはもちろん、少々高さのある書棚の上に置いても圧迫感はない。重量は約2.7kg。バッテリー駆動には対応していないのでポータブルというわけにはいかないが、ハンドルが取り付けられており、デスクからベッドサイド、リビングルームへと、どこへでも簡単に持ち運ぶことができる。

 カセットプレーヤーはボディを正面から見て左側、正方形パネルの中にある。テープ面を上にして落とし込むようにセットする方式だ。右パネル側にはCDプレーヤー。トップローディング方式を縦に置いた形。ただ、ハブの形が工夫されているのか、片手では扱いにくいのが難点だ。ボディ後面にはFM/AMラジオ用のアンテナ端子。マイク、ヘッドフォン、ライン入力端子。形状はすべて一般的なミニプラグなので、手持ちの機器をそのまま接続できる。

 ボディ左右端に配置されたスピーカーは最大2W+2Wの8cm口径。個人用のデスクトップオーディオとしては十分な出力だ。バスレフ型を採用しており、バスブースト機能と合わせて低音域の不満はない。また、4モードのプリセットイコライザーを搭載。フラットな「CLASSIC」、低音と高音を強調する「POP」と「ROCK」、中音域から高音域を強調する「JAZZ」が好みに応じて使い分けられる。全体的な印象は中音域が華やかな、人の声が良く通る音質。迫力あるサウンドという意味ではミニコンポクラスに及ばないものの、学生の頃に夢中になったラジオの深夜放送が聴きたくなるような、どこか懐かしい音である。


フロントパネル左側のカセットテープホルダー。テープ面を上にして差し込む方式。ラジカセでは一般的なスタイルだ フロントパネル右側のCDプレーヤーは縦置きのトップローディング式。一般の音楽CDのほか、CD-RやCD-RWにも対応する

手前にカセットテープ操作ボタン、奥にSDカードスロットとUSBポートという配置。くぼみにポータブルプレーヤー等を置けば上面パネルが閉められる
 操作ボタン類は、上面の半透明パネルを引き起こすと現われる。手前左にカセットプレーヤー操作部、右側にCDやラジオ、SDカードやUSB機器を操作するボタンとディスプレイ、それにジョグダイヤルが並ぶというデザインだ。ディスプレイはオレンジ色のバックライトがついたセグメント式。大文字アルファベット、数字、アンダーバーが表示できる。

 基本的な操作はファンクションボタンで機能を選び、ジョグダイヤルとモードボタンで選択、設定するという今風のスタイル。ただ、カセットテープについては機械式を採用しており、少々重い手応えのボタンを押し込むとガチャという動作音が響く。現代的なメニュー方式とメカニカルな動作の同居は奇妙にも思えるが、デジタルとアナログをハッキリと区別できるためか、思いのほか操作性は良い。

 SDカードを差し込むスロットとUSB機器を接続するポートは上面パネル内の左側。間にはトレイ状のくぼみがあり、底に柔らかいパッドが敷かれている。ここにポータブルオーディオプレーヤーを置けば、上面パネルが閉められるというわけだ。

 SDカードは64MBから2GBの容量に対応。USBホスト機能を搭載しているので、USBフラッシュメモリへ直接書き込めるだけでなくUSBマスストレージクラスに対応したプレーヤーなども接続可能。マニュアルにはHDDタイプのプレーヤーは使用できないとあるが、これは供給電力の制限のためだろうか。カードリーダー・ライターも非対応とのことだが、筆者が試しに接続してみたところ、動作が確認できた。もちろん、動作保証はないし、なにかしらの悪影響があることも考えられるので、こういった使い方は避けた方が無難だろう。なお、動作確認済みの機器に関しては製品サポートページで確認することができる。

 録音時のエンコード形式はMP3。ビットレートは標準の「NORM」が128kbps、高音質の「HI」が160kbps、長時間録音用の「LP」で96kpbsだ。「AUTO」に設定すればCDやライン入力は128kbps、テープやラジオからの入力は96kbpsと、自動的に切り替えてくれる。再生は8階層までのフォルダに対応。1曲リピート、フォルダ内リピート、全曲リピートといった再生モードが選べるほか、最大40曲のプログラム再生機能を搭載。また、SDカードやUSBストレージ内のデータをコピー、削除する簡単な編集機能も備えている。

 チューナーの受信周波数は、AMが522KHzから1629KHz、FMが76MHzから90MHz。それぞれプリセットとして20局を記憶させることができる。このラジオとライン入力はタイマー予約録音が可能。ただ、内蔵時計は年月日をサポートしておらず、設定は24時間以内。また、録音先はSDカードもしくはUSBマスストレージをサポートした機器となっている。


カセット関連以外のボタンは上面パネル内右側にまとめられている。ファンクションキーとジョグダイヤルを組み合わせたわかりやすい操作性だ あくまでも参考だが、試してみたところ動作保証外のUSBカードリーダー・ライターを使用して曲データを再生することも可能だった

 MAJ-U4CT1の大きな特徴は、デジタルオーディオを扱ったことがない人でも抵抗なく使いこなせるという点だ。良い意味でパソコンとの関わり、デジタル臭さが排除されている。リッピングやダイレクトエンコーディングといった専門用語とは無縁。あるメディアから別のメディアへ録音するという昔ながらの操作感を損なっていないのである。

 一方で、いわゆるダブルデッキの要領でカセットテープの音をMP3へと変換できるのも魅力の1つだろう。テープとメモリをセットしてボタンを押すだけというお手軽な操作は、まさにダビングと同じ感覚である。筆者も含め、過去に録音したカセットテープをストックしているユーザーなら、こんなアイテムを待ち望んでいたに違いない。

 しかし、残念な点もある。カセットプレーヤーとしての機能が限られているのだ。対応はノーマルテープのみ。広く普及していたノイズリダクションシステムは搭載されていないし、オートリバースやテープカウンターもない。もちろんハイポジションテープやメタルテープが再生できないわけではないし、録音してから長い時間が経ったテープの音質にこだわるのは無意味なのもわかっているが、ちょっと寂しい気分になってしまうのは筆者がカセットテープ世代だからだろうか。


付属のリモコン。AV機器ではお馴染みのボタン配置だ。電源は単4乾電池2本。本体の赤外線受光部はフロントパネル中央の下部にある ACアダプタはかなり大きい。右にあるのはAMラジオ受信用のループアンテナだ。ほかに単線式のFM用簡易アンテナが付属している

関連情報

URL
  製品情報
  http://www.sanyo-audio.com/maj/u4ct1/index.html
  三洋電機 オーディオ製品情報ページ
  http://www.sanyo-audio.com/


(斉藤成樹)
2006/08/30 10:56
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