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写真も動画も撮影できる多機能双眼鏡! 「コンパクト双眼鏡デジカメ」


 せっかく遠くのものがよく見えるのに、見ているだけなんてもったいない。双眼鏡を覗き込みながら、このまま写真に撮れたら良いのに、と思った方もいらっしゃるだろう。だったらデジカメと合体させちゃえば良いじゃん! と言ったかどうかは知らないが、本当に双眼鏡とデジカメが合体してしまった。

 その名も「コンパクト双眼鏡デジカメ」。オモシロアイテムでお馴染みのサンコーから登場した。動画も撮影に加え、Webカメラとしても使えてしまうというのだ。どんな製品なのか見てみるとしよう。


これがウワサのコンパクト双眼鏡デジカメ「BINOCA01」。価格は16,800円だ 付属品は専用ケース、英語および日本語の取扱説明書、USBケーブル、ストラップ、クロス、CD-ROM

双眼鏡として使ってみると

 まずは双眼鏡としての機能を見てみよう。コンパクト双眼鏡デジカメの重量は215g(電池を除いた場合)、本体サイズは116.5×67.5×37.5mm(幅×奥行×高)で、ほぼ手のひらサイズといった印象だ。デジカメとして使用する場合は単4形電池2本が別途必要となるが、電池がない場合でも、「7倍ズームの双眼鏡」として利用できる。

 接眼距離は、ボディを横にスライドさせて調整する(眼幅メモリ付き)。ボディの裏には視野の調整ダイアルも備えている。また、ピントはボディ裏側にある焦点調整ダイアルで調整が可能だ。本体を構えたとき、ちょうど親指がくる位置なので操作しやすい。倍率7倍で対物レンズ径は18mm、実視界は7度。口径が小さいため、さすがに天体観測には向かないだろうが、スポーツ観戦やコンサート、演劇鑑賞などには十分と言えるだろう。


ボディはプラスチック製。少々チープな気もするが、軽くてコンパクトなのでヨシとし 眼幅メモリ付きで接眼距離も調整可能

少々コツがいる? デジカメとしての機能をチェック!

コンパクト双眼鏡デジカメの操作ボタン。上部に焦点切り替えレバーが、左右にMODEと電源ボタンがある。丸いボタンがシャッター。MODEボタンを押して切り替えることで3毎連続撮影もでき、10秒のセルフタイマーも使える。撮影枚数のカウンタは表示されるが、設定画面以外の情報切り替えなどは用意されていない
 さて、続いてはデジカメ機能を見てみよう。単4形電池2本を本体にセットし、オン・オフボタンを押して電源を入れると、デジカメとして利用できるようになる。電源を切りたいときは3秒以上長押しすれば良い。電源投入もしくは撮影、モード切替などの操作から60秒間何も操作しないと、自動で電源が切れる仕組みとなっており、電源の切り忘れによるバッテリーの消耗が防げるよう配慮されている。

 スペックとしては1/2インチCMOSイメージセンサーを搭載し、210万画素。画角が13.8度、35mm換算で180mmクラスの望遠に相当するという。搭載レンズは35mmのF5.6。ISO感度は60、シャッタースピードは1/5~1/1000秒で、露出とホワイトバランスは自動だ。VGA(640×480ピクセル)で最大425枚、QXGA(2,048×1,536ピクセル)で最大37枚まで撮影が可能。ちなみに最短撮影可能距離が3mからになるため、至近距離のスナップには向かないだろう。またISO感度も低めのため、室内よりは屋外、曇りの日よりは晴天の日を選びたい。

 シャッターを切ると、電子音が「ピッ、ピッ」と2回鳴って撮影の完了を知らせる。まず、1回シャッターボタンを押すと約2秒弱後に1回目の電子音が鳴る。2回目の電子音が聞こえたらメモリ部への書き込みが完了した知らせ。1回目の電子音が聞こえる直前にカメラを動かすと手ブレするので要注意だ。

 通常のカメラのようにシャッターを切った瞬間にシャッター音が聞こえないため、最初のうちは戸惑う方もいるかもしれない。また、雑踏の中での撮影は電子音が聞き取れない場合もあるため、シャッターを押したら2秒ほどそのままホールドして待つクセをつけたい。特に撮影した写真が確認できるような液晶モニタが搭載されていないのでなおさらだ。

 撮影モードは、2段階焦点切り替え方式。焦点距離切り替えレバーには、一般的なカメラでは「マクロ」を意味するチューリップマークがついているが、上述のように最短距離は約3mになるので、チューリップマークは3m~8m程度の距離で撮影する場合、それ以上の場合は山のマークを選ぶという感じだ。


電池は単4形電池2本。手軽に手に入るから、いざというときの電池切れにも助かる ボディの裏には焦点調整ダイヤル(手前)と、視度調節ダイヤルがついている

撮影サンプル。いずれも2,048×1,536ピクセル、ハイクオリティモードで撮影した


動画撮影カメラとしての機能をチェック!

MODEボタンを切り替えて動画撮影モードにしたところ。この状態でシャッターを押すと撮影開始となる。撮影中は記録時間が1秒単位でカウントされる
 動画撮影可能時間は約5分。動画撮影をする際は、電源オン→MODEボタン押下→ムービーモードでシャッターボタンを押す→そのまま撮影時間カウント開始という手順になる。なお、マイクは内蔵していないので、音声録音には対応しない。

 記録形式はAVIになるので、パソコンにコピーした際にはWindows Media PlayerやQucikTimeなどで再生できる。画質に関してはお世辞にも上質とは言い難く、携帯電話のムービー機能のほうが良いのでは……という気もする。しかし、携帯電話のカメラやデジカメでの動画撮影では、どうしても撮影そのもの、もしくはモニタ画面に意識がいってしまい、被写体をじっくり見るのは撮影後なんてことがありがちだ。その点、コンパクト双眼鏡デジカメは双眼鏡で観察しながら記録できる点に強みがあるといえるだろう。


サンプル映像。いずれも320×240ピクセルで撮影している(AVI形式)


撮影データをPCに取り込んでみる

 記録したデータは付属のケーブルを使い、USB経由でPCに転送する。コンパクト双眼鏡デジカメはUSBマスストレージ対応で、USBインターフェイスに接続して記憶装置として扱えるため、データが保存されているフォルダを開き、対象ファイルをドラッグ&ドロップするだけでコピーが完了するのは便利だ。

 内蔵メモリは32MBと容量が少なめなので、ファイルはこまめにPCに取り込んで、内蔵メモリからは削除するのが望ましい。MODEボタンを4回押すと全削除メニューが、5回目で最新ファイル1枚だけの削除が可能。ちなみに、全ファイルが削除されるとファイル番号がリセットされてしまうほか、製品は時計機能を内蔵していないため、撮影した写真や動画の記録日時は実際と異なるので注意が必要だ。


付属のケーブルでPCと接続する。Macintoshでも問題なく認識した Windows XP SP2のファイルエクスプローラで開いたところ。ちなみに付属CDからインストールできるroxioのWindows用画像ビューワー「PhotoSuit 5 SE」を使うと、ウィザードによって撮影画像を簡単に取り込むことができる

デジカメとしては物足りないが、どこか味わいのある画質もイイかも

 高倍率ズームが可能なデジタルカメラでも、双眼鏡代わりに使うわけにはいかない。最近は見やすくなったデジタルカメラの液晶だが、撮影しながら映像を楽しむには少々小さいからだ。双眼鏡で確認した風景を撮影するために、改めてデジカメを持ち直すというのは手間であるし、被写体を見失う恐れもある。そんなとき、見たままを記録できるというのは重宝するというわけだ。

 だがこれまで見てきたように、リズムよくパシャパシャ撮れるわけではないし、画質の面で言えばデジカメ機能をメインに据えるわけにはいかないだろう。しかし、本製品で撮影した画像はプラスチックレンズを搭載したトイカメラのような絵となるため、それを味わいとみなすこともできるかもしれない。動画も、甘めのピントと音声がないことが独特の雰囲気を醸し出しているので、画質を逆手に取った作品づくりに生かせるような気が筆者はするのだ。

 細部までしっかり写るカメラではなく、あえてLOMO LC-Aやポラロイド SX-70のようなカメラを好む場合もある。コンパクト双眼鏡デジカメは「デジタルカメラなのにデジタルっぽくない」路線で楽しめそうな気がした。基本は双眼鏡として持ち歩きながらも、ときとして印象的な写真や動画が撮影できる、そんなアイテムといえるだろう。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.thanko.jp/binoculars_camera/
  サンコー
  http://www.thanko.jp/

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(すずまり)
2006/09/13 12:20
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